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運命

「遅い!! やっと来たわね! ずっと待ってたんだから!」

「ずっとって……約束の時間には間に合ったんだけど」

「そんな事よりあれ見てあれ!」

「げっ!」

「あれってやっぱりケルヴィン様よね!」

「何であいつがここに? ていうか、店変えない?」

「入ってすぐ出てく方が変よ。しばらくしてからにしなさい」

「いや、でも、姉さんに連絡した?」

「……するの?」

「当たり前じゃない! そうじゃなきゃ、なんと言われようと店変える!」

「んもう! そんな大声出したらケルヴィン様に気付かれるから静かに! マスター、ついでに奥の席に移動させてちょうだい。ほら、あんたも荷物持つ」

「店の中でじゃなくて!」

「今出てく方が怪しいわよ! ほら、いいから座んなさい!」

「……最悪よ。何であいつがここに」

「会社から近いからじゃないの? あんただって仕事終わったらすぐ来てたんだし」

「そうだけど……そうじゃなくて……」

「ていうか、あたしたちが約束した日にケルヴィン様もやって来るとかもう運命なんじゃない? ドラマだったら職場にケルヴィン様が来た時から話しが始まってるわね」

「そんなドラマは見ない! ていうか、いつも飲む店さっさと変えときゃ良かった」

「それは無理なんじゃない? あんた忙しいって言ってたし」

「私じゃなくてあんたに探してもらうの!」

「あたし? 嫌よ面倒臭い」

「……姉さんに言うわよ」

「分かった。すぐにでも探しましょ」

「じゃあ、この店出ましょ! 今すぐ!!」

「だから、今出てく方があんたに気付かれるわよ! って隠れて!」

「いたっ……いきなり頭押さえつけないでよ。ああ、もう髪ぐしゃぐしゃ……」

「ごめんなさい。ケルヴィン様がこっち向いたもんだったから」

「えっ! それはやく言いなさいよ!」

「大丈夫よ。投げキッスしたら目を反らしたから」

「ああ、うん。ありがとう」

「……涙が出ちゃう。だって女の子だもん」

「詰まんない。それより、あいつに怪しまれるって言うならいつ出るのよ」

「そうねぇ。いっそケルヴィン様が出てってから行く? いつ出てくか分かんないけど」

「長く居座らなきゃいいんだけど」

「マスター、ホーセズネック2つちょうだい。まあ、ケルヴィン様がこっち向いたらあたしに任せてちょうだい」

「頼んだわ。あいつを倒してちょうだい」

「いくらあたしが美人だからってさすがに無理よ」

「無理?」

「無理よ」

「そう、残念ね」

「残念と言いながらロージャン様に連絡しようとしないで」

「チッ」


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