三色VS【嵐災】1
【第三魔王】が【獣災】との戦闘で魔王としての振る舞いを捨てる少し前。
三色の神器鎧は【嵐災】と会敵していた。
「KUEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!」
嵐を纏う大鷲である【嵐災】にとって空中とは絶対的に有利な場所である。
そもそも空とは翼あるものたちの聖域だ。飛べぬ人間にそこを穢すことは許されない。
だが、【嵐災】へと向かって来たこの三色の存在は自在に空を舞った。
奇怪な音をさせながら炎で飛ぶ赤色、異なる法則に生きるモノを使い飛ぶ青色、そして重力を反転させて飛ぶ腕と仮面だ。
【嵐災】は怒りに身を焦がした。
空は翼の聖域、そこに侵入して来た無粋な羽根無しを一欠片残さず滅することを決意した。
不思議なことに三色は【嵐災】の前で横並びとなる。
「ここに俺たちが来たからにはお前の好きにはさせないぜ!!」
「これが翼の納めどきね」
「やっちゃうぞー!!」
赤が中心で右腕を高く掲げる
「神器鎧壱式【天照】」
青が浮遊しながら赤の頭の上で両腕を開いた。
「神器鎧弐式【須佐男】」
黄が大きな両腕で二人の両側の空間を埋め仮面が最上部に位置する
「神器鎧参式【月詠】」
「「「超英雄【三貴神】!!!」」」
【三貴神】の背後で三色の爆発が起こった。
「KUEEEEEEEEEEE!!!」
もちろん隙を見逃す【嵐災】ではない。暴風が【三貴神】めがけて襲いかかる。螺旋回転しながら突き進む風はドリルのようなもので当たったならば致命傷を免れないだろう。
「俺たちのターンは!!」
「まだ……終わっていないの」
「いっくよー!!」
赤の鎧の背部から何かが射出されその手に収まる。
「焼き尽くせ三千世界の彼方まで。我が身は一条の滅びなり【八咫鏡】」
青は空間からずるりと不釣り合いなほど大きな太刀を引き抜いた。
「我が刃が断つはすべからく悪しきもの。我が身は一振りの裁きなり【天叢雲剣】」
黄は仮面の内から無数の玉を出現させた。
「一の玉は地を砕き、二の玉は天を衝く。我が身は天元の極点なり【八尺瓊勾玉】」
鏡から照射される極熱と無数の勾玉が青の剣に集まっていく。
「これが!!」
「僕たちの!!」
「必殺技よ!!」
「「「必殺!!【天地創生撃】」」」
青の剣が振り下ろされた。
熱と破壊の勾玉、そして悪を断つ斬撃は混ざり合い一つのエネルギーとなって【嵐災】の風を正面から打ち消しその身を穿った。
「KUAAAAAAAAAAAAAAAA!!?」
バランスを崩した【嵐災】は地へと堕ちていく。
【三貴神】はそれを見届けると背を向けて最初と同じポーズをとる。
「これにて!!」
「一件」
「らくちゃく!!」
三色の爆発が起こる。しかしまだ終わらない。
【三貴神】が横並びに戻る。
「正義執行!!」
「断罪敢行」
「任務完了!!」
「「「正義は勝つ!!」」」
一際大きな爆発が起こり【三貴神】は満足そうに頷いてこの場を後にしようとした。
だが、【三貴神】がこの空域から離脱することはできなかった。風のミキサーとも言うべき暴風の壁が一帯を囲んでいたからである。
「俺たちの必殺技をくらって生きてるってのか!?」
「そんな……!」
「うっそお!?」
響き渡る羽音。
その主は空いた風穴を風で補填し完全回復していた。
「KUKEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!」
「なるほどな……風がある限りお前は死なねえってか」
「面白くなって来たわね」
「お腹空いて来ちゃったなぁ」
【三貴神】はニヤリと笑うと自らの変身を解除した。
「やるぞ」
「ええ」
「うん!」
「「「合体!!!」」」
その言葉とともに三体の神器鎧はバラバラになり新たな一つの巨大な神器鎧へと変貌する。
【天照】を中心に【須佐男】の武装と衣、【月詠】の大きさを組み合わせた合体巨大神器鎧が完成する。
「「「神器鎧零式【伊射奈岐大御神】完成!!」」」
「KUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
コックピットに三人が乗り込むと神器鎧の目が光を灯した。
「グゥウガァアアアアア!!!」
神器鎧の叫びが周囲に物理的な威力を伴って発せられる。
「くらええええええ!!!」
赤熱した薙刀が【嵐災】へと振り下ろされた。
しかし捉えることはできない。
「くそっ!?青やれ!!」
「分かってるわ!!」
胴体部分から生えた触手が【嵐災】を捉えるべく襲いかかる。
しかしカスリもしない。
「しょうがないなぁ、あーん!!」
【嵐災】の背後に出現した仮面による捕食攻撃もまたすんでのところで躱された。
風に舞う木の葉のごとくすり抜ける様に躱していくのだ。
「こいつぁ……骨が折れるなあ……」




