レンの帰還
「うるぁああああああ!!」
「そんな雑な攻撃が当たると思っているのか!!」
ルシファーさんと巨大ロボットの戦いが続いていく。
はっきり言って手出しもクソもできないのでこっちの用事を済ませてしまうのがいいだろう。
「KU?」
なぜか俺たちを攻撃してこない【嵐災】。
種を埋め込むのになんの苦労がある。
幸いこいつは不覚醒体だ。
俺の体は溶け出せる。
「よっと」
腕を溶かしこみつつ、内部で種を創り出す。
「終わりだ」
「今回はあっさりね」
「つまんねえにゃ」
「墜落死しかけた上に、ロボットに殺されかけたんですけど!?」
俺の命をなんだと思ってやがる。
攻撃の火力が上がってきたせいで死ににくい体でもオーバーキル気味なんだからな。
まあ、当たらねえが。
「墜落はお前らのせいだからな!!」
「「ぴ〜♫」」
目をそらして口笛吹いてやがる、この野郎……後で絶対〆てやる。
「KUAAAAA!?」
来たな。
内側から木が生えてきた。
そんな状態じゃあまあ墜落するわな。
ん?
てことは?
俺も?
「わすれてたあああああああ!!!」
【嵐災】が俺を支えてたんだった、うっかりにも程があるわ!!
「ほら」
「たすけてやるにゃ」
俺の首根っこを掴んで飛んでやがるな。
「初めからそれやれよ!!」
「っ!?来るわ!!」
「避けるにゃ!!」
「うおう!?」
なんだなんだ、あとは果実回収して帰るだけだろ。
「ええ……?」
なんだこれ、デカすぎねえ?
あのままじゃ枝に打ち殺されてたぞ。
「なんだこりゃあ!?」
「反応未知数、破壊推奨よ」
「木なら切っちゃえー!!」
げ!?
気づくよなそりゃ!!
「くそ!?早く回収するぞ!!」
「分かったわ!!」
「フルスロットルにゃ!!」
果実は……あった!!
「あそこだ!!」
いやまてよ。
ここから見てあのサイズってことは?
おいおいおい、あのリンゴ人間サイズだぞ。
取れるのか?
いやそうじゃねえ。
「やるしかねえんだよ!!」
リンゴへ向かって手を伸ばす。
その時間はルシファーが稼いでくれた。
手がリンゴに触れる。
「あはっ」
声が聞こえた。
それはやかましい声。
騒々しく、荒々しく、いつも明るく快活に、
その煩さが少しばかり恋しいと思うのは俺の気の迷いだ。
「あはははははははははははははは!!!」
リンゴが内側から弾けた。
「ふっかーつ!!」
風を纏うその姿は見慣れたものではない。
黒いドレスを着ていた。
これが不覚醒状態のレンか。
まあ、変わってないな。
「あれ?雰囲気変わった?」
「お前は変わんねえよ」
「そう?あたしはあたしだからな。それじゃあとりあえず景気付けにぶちかますぞー!!!」
「は?」
「なーんか調子良いんだよなー!!あはははははははははははは!!!」
風が逆巻く。
それは今まで見たことのない規模。
力も異質。
威力は想像もできない。
「ちょ「祝砲だーい!!」
爆発的な風は全てを置き去りにした。
俺には「覚えてろよー!!」と言いながら吹っ飛んでいくロボットだけが見えていた。
「ただいま!!」
くっついてくるこいつをこんな風にしたのは俺だ。
その事実だけを噛み締めた。
あとルシファーも「うわああああああああああ!!」って言いながら吹っ飛んでった。
ご愁傷様。
「あ、ジーボが危ないから行っていい?」
「そっちは魔王共が行ったから大丈夫だと思うが……まあいい俺も連れてってくれるか?」
「うん!」
※※※
時間は少々遡る。
崩れゆく【地災】の姿を第一魔王他一行は捉えた。
「あちゃー、まずいね。冬堂君お願い」
「仕方ねえな。おらあ!!」
コタロウの腕が虚空を掴む。
同時に【地災】の崩壊が止まった。
「じゃあ次は凛風ちゃん、アレここに持ってきてくれる?」
「なんでこんなことしなくちゃならないのよ、私はお兄ちゃんと「頼むぜ凛華」むう……分かったわ……」
灰色のドレスは一瞬だけ本物のドレスに変わりガラスの靴を顕現させる。
「一瞬の奇跡をここに」
靴が砕ける。
そして速やかに魔法が行使された。
すなわち、【地災】の転移である。
「龍二君、君の力を貸してくれるかい?」
「仕方ねえ……兄ちゃんからも頼まれてるしな」
蝋の翼がその背に生え、そして散る。
翼は飛ばすものだ、それを持つものを空へと誘うものだ。
その羽根はあらゆるものを重力の軛から解き放つ。
「一丁上がり」
【地災】は空中で浮遊した。
翼によって浮かされているのだ。
「3、2、1。来るよ。リタちゃん任せた」
刹那の後。
鬼の刀が第六魔王の刀によって止められた。
「少しばかり面倒よこの子の相手って」
「あ……あああ……ああああああああああああああああああ!!!!!」
荒々しい雄叫びとは裏腹に全く無駄のない剣舞が繰り広げられていく。
「ごめんね、僕もこっちが終わったら助太刀するから」
第一魔王の視線の先には満身創痍ながら爛々と瞳を光らせた騎士団長とビーの姿があった。
「勇者二人掛かりとは魔王冥利につきるね」




