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和解

冒険者一行に合流した少年と主人公との旅の日々のお話です。

少女が打ち解けられない理由が明らかになります。

また不思議な存在との邂逅もあるようです。


その後、一行は今後の方針を話し合った。

このまま少年を保護することに反対する者はいなかった。


一行の目的地も港湾都市であり、それまでは同行することになった。

途中で避難民と出会うことができれば、彼らに身を預けることも出来るだろう。


少女は複雑な表情をしていたが、即席の旅の仲間として受け入れることにしたようだ。


そこからの旅路はトラブルなく行程は順調に進んだ。

旅の間、冒険の心得や冒険者として生きていく上での基本的なスキルを学んだ。


魔術についても手ほどきを受けたが、どういうわけか一般人が使える魔法すらも少年には使うことは出来なかった。


これにはナージャも首をひねった。

「こんなことは、ありえんはずなんじゃがのお」


どんなに才なき者でも、生活魔法はごく当たり前に使える。

それはこの世界に生まれたものに与えられるギフトで、平等だ。

その代わり、どれだけ研鑽しても魔法の効果には限りがある。

大きな魔法を使うには触媒や、大規模な魔法儀式が必要になり、その方法についての長い研鑽の成果があってのことだ。


魔術は魔法使いが管理し一般には知ることのない技術として秘匿されていた。


「魔法を阻害するなにかがあるようじゃ」


うーん、思い当たる事が多すぎて、冷や汗をかく。

それって、俺のせいじゃね。


もちろん、意識して邪魔してるつもりはない。

ただし、他人と違うって言われれば何も言えない。


守護霊どころか疫病神じゃねーか。

自分の存在意義に疑問を抱きつつ、いつものように浮いている。


それでも、坊主の役に立つために出来ることをしていた。

憑依することによる疲労回復効果もその一つだ。


夜中にこっそり憑依して、寝床をそうっと抜け出す。


昼間に教えてもらった剣術の型をおさらいして、投げナイフの代わりに石をつかった投石を練習する。


そんな日々を過ごしていたある夜。

いつものように素振りをしていたら、声なき声をかけられた。


ねえ、あなたはだあれ?


近くには人の気配はなく、それとは違う自分と近しい存在を感じる。


その声に応えるように、声に出さずに話す。


俺は、この子に憑いている守護霊だ


えー変なの、あなたは私たちと同じなのに、どうして人に縛られてるの?


同じって何を言ってるんだ?そもそも君らは何なんだ?


そんなの僕らにもわからないよ。


だって私たちはこの世界に生まれることもなく、関わることも繋がることもないんだから。


時々、人の思いや願いの手伝いをしてるだけ。


こうして意思を通じ合うのもこれが初めて。


あなたはだあれ?


ぼくらはなにものなんだろう?


そんな、思春期の自分探しみたいなこと言われてもなあ

大人のひねた感想を思い浮かべていると


「ねえ」

今度ははっきりと声が聞こえた。

その瞬間に不思議な気配がなくなった。


少女が起きて話しかけた。

「いま、なにかいなかった?」


「べ、べちゅに」

久しぶりに人と会話したので思いっきり噛んだ


「なにもいなかったよ」


「何か気配を感じたんだけど。。というか髪が光ってる?」


ドキッとした。全然気づかなかった。


頭を指さして

「あなた夜になると髪が光るの?」

「よくわからないけど、時々そうなるみたい」

ごまかした。


少女が近くの岩に腰を下ろす。


「謝りたかったんだ」

「?」


少女が、小さい声で

「以前あなたのお母さんのこと悪く言った事」


ああ、最初に会った時に母親の事を許せないっていってたな。


「教えて、なんで母さんのこと許せないのか」


少女はクっと口を結び話しにくそうに言葉を漏らす。

「だって、お師匠様がかわいそう」


少女はぽつぽつと話してくれた。


母親が学舎を去ったあとの老魔術師のことを。

わが子のように手塩にかけて育てた弟子が去り、しばらくの間呆然としていた事。

大魔術師として、魔術師評議会の中でも力を誇っていた彼女がそれを理由に失脚させられたこと。

その後いくつもの陰口を叩かれて、長い間魔法使いの間で白い目を向けられてきたこと。


「私が弟子としてお師匠様に師事したのはそんな事があってからずっと後だった」

「お師匠様はあなたのお母さんに期待していたの」

少女は近くの小石を拾い指で弄ぶ。

「私も頑張ってる。でもあなたのお母さんの才能にはかなわない」

弄んでいた小石を放りながら言う。

「だから、そんなお師匠様を捨てて去っていったあなたのお母さんのことを許せなかった」


後のほうは涙声になってそう話した。


そうか、この子は師匠の期待に応えられていないと思ってるんだ。

自分を過去の母親と比べてしまったんだな。


「僕が、こんなこと言うと嫌かもしれないけど」

坊主の声を使って前置きした。


「ミリーが頑張っていることはナージャも分かっていると思う」

少女に顔を向けその目を見つめる。


「それにナージャはミリーのことを大事に思ってると思うよ」

「母さんの事があったからかもしれないけど、大切に育てようとしてるんだと思う」

「魔術の技術よりもっと大事なことを伝えようとしてるんじゃないかな」



ミリーはふっと息を吐いて。

「まだ小さいのに生意気」

彼女は微笑みながらそうつぶやいた。


物陰からナージャが二人の会話を聞いている。


お前の子はわしが伝えてやれない言葉を運んでくれた。

ありがとうよ。バカ弟子。


天を仰ぐと澄み切った冬空に満天の星が輝いている。

その中の一つが、どういたしましてと瞬いたような気がした。



不思議な存在が主人公へ接触し謎が深まりました。主人公は何者なのか今後明らかになるのでしょうか。

少年(主人公)は少女の心を救い本当の旅の仲間になれたようです。

次回はほのぼのなお話です。

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