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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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氷結竜

「寒いぃぃぃい!」

白い雪の積もる山肌を少年が歩いている。


(もう少しだ。あの岩陰で休もう。がんばれ)

「白さん、魔法使わせてよぉ」

(まだ無理だって、さっき使ったばかりだろ)

少年が俺を纏って魔法を使うには時間制限があった。

以前は30分でぶっ倒れていた。

回復魔法を併用すれば延長可能だが、その分精神に負担がかかるため、その後にダメージが残る。


「じゃあ、代わってよぉ」

(それもまずいって、前にそれで凍傷になりかかったじゃねぇか)

俺が憑依すれば痛みや疲労は感じなくなるが、実際の体に負担が残るのは確認済みだ。

調子に乗って極寒の道を歩き続けて、危うく指先が壊死えししそうになった。


「うぅぅ、さむぃぃぃ」

(もう少しだ、がんばれ)

挫けるアインを励ましながら道なき雪山を進む。


ようやく岩陰に入ることが出来て、そこで休憩準備を行う。

(よし、交代だ)


俺は坊主に憑依し纏い状態で魔法を使う。

「ゲオナ」と口にして土の精霊を呼び出す。

纏いの色が黄色に変わった。


岩壁に手をつき、洞窟をイメージすると。


ご、ごごごぉ


そこに最初からあったように洞窟が現れた。

中に入り「アネモネ」と別の精霊を呼び出す。

今度は緑に変わり洞窟の入り口を風の結界でふさぐ。


「イグナ」

火の精霊を呼び出して、炎で洞窟内を温めるとやっと落ち着ける場所が出来た。


少年と交代して少し休憩を取ることにした。

背嚢からお茶の葉と小型のケトルを取り出し、水を入れる。

持参した薪に火をつけて、お湯を沸かす。

沸いたら、お茶の葉を入れて葉が開くまで少し置く。

コップに香ばしい香りの液体を注ぎ口にすると人心地ついた。


「魔法が使えるようになって助かったね」

(ああ、これが無かったら山越えなんか考えなかったよ)


坊主とのシンクロ率が上がった成果はいろいろあった。

こうして会話できるのも、意識がある状態で交代ができるのもそうだが、何より魔法が使えるように『纏い』が強化された。


以前は薄いもやのようだったそれが、今では透明な羽衣のような形になっている。

そして、精霊を呼び出すことで詠唱無しで自在に魔法を使えるようになった。


これまで、生活魔法しか使えなかった俺たちは色々と試した。試しすぎてぶっ倒れたこともあったが、ある程度は使いこなせるようになっていた。


(やっぱり、本格的な魔法の修行は婆さんたちに教わらないとな)

イメージしやすいものや、見たことがある物であればすぐに再現できたが、基礎知識が足りないせいかうまくいかないことも多い。婆さんのゴーレム兵などを真似ても、うまく統制が取れずにお互いに戦い始めてしまう。


「魔術師ってすごいんだね」

少年は改めて、ナージャやミリーを尊敬した。


(この辺が竜の巣と言われる最後の場所だ。ここを抜ければ街道に出られるからな。あと少しの辛抱だ)

食事をとりつつ地図を確認する少年を励ます。

「みんなはもう城に着いたかな?」

(そうだな。。。)

おそらく、仲間はアインを探して旅を続けているだろう。

婆さんの考えはきっと、街道沿いの村で合流出来るはずだ。


しばらく、体を休めていたら少年はうとうとしだして眠りこけていた。

そこに、突然轟音が聞こえた。


ごごごご


(まずいな、雪崩か?)

この岩穴なら潰れることはないが、最悪生き埋めになる可能性はある。

その場で身構えていたところ、結界で守られた入口が雪でふさがれた。


「どうするの?」

(ん-。坊主交代だ)


俺は坊主と交代し纏いをかける。

「ラティス」水の精霊を呼び出し、纏いが水色に変わる。

雪の壁に手をつき、水分子を振動させるイメージを放つ。


水微振動波ウォーターマイクロ・ウェイブ


電子レンジと同じ原理で振動した水分子が、熱を持ち始め雪がゆっくり解けていった。

斜め上に向けて進み雪の壁を溶かす。

外に出るとそこには、雪と氷を従えた竜の姿があった。


氷結竜グラキエ・ドラコ

中型竜の中では最大の大きさで、全長が10mを超える。

全身が尖鋭的な印象の竜で白い竜燐が美しく輝く。

身体の周りには常に氷の礫が浮きながら追従している。


この辺が縄張りらしく、魔法を使った俺たちを外敵とみて近づいて来たようだ。

「雪崩はこいつが原因か。。。」

(逃げるの?)

「当然!。。。アネモネ!」

風の精霊を呼び出し、疾風となる強化をかける。


全身の体重が無くなったように体が軽くなり、雪の上を滑るように移動する。

氷結竜グラキエ・ドラコは、見逃してはくれず、氷の礫を飛ばしてくる。

右へ左へと攻撃を避けながら風のように山を下っていく。

雪が盛り上がり先が見えない。

段差を避けようと速度を緩めた。


ぶふわぁぁぁああああ!


そこに真っ白なブレスが襲い掛かる。

ブレスに触れた降り積もった雪が、一瞬でガラスのような氷片に変わり砕ける。

極低温の死のガスが背後に迫る。


「イグナーーー!」

咄嗟に火の精霊を呼び、背後に爆発を起こす。

爆風による超加速と背後への熱の返礼。

白と赤の交じり合う境界で、青白い放電や紫の発光現象が起こる。


ドォォォオオオン!


白い死神は急激に膨張し、次に起こったのは大地を震わせるほどの衝撃波だった。

極低温と爆発による高温がぶつかった結果、巨大な白い球体となり膨れ上がり周囲を弾き飛ばす。


その衝撃は氷結竜グラキエ・ドラコを飲み込む。

俺たちは背後から迫る衝撃波を、風の障壁で受け止めて力に逆らわずに弾き飛ばされた。


「ラティス!」

着地に備えて水の結界を張り、息を止めて水球の中に体を沈める。

着地と同時に水の中で振り回され、洗濯機の中の洗濯物の気分を味わった。


ばしゃあ


水球を解き、雪の中でずぶ濡れになった。

早く体を乾かさないと。


どどどどどどぉぉぉ。。。。


遠くに雪崩の音が聞こえたが収まったようだ。

先ほどの場所からだいぶ麓に飛ばされた。

すぐそこに山小屋が見える。

近づいたが人の気配はない。


「助かった」

(。。。)

坊主の反応が無い。さっきの衝撃で気を失ったようだ。


山小屋に入り火を起こす。


火の精霊に中を温めさせて、風の精霊に暖まった空気を循環させる。

即席の乾燥機と化した山小屋の中で、服を脱いで乾かした。


回復魔法をかけてから奥にあった毛布に包まる。

憑依を解くと纏いがスゥっと消え、寝息が聞こえてきた。


(やれやれ、ここで少しは休めるかな)


連日の強行軍で体力を消耗しているところに竜の襲撃は流石に堪えた。

俺は坊主の寝息を聞きながら、これからの道程をどうするか考えていた。



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