鎖なき者の咆哮
「にゃーーーー!!」
「うおっ!?」
戻って来たか……それで猫が抜けた【獣災】はどうなる、今のところ動きが止まったみたいだが。
「まさか帰ってくるたあな……その獅子はなんだ?」
おっさんも元気そうで何より。
「ああ、こいつは「待て……、【獣災】が逃げるぞ!!」
「まさか……上で何かあったの!?」
なんで【獣災】が逃げる?
【五碧】もおっさんもシトリーも致命打なんて与えてねえしリンゴも猫もまだ何も……?
「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
出てる部分だけで上に行っちまったよ、下にある馬鹿でかい体はどうすんだよ。
まあなんにせよ。
「クソが!!追うぞ」
「盟友頼む」
「分かった、行くぜ」
「私は飛ぶわ」
「先に行ってるにゃ!」
あ、ずりい。砂まみれになるの回避しやがった。
そして地上へ行った時俺はとんでもないものを見た。
【悪魔】だ、そう形容するほかない。
あれを差し置いて【悪魔】を名乗ることなんてできやしないと思うほどの存在がいた。
獣を鎧袖一触し殺戮を撒き散らすそれはまさしく悪魔の所業。
それでもあれはなぜか気高さを放っている気がする。聖性ではない、それでもそれに準ずるなにかの力を感じる。
鎧のような外見、六本の腕それぞれに持った武器、広げられた翼は漆黒、口の部分が裂け牙の覗く兜、太く強靭な尻尾、頭上には黒い輪が三重。
【第三魔王】が召喚したのか。
それとも他の何かなのか。
「そうですか……枷を捨てられたんですね。メアリー様の為に……お父さん」
確定、あれ【第三魔王】だ。
え?ちょっと待って?
あいつ変身残してるタイプの魔王だったのか。
あれすげえぞ、強さの尺度はよく分かんねえけど世界を滅ぼすっていう意味だったら【災】なんか目じゃねえくらいの危険度だ。
体が勝手に震えて来てやがる。
「なんだありゃあ……あんなのデタラメじゃねえか!!」
「無理だ。あれを止められる者などいない」
実力者から見てもあの異常さは共通らしいな。
それはそれとして【獣災】はどこへ行った。
この感じだとより脅威度の高い【第三魔王】を先に攻撃すると思うんだが。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
出たな。
なるほど、体は捨てたわけじゃなくてその分の力を持ち出しただけの話だったのか。
分裂前より更にデカイ、見上げても全部は見渡せないサイズの巨大さだ。
口触手も健在で元気いっぱいって感じだな。本当に弱体化しねえでやんの。
「あの化け物は敵じゃねえ気にすんな。【獣災】に集中しろ!!」
声を張るくらいしかできることねえからな、あとは……。
「【禁断の地球の実】」
流石に何度もやれば出すのぐらいは省略できるようになるわな。
大事なのはこのリンゴがどういうものなのかを知ることだったみたいだ。
これでいつでもリンゴをぶちこめるってあれ?
「デカイくらいで調子にのんじゃねええええええ!!!【邪剣・鏖殺】」
十字架みたいな剣がいっぱい出て来たぞ、それでそれをどうすんだ。
「蜂の巣になりやがれ!!」
大量射出しても大きさが大きさだからな、そんなに効くわけ
「爆ぜろ!!【悪魔の葬送曲】」
「ぐうっ!?」
「うおう!?」
「なにっ!?」
「きゃっ!?」
「眩しいにゃー!?」
大☆爆☆発
いや。シャレにならねえ。
目も開けられなければ、猫が咥えてくれなきゃ吹っ飛んでた。
いくらなんでもこれはデタラメすぎだマジで。それとも転生者はこれくらいできるもんなのか?
「仇の気配がなくなった……【獣災】は消滅した」
え?
「砂にも引っかからねえ、あれだけいた奴らが影も形もねえ……終わったのか」
ええ?
「これが愛の力。やっぱり愛は最高で最強なのね」
いやいや、あれは純然たる暴力だっただろ。
「もうこの姿でいる必要もないにゃ」
戻りやがったな。本当に終わり?
あっけねえ。
魔王連中が全然焦ってなかった理由分かったわ。こんなことできるんならいつでも処理できるわな。
脅威でも何でもねえってことか
んー、あいつらをどうにかする手段も考えなきゃいけないかもな。
「終わりだ……うぐっ!?」
【第三魔王】の様子がおかしいな。
「あ……が……ぐ……ひ……ひひひ」
おいおいおい、冷や汗が止まんねえぞ。
「ゲハハハハハハハ!!!」
暴走とかやめろよ……冗談だよな?
演出だよな!?
「ハ……ハ……逃げろ……他の魔王を連れてこい……止められるのは……それしかいない」
あ、アカンやつや。
「オオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
世界を揺らす咆哮が俺たちに直撃した。




