旅は道連れ、世は情け無エ…… 【27】
なあんだとお!?
わたしは、それこそ飛び上がらんばかりに驚いて頓狂な叫び声を上げた。お行儀が悪い事くらい判ってますよ。でも、これが驚かずに居られるかって。おっと、こんなだから偽王女だなんて言われるんだわ。でも、でも、これってあんまりじゃない?
何か言おうと、別に言い分を頭の中で整理してた訳じゃないけど、衝動的に何か言わずに居られない心境のわたしを無言で制止して、マニが男に質問を続けた。
「あなた方は、本気でここにいらっしゃるレジェナ様が偽者だと思っておられるのですか?」
思っておられるだなんて、こんな奴らに敬語なんか使うなよ、マニ。あんたの習慣なのは判ってるけどさ。
「知りやせん」
男の答えは無責任そのものであった。
「どっちでも構いやせん。あっしらは、只、贋王女の始末を頼まれただけでさあ。礼金は悪く無えし__」
ムッカー、あんた、金さえ貰えれば喩え本物の王女様でも、否、そんな事より重要なのは、類稀なるこの美少女を、僅かな目腐れ金でいとも簡単に殺そうって言うの?よくそんな勿体無い事できるわね。それでも男か?これこそ人類の損失よ。
「別に無理して殺しちまう必要も無えし、フン捕まえて楽しんでから女郎屋に売っ飛ばしちまおうって__」
怒りに任せて宝剣を引き抜き、オーラを漲らせて男を真っ二つにしてやろうといきり立つ私を、マニが後ろから羽交い絞めにして抑えた。ええい、放せ、落ちぶれ果ててもレジェナは王女!