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少女改変-オルタードマン-  作者: あやちん


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【22】ドライブ騒動。見た目美少女な元男は困惑する

 運転するのに問題はなかったものの、非力な俺にはオモステは非常につらい。けど車庫入れとかで少なからずそういう操作をする必要が出て来るわけで、なんか先が思いやられるわ……。


 ま、愚痴はともかく、駐車場から車を出した俺はそのままドライブに突入した。


 行き先はとりあえず箱根方面かね。富士山でも拝んで帰ってくるルートでいこう。ウザい下道は極力避けて高速使って効率よく行こう。


 と言ってもまずは愛車に燃料補給が必要。走り出して早々なじみのスタンドに流れ込む。それなりに目立つ俺の車に気付いた店長さんが駆け寄ってきたが、運転席を見てお口ぽか~ん状態になってる。


「あれ? え、どういうこと? 川瀬さんの車だよね、これ。運転手……誰? 子供? え、いいの、これ?」


 混乱すごいな。ちょっと笑える。けどいつまでもそれじゃ気の毒か。


「て~んちょ。何言ってるの。おりぇ、あ、私だよ、私。佑奈ゆうな。常連客の顔忘れちゃった? ひどいなぁ」


 そんなセリフとともに、目が点になってる店長をサングラスを外して睨みつける。ま、お約束の改変オルターで再認識してもらいましょう。ついでに会員登録の情報もかいざ……いや、改変しておこう。LV3になって少し離れたところからでも細工出来るから何気に助かる。


 無事改変をすまし、ガソリンも満タンにしてもらい、スタンドを出る。やっぱガソスタはフルサービスに限る。この姿になった今、特にそう思う。イチイチ外に出て給油作業なんてやってられない。


 ここがセルフにならないことを切に願うわ。


 国道をしばらく流し、もう少しで高速ってところで嫌なものに遭遇した。っていうか後ろに付かれた。


「うっそ。まじか……」


 白いバイクに乗って、青い服着てる会いたくない人である。更にご丁寧に横に付かれゼスチャー交じりで指示してきた。


 左に寄せて? 止めろ?


 ほわ~い? なぜ?


 俺ってば、流れに乗って、キープレフトでずっと模範運転してたよ?


 けれど公僕に抵抗しても無駄。俺は素直に路肩に止めた。白バイも俺の後ろに止めると、隊員さんがこちらに歩いてきた。ひぃ~、な、何、何言われるの? 引きこもり系社会人は警察の世話になるようなことは何もしてないです~!


「ご協力ありがとうございます。申し訳ありませんが免許証を拝見させてもらえますか?」


 ん? 案外物腰やわらか……。


 白バイ隊員さんの口ぶりに、ちょっとテンパってた気持ちが持ち直す。で、冷静になって考えれば思い当たることは一つしかない。


 こ、子供が車運転してると思われてる?


 またこれか~。


「……はい、これ、です」


 素直に免許証を差し出すも、どうしても不服そうな表情を浮かべてしまうことは抑えられない。帽子をかぶり、サングラスかけててもそう見られてしまうとは……、我ながら泣けてくる。


「う~ん、川瀬佑奈かわせゆうなさん……、平晟十三年生まれ?……ですか。失礼ですがサングラスを外してもらっても?」


「あ、はいぃ」


 小市民な俺はやはり素直に従う。


「……な、なんとも、これは……。はい。ありがとうございます。本人に間違いない……ようですね。わざわざお時間とらせて恐縮でした。このまま行っていただいて結構です」


「あ、あの! これって、その、どういう?」


 特に理由を告げずに俺を解放しようとした白バイ隊員さんに俺はつい食い下がってしまった。そんな俺の問いかけに、さすがにバツの悪そうな顔をした隊員さんはそれでも正直に答えてくれた。


「いや、申し訳ない。あまりにあなたが、その、若く見えたもので。高校生、あるいは中学生が無免許運転をしているのでは? と、疑ってしまいました。ですが、免許証でしっかり確認出来ましたので。いや、本官の勘違いで時間をとらせてしまい、申し訳ない」


 ちっ、やっぱり。


「あ、いえ。納得してもらえたなら良かったです、あはは……」


 いやもう笑うしかないわ、ほんと。




 この後、白バイ隊員さんに敬礼とともに見送られ、俺は逃げるように走り去った。なんかもう、いきなり出鼻くじかれてテンションだだ下がり。


 もう帰っちゃう?


 いや。


 これで引き返すようではなんだか負けた気分で、悔しい。ここは初志貫徹でドライブ続行だ!


