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陽炎の恋  作者: Rivers
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夏の初めの

ヒロイン視点のオリジナルNTR同人を描くにあたってヒロインと主人公が付き合うまでの前日譚的なものを固めておきたいなと思ったため書き始めました。

マイペースな更新になるかもしれないですがお付き合いいただけると幸いです。

 高校に入学して最初の夏休み。

 俺の上がったテンションに呼応するかのように太陽が強い日差しを照りつけてくる。

 気温と日差しが容赦なく体力を奪い、今日外に出たことを後悔させる。


(夕方から外に出るべきだったかな。)

 そんなことを考えているとポケットでスマホが震える。

 一度立ち止まりスマホを確認すると幼馴染である「東條早苗」からのメッセージの通知だった。


『北海道は名古屋よりはよっぽど過ごしやすくて助かるわ。』

 そんなメッセージと共に送られてきた写真には、黒髪のロングヘアと涼し気な瞳に淡い微笑みを称えた少女が映っている。

 カワイイというよりは美人であるその少女が、俺の幼馴染である東條早苗その人だ。


(そういや、夏休みまるっと使って北海道に旅行してくるって言ってたな……。)

 せっかくの夏休みなのに友達と遊ぶとかしないのかとか、運動部じゃないにしても部活はいいのかとか。

 そういうことを考えないでもなかったが、アイツのことだうまくやったのだろう。そもそも、俺と同じく遊びに行くような友達は少ないらしいが……。


 そんなことを考えているとスマホが再度震え、追加のメッセージを知らせる。

『リョウも暑いからって家に籠ってないで外にでるのよ、不健康だから。』

 早苗は学校では幼馴染であることを隠しているのもあって『葛城君』と呼ぶが、二人のときは俺の名前である葛城陵介から取ってリョウと呼んでくる。


(あまりの暑さに今日のランニングはサボろうと思ってたことがバレたみたいだ。)

 呼び方からも、その内容からも付き合いの長さを伺わせる。

 その事実に少し温かい気持ちを抱いているのを自覚し、少々恥ずかしくなった。

 俺が一人で恥ずかしさを覚えていると、突然背中に軽い衝撃を受けた。誰かがぶつかってきたようだ。

 道の端に寄ったとはいえ、邪魔になってしまっていたのだろう。


「す、すみません。立ち止まってしまっていて……。」

 そう言いながら振り向いた視線の先には人がいない。疑問に思ったのもつかの間、視界の下に蹲った人の頭が映った。


「大丈夫ですか!?どうなさったんですか?救急車は必要ですか?」

 一瞬自分がなにかしてしまったかと思ったが、流石にあの程度の衝撃でそんな大事になるとは思えない。他の要因があるはずだ。

 女の子は呆然としていて反応がない、意識がないわけではないだろうが目の焦点が合っていない。

 緊急事態の可能性もある、このままでも行けないと思い一旦7119に電話をかけようとスマホを手に取った。


「ごめん、大丈夫。大丈夫だから。まって」

 番号を入力し、いざ掛けようとしたところで女の子から待ったが入った。


「ごめんなさい、ぼーっとしちゃってただけなんです。」

 そうは言うが、そんなレベルの状態じゃなかった。本人がそう言ってるとはいえ「はい、そうですか」と放っておいて良いのか迷ってしまう。


「あー……そうですよね、ごめんなさい。家族との間で凄くショックなことがあって……。家には帰りたくないんです。」

 本人にも相当重症に見えていた自覚もあったうえ、こちらも怪訝そうな顔になっていたのだろう。彼女は何かを察して説明を始めていた。

(家族……か。)


 両親がすでに他界していて、保護者である叔父は近場に住んでいるが同居はしていない。もう慣れてしまったことではあるが、それでも少し思うところはある。


「余計なお世話かもしれませんが、手持ちがない状態でどうするつもりだったんですか?この後が決まってる人間の様子には見えませんでしたが……。」

「正直なるようになるかなって、ファミレスとかそういうところで……。」

 ……計画性がなさすぎる。よっぽど衝動的なことだったんだろう。両親のどちらかと喧嘩の末に飛び出してきたというところだろうか。


「最近は24時間営業の店はほとんどないですよ。それに治安も悪いからおすすめしません。」

「え!?そうなの!?都会のファミレスなんて大体24時間やってるものかと……。」

 この人をこのまま放置すると見知らぬ家族の平穏が永遠に崩れ去る可能性がある、個人的にはこのまま放っておきたくはない。

「……ひとまず、冷静になる時間が必要だと思います。喫茶店にでも入るか……」

 そう言ったところで彼女の顔が曇る、もしかして本当に手持ちがギリギリなんじゃないだろうか。

「俺の家はすぐそこなんです。貴方がいいなら少し家でお茶でも飲んでいきますか?ただし俺は一人暮らしです。もちろんなにかするつもりは無いですが、そのあたりを踏まえて決断してください。」

 これが今の俺にできる最大の提案。ここまでやったからと自分が納得できそうなギリギリのラインの提案となった。


 彼女は流石に面食らったようで、驚いた顔をした後に俯いて小声でなにかを呟いている。

「…………流…に……い…まぁ……いか…」


 そのうち意を決したような表情で彼女で顔を上げてこういった。

「お言葉に甘えさせていただきます。」

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