鳴かぬなら、ジッとガマンの女の子 【20】
スピノは泣きそうな顔で訴えるように言った。ミアキスの気持ちは有り難いけど、何か可哀想になってきたよ。
「確かに、レジェナ様がお兄さんて事になってる恋人に会いたい気持ちは判るけど」
ちょっと、アンタ。わたしたち、まだ、そんな関係じゃあ……。
「でも、王女様にその気が無いのに、嬉しそうに頑張ってる親父たちを見てると、何か……」
そうだよねえ。わたしも正直、カスモさんやパキケファロさんの事、騙してるみたいな気になって、後ろめたい感じもしてるんだよね。
「スピノ__」
ミアキスが、スピノの両肩に優しく手を添えた。
「あなたの言いたい事も判るわ、だけど、レジェナ様の気持ちも考えてあげてね」
そう言われると、わたしも何か気が咎めるよ。
「う__」
スピノはミアキスと目を合わせず、横を向いた。
「それから__」
ミアキスがわたしの方を向き直った。
「レジェナ様も」
苦笑いの混じった笑顔に、妙な説得力があった。
「わたしだって女ですもの、レジェナ様のお気持ちも、痛いほど理解できます。だけど、スピノも言ってたけど、お父さんたちもレジェナ様の事を信じて、お兄様の行方を捜して差し上げてるんですよ」
はい、しかと心得ております。
「ですから、レジェナ様」
わたしも、何か言い聞かされてるみたいで厭だな。
「お兄様の事はご遠慮なさらず、父やパキケファロさん達にお任せ下さればいいんです」
はい。