 俺はそのまま予定通り、高速に突入した。平日の昼間はトラックとか多いものの、混雑には至らず走りやすい。俺は変わらず安全運転で周りの流れに乗って走っていく。


 高速では変にあおられることはなく、お巡りさんに目を付けられることもなく、無事走り抜けることができた。あとは幾つか国道を経由して目的の箱根周辺に無事到着した。まぁ大体一時間半程度の行程で、久しぶりに運転する身としては程よいリハビリになった。


 けど、お楽しみはこれから。この辺りの有料スカイラインをハシゴして回ろうと思う。天気も変わらずいいし、今から見られる景色にも大いに期待できそうだ。



「う~ん、サイコー!」


 国道を走ってる最中、ちょっと日差しの強さに屋根を開けて走ってることに後悔しかけたけど、ここに来てのオープン走行は格別だ。標高もあるこの辺り。吹き抜ける風もさわやかで、風の巻き込みが多少あるこの車でも全然(わずら)わしさを感じない。


 ここの道はいたる所に富士山が見れるビュースポットがあって、そこもまたポイント高い。ホントに最高だ。山頂付近には雪も案外残ってて、これぞ富士って感じだし。


 ああ引き返さず、来てよかった!


 走ってると、対向車の人がそこそこ珍しい俺の車に目を向けてくれれば嬉しいし、自尊心がくすぐられて気分もいい。まぁついでに運転してる俺を見て少なからず驚く人がいて、それはそれで面白いかもしれない。


 よそ見して事故しないよう気を付けてね!


 しかしまぁ、帽子かぶってサングラスしてるんだからそんなに違和感ないと思ってるんだけど、けっこう驚かれるから不思議なんだよな。俺どう見えてるんだろ?


 ま、気にしちゃ負けだ。スルーしよう、スルー。



「うう、ちょっと休憩したくなってきた……」


 結構な長時間、車の運転を続け、さすがに休憩しないとやばい。


「ああ、降りたくないなぁ……」


 ま、そうも言ってられない苦しい現状。膀胱の括約筋がもう限界。


 背に腹は代えられずレストハウスのあるところに急ぐ。昼時までもう少しある。いてるといいなぁ……、色々と。



 だがしかし、やっぱそこまで甘くなかった。



 平日とは言え観光地でもあるここに、人がいないなんてことがあるわけなかった。

 

 ぺったんこの黄色いスポーツカーが目立たないはずもなく。スーパーカーほどの派手さは無いものの、屋根をオープンにして走ってることもあり、それなりに人目を引いてしまう。更にそれに輪をかけてるのが俺本人なわけで。


「え~、高校生が車運転していいの?」


「いや、さすがに無免許とかないだろ。大学生じゃね?」


「可愛いお子さんだねぇ」


 みなさん、もうちょっと声は控えめでお願い。全部聞こえてくるんで。


 愛車からなけなしの腕力と体の柔らかさを使って器用に降りれば、聞こえてくるのはそんな声。そこのばあちゃん、お子さんはないでしょ、お子さんは。俺二十三だから。


 まぁいいや。そんなことより、ことは緊急を要する。トイレ! トイレどこ~?

 いつぞやのディズキューの二の舞は避けねばならぬ~。


 危ういところで、なんとか女子トイレに駆け込んだ俺。


 ふふん、もうね、女子トイレに入ることに抵抗があったのなんて最初だけです、最初だけ。男も女もやるこたぁ同じ。ちょっと形が違うだけ。気にしたら負け、気にしたら。


 で、出すもの出した俺は、なぜだか気が大きくなり、ここでご飯も食べていくことにした。けど、その選択は大間違いだった。俺なにやってんの?


 ピンク髪の小柄な女の子が一人ぼっちでご飯食べてるのって、そんなに珍しいか? とにかく妙に目立ってしまい、周囲から興味本位の視線を散々向けられてしまった。チャラい野郎とかいなかったのがせめてもの救いだった。


 俺は急いでご飯を食べ終わると、すみやかにその場から去った。


 あれ以上あそこにいたらいつ声をかけられるか、わかったもんじゃない。意識しすぎかもしれないけど……。引きこもり系社会人のクソ雑魚メンタルを舐めないでいただきたい。


 

 そんなこんなで知らない人怖い、とばかりにビビりが入ってしまった俺は、そそくさとレストハウスのある駐車場から車を出し、まぁ時間も昼になったところで、マンションに向け帰途につくことにした。


 俺っていつもこんなのばっかだな。ちょっと学習能力さん仕事して。



 マンションには午後三時前には帰り着いた。どこにも寄り道せずまさに直帰だったしな。


 無事帰れてよかった。


 一人はやっぱ心細かった。


 けどドライブは行きたいし。今度は横に誰か乗せてくか?


 でもそれはそれでめんどくさそう……。



 うう~ん、人が来ない絶好ドライブスポット、誰か教えてプリーズ!


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