11.客との遭遇?
冒頭の人物がやっと登場です。登場…というか通りすがり?
化粧もヘアセットもそのままで、私服着てる私って…
「なんか変」と、呟いた真奈に「早くして。あんた(やはり呼ばわり…)車どこなの?」と、すでに酔い潰れた紗也子を背負った葵が、びっくり力自慢をしながら後をついてきていた。
「…やっぱり変な光景」とぶちぶち…呟きながらたどり着いたのは、店から歩いて8分ほどの立体駐車場だった。
ママのお得意様ということで、特別にサービス料金前払い(もちろんママが)済み。
守衛?受付のおじさんに、車種とナンバー、店の名前を出すとすんなりと車を降ろしてくれた。
「これです。後ろ片付けますから待ってください」と愛車の青色の軽自動車を指差し真奈が言うと、待っていられるかとばかりに後部座席のドアを開けて、力自慢さんは、紗也子をほうり込む。
「あっ…ちょっ…あ〜もう買物袋が潰れた…」と、ぶちぶち真奈をよそに、力自慢…葵は「さっ。あたし戻らなきゃ行けないんだから、早く出してっ」と、チャッチャと後部座席に乗り込み紗也子をひざ枕する。
「はぁ〜何だかんだで面倒見がいいんですね」と、真奈がやれやれ車に乗り込もうとしたら…
「あれっ。何?お揃いで紗也子送迎かよ?ついてねーのっ!」と本日何度目かの聞いた声。
またかよ…と、声がした方を振り向くと。
男装?の凜子…もとい凜が立っていた。
「凜子っ!いいところにいたっ!」あんたも付き合いなっ!と、紗也子の頭が座席にカクッ…と落ちるのも構わず車外に、言葉通りに飛び出た葵は、有無も言わせず凜を助手席に押し込んだ。
「はっ?!ちょっ…なんで俺がっ!」と抵抗を見せる、まがりなりにも男子の凜を捩込む(ねじこむ)葵。
「つべこべ言わん。紗也子抱えて部屋に行けば帰してやるから」と宣う力自慢姉さんに、凜はどうやら頭が上がらないらしい…。
呆れるやら、おかしいやらで複雑な表情で真奈は車を発進させた。
紗也子の自宅は、それから10分ほど車を走らせたところにあるマンション(まあまあ高層)だった。
賃貸マンションとのことだが、それでも立地や建物からして結構な家賃であろうことは想像できた。
「あんたは、ここで待ってなよ」と、ぶちぶち言いながら紗也子を抱えた凜を従え、力自慢姉…葵は真奈にそう告げてマンションに消えていった。
「……はあ」
本日一番の盛大なため息をこぼした真奈は、二人と、ぐったり一名が消えていったマンションの入口を眺めて、ボーッとしていた。
ら、「…!やばっ!」と思わず頭をハンドルに沈め、隠れた。
ちょうどマンションの前を通る人の中に、見知った顔を見つけたからだった。
「あれは〜楢山くん?と、…櫻井かよ…」相変わらず、こんな繁華街で遊ぶ元気あるよな〜。と、その繁華街でさっきまで働いていた自分を棚にあげて真奈が思っていた矢先…。
はた…と二人が立ち止まり、こちらを見ている。
ハッ…!この車、色が珍しいから悪目立ちだよ…。あいつら私の車知ってるし。
ヤバいな…バレるかな。
頼むから、気のせいだと思って通り過ぎてくれっ!
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ…
と、顔を伏せていると。
…コンッ。コツンコツンッ。
ビクッ?!…ひゃっ!
「何やってんの?おまえ?」と、マンションから戻ってきた凜が助手席の窓を叩いていた。
「いや…ちょっと知り合いがいたから…」と、真奈がドギマギと顔を二人がいる方へ向けた。
「あ?知り合い?あの二人?…へぇ」と、面白そうな玩具を見つけたような表情で、ニヤリと凜が笑った。
さすがにこの数時間一緒に過ごしてみて、これは何か企んでる顔だ…と分かりはじめた真奈は「ちょっとなんなの?やめてよね…」と、思わず口に出して助手席の窓へ寄って、凜の服をクイクイと引っ張った。
「あんた。知り合いが店に来た時の対処方法、ママと相談して考えといた方がいいよ」と、いつの間にか戻って来て、二人の会話を聞いていた葵が車に乗り込みながら言った。
「へ?」
「くくくっ…あいつら店によく来るよ」と、凜が二人を指差した。
ええええぇーーーっ?!
マジかよ…。
マズイだろ。あの二人は、施設に出入りする業者と施設の同僚だ。
うちの会社副業禁止だしっ!
バレたら解雇とまでは、行かなくとも減給とか…。
やだーーっ!
どーーしよーーっ!
しかも、第一ホステスって私のキャラではないのよーーーーっ?!
もうひとつの作品ご存知の方は、“太陽の王子”が登場です。
バレる…うそや隠しごとが知られてしまう。露見する。発覚する。




