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「待つわ」っていう曲を3日前までずっとユーミンが歌ってたと勘違いしていた作者です。あみんでしたね。すいません。
あの恥ずかしい出来事から数分後、さすがにそろそろ教室に行かないとまずいと校長先生からの忠告で今は先生の後ろについて行っている途中。
細田さんは校長先生からこれからの業務について説明を受けるのでそのまま部屋に残ってもらった。
というか、今はまともに彼女を見れる気がしない。仮面の表面を指でなぞり心を落ち着かす。
「着きましたよ。ここが田中さんの教室です」
俯いていた視線を上げると2-Dと書かれたプレートが目に入る。
時間的にもう2時限目が始まる時間だけど、丁度先生の現国だったのが救いだ。因みに1限目は自習の時間となっていた。
よくある「それでは入ってきてください」という注目を集めやすい入場ではなく、先生と一緒に入室すると周りの生徒と話していた女子が一瞬で静かになり視線を一斉にこちらに向ける。
怖い怖い。なんで誰も何も言わないんだよ!俺が入り口から教壇に上がり止まるまでの間、女子の視線は俺をずっと追いかけてくるのだ。
特にというかやはりというか視線は俺の仮面に向いている。
先生に促され自己紹介をすることに。
最初は人当たりのいい感じでいこうと思っていたけど、先のやり取りの後校長先生の「あんたは素のままがいいよ」と言われたからでは決してないが、これからはくだけた感じでいくことにした。
「初めまして田中太郎です。宜しくお願いします」
ぺこりと軽くお辞儀をして終わり。
教室が静けさを保ったまま時間だけが流れる。
先生のほうを向いて「終わりましたが?」と言うとハッとしたご様子。まさかこれ以上俺に何かを期待していたのなら残念ですが無理だ。今もクラス中の視線を1人締めしているのだ。こんな中過ごしているこの世界の男性に俺は敬意を払うべきだろう。
もし仮面がなかったらと思うとゲロ吐きそうになるが、もし吐いたら仮面と顔の間でぐちゃぐちゃになってしまうだろう。そうなったら俺の不登校が決定してしまう。
なんで学生ってゲロ吐いたとか個室のトイレを使ってたとかを騒ぎ立てるのだろうか?解せぬ。
そうして俺のあだ名はゲロ太郎とかになって卒業写真の片隅に皆の笑いものとして載ることになる。それだけは避けねば!!
で、俺はどこに座ればいいのだろうか?
教室を見渡すと窓際の一番後ろの席が空いていた!!おお、あそここそ俺に相応しい席じゃないか!
目の前には佐藤さんが座っているがそこは気にしない。
「先生、俺の席はあそこでいいのでしょうか?」
一応確認の為先生に尋ねると、どこからともなくさっきと同じような抽選箱が出てくる。
まさか・・・今から席替えとか言わないよね?
「それでは今から席替えをします。去年私のクラスだった子は知っているでしょうが、佐藤さんや田中さんも居る事ですし改めて説明しますね」
あれ?普通の席替えってくじを引いてその番号の席に座るだけじゃないの?そう思ってた時期が俺にもありました。
「初めに皆さんには番号が書かれたくじを引いてもらいます」
うんうん。俺の知っている席替えだ。
「皆さんが引き終ったら一旦教室の後ろに荷物を持って移動してください」
うんうん。皆が一斉に移動すると面倒だもんな。
「そこからは番号の早い人から好きな席に座ってください。以上です」
うんうん・・・うん?なにそれ。
ボッチ製造機かなにかですか?もしこのクラスに知り合いが1人しかいない俺が1番を引くとしよう。そして次の子が全く違うところに座る。
・・・ダメだこれ心が折れるやつだ。
「折角なので田中さんと佐藤さんから引いてください。他は並んだ順でいいですね。それでは動き始めてください」
先生の号令と共に動き出す女子生徒達。その中から佐藤さんが前に出てきた。
前の世界の習慣か「先にどうぞ」と女子の佐藤さんにくじを促すと「それじゃ」と言ったあとくじを引いてく。チラッと自分の番号を見た後何も言わずに自分の席に戻り、鞄を持って後ろに移動。
俺も差し出された箱から1枚のくじを引くとチラッと自分だけが見える様に開くと・・・
「まじか」
つい言葉が出てきてしまう番号が見えたのだ。
引き直しなんて出来る筈もなく仕方がなく佐藤さんと同じく後ろに並ぶ。勿論隣なんて場所ではなく逆側の端っこだ。
その後も並んでいた女子達が次々にくじを引いては後ろに集まってくる。
普通この時って「あーあたし〇番だー」とか「えっ、それじゃ近くに座ろ!」とか盛り上がるもんじゃないのか?終始無言なんですけど?
