鳴かぬなら、ジッとガマンの女の子 【9】
「あなた様は?」
「お目に掛かって光栄に存じます。わたくし、レジェナ様のお供を許されまして、こうして従者として仕えさせて頂いております、マニ・ツェンガと申します、どうぞよしなに」
「はあ__」
マニの、相手の気分を融かしてしまうようなオーラに当てられてカスモさん、何となく気が殺がれたような雰囲気だった。
「それはそれは、ここまでレジェナ様の御身をお守り頂き、誠に恐れ入ります」
わたしとの押し問答で軽く動転しているらしいカスモさんが何となく浮き足立ったような物腰で答えた。
「そこで、中将閣下」
マニが相手の気を逸らさぬ流れで話題を持って行った。
「実は、御自分のお力で王家再興に御奔走為されていたレジェナ様がこうしてサウロロフスの遺臣の方々を頼ろうと思い立った理由は」
別に王家再興の為に奔走してた訳でもないんだけどね。
「御覧のようにレジェナ様は何とも頼もしいと申しますか、気丈なお方で御座いまして、これまでは独力でマルディール王家の再興を為さんとサウロロフスの遺臣のお力を借りるのを躊躇っておりました」
頼もしい?気丈?何か素直に喜べないな。
「しかし、こう申し上げては何で御座いますが、所詮若気の至りと言いましょうか、宛ての無い活動を繰り返しておりますと、矢張りお一人で世の中を動かすなどと言う事はご無理とお気付きになられ__」
まあ、嘘だって事は承知してるけど、あんまり良い気分じゃ無いね。