そうしてクラス全員の37人が引き終えた後、無情にも先生の指令が飛んでくる。
「それでは1番を引いた人から好きな席に座って下さい」
その言葉と共に俺が一歩前へ踏み出すと教室内に緊張の糸がはしるのを感じた。
まあ、普通に考えると男とお近づきになりたいはずだから2番3番を引いた人が俺の近くに座ると思う。教室には縦6人の席が6列。窓際の1列だけ一番後ろにもう一席。なのでこことの接点は前の席のみ!!
勿論俺は最初からここを狙っていたので、悩むことなくその席を確保することに。
「・・・それでは2番の人」
次に前に出てきたのはこの世界基準では普通の女の子。多分風紀委員とか入ってそうな感じの子が、ギュッと鞄の取っ手を握りしめた後俺の方を向いて何かを決心したかのように歩き始めた。その子が席に座ると
「3番の人、4・・・17番の人」
順番に席に座っていく女子達。そろそろ半数に届こうかというのに俺の前の席どころかその1列全部空いてる!!2番の子は俺とは対角線上の廊下側の1番前の席に着席。それ以降その子の近くから埋まっていき現在もぼっちな俺。・・・さすがに泣いていいよね?
別にちやほやされたい訳じゃないけどこれは堪える。
その後も示し合わせたかのように俺を避けて座る彼女達。
「37番の人」
いつの間にか最後の1人になっていたが、既に俺の興味は今日の晩御飯に向けられていた。窓の外を眺めながら細田さんのエプロン姿を想像していると、どうやらこの公開処刑が終わったみたいだ。
前に視線を向き直すとなんとなく見たことある後ろ姿が目に入った。・・・佐藤さんかな?・・・多分。
右前は・・・金髪のギャル?かな。
どっちにしてもこの場所を確保出来て良かった。必要以上に話さなくていいし、周りからの視線も無し。一番重要だった前の席は男嫌いな佐藤さんだからわざわざ話しかけてもこないだろう。
「では席替えも終わったことですし、残りの時間は本来の現国の授業を始めます。教科書を出してください」
ナイス先生!!
ここで残りの時間を質問タイムなんかにされてたら絶対俺には質問なんてこずに、本日二度目の公開処刑になるところだった。
それでも疑問には思う。
この世界では”男”というだけで既に特権階級だ。それは容姿がどうであれ生まれた時から決まっているステータスと聞いた。なのに俺への対応はそれとは違う。まさか”異世界人”はそれが適用されないとかか?
いやでも、体育館でのあの騒ぎようを見るにそうではなさそうだ・・・
まっ、いっか。
静かなのはいいことだ。流石に便所飯はやらないが1人でご飯を食べたりするのを苦には思わないしな。そう言えば学食の場所や売店の場所がわからない。けど昼休みに適当に歩いてればそれっぽい集団に出くわすからその後ろをついてけばいいか。
細田さんにお弁当をお願いするのもいいかもしれない。
そうして静かに俺のこの世界での初めての授業は過ぎて行った。
次にやってくるのは短い休み時間だ。ドラマやアニメならここでクラスの人たちが「ねえねえどこから来たの?」とか「部活はなにかしてた?私水泳部なんだけど一緒にどう?」とか話しかけてくるのだろう。いいね水泳部。泳ぐのは得意じゃないけど見るのは得意な田中です。
例に漏れず休み時間になった瞬間、俺の近くに何人かやってきてテンプレの質問を始めるクラスメイト。
それにひとつひとつ丁寧に答える佐藤さん。
俺?俺は後ろから質問攻めにあってる佐藤さんを見ているだけで、誰も俺へは何も聞いてこない。
静かなのはいいことだ・・・
次の授業は何かな?と時間割表を眺めていると
「ねえねえ田中くん。あたいのこと覚えてる?」
右前のギャルっぽい子からそう話しかけられた。
その瞬間今まで佐藤さんに質問していた女子達が、文字通り時が止まったように動きを止め視線だけこちらを向けてくる。
なにここ、蝋人形の教室ですか?
そう言われて改めて彼女を見る。
どこかで見たような・・・これは佐藤さんと同じパターンで実は彼女も異世界から来ていたとかか?でも、こっちに来てこのギャルっぽいメイクにしてたら前に会っていたとしてもわかるわけがない。
他に特徴的なところもないし・・・ん?
「今・・・あたいって言った?」
そう返すと、凄い嬉しそうな顔で「うん」と笑う彼女の笑顔に一瞬見とれてしまった。
fgoのイベントをプレイ出来ていない作者です。未だ5章途中な俺を叱ってくれBBちゃん!!




