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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 出会い

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一時の平穏

今回は息抜きエピソードのお話です。

一行は旅の途中の宿場町で休息し英気を養います。

少年と一行との日常が和やかに進みます。

旅は続き、残りわずかとなった。

そこまでに、いくつかの集団と行き交ったが、村民とは出会うことはなかった。


山道は終わりを迎え、平坦な地形に街道が整備されていた。

港湾都市に向かう前に、一行は休息をとるため宿場町に立ち寄った。


山越えをする旅人のための簡素な宿が数件あるのみだが、長い旅路では落ち着いて泊まれることはとてもありがたかった。


ここで物資の補給と一時の休息をとることで皆の意見は一致した。


「アインこっちきなさーい!」

ミリーの声が響く


あの夜からずいぶん打ち解けたようで、今では弟のような扱いになっている。

宿に着いて早々、女性陣は風呂に入りたいと言い出した。


これまでずっと水を浸した布で拭う程度だったので、年頃の女性には厳しいだろうと思われた。


早速、風呂に向かおうとしたところ、腕をつかまれた。


「あんた小さいんだから私たちと一緒よ」

ミリーは当たり前のように言う。


まあそうだよな、4歳なんだからそりゃそうなるよな。

うん、まあ仕方ない。俺もそうじゃないかと思ってたんだ。

だって4歳なんだもんな。いや、俺はいいんだよ。

だって守護霊で坊主に引っ張られるんだから。

いやーしょうがないなあ。


自己正当で論理武装は完璧。

いざっと思っていたら。


坊主が逃げ出した。


あーそっか、きちゃったかあ。

まあ、解らんでもないよ。


リタは瞳が大きく、ネコを思わせる少し吊り上がった目をした赤髪の美人さんだし。

健康的に日焼けして引き締まった体には余分な肉はないが、女性らしい膨らみはちゃんと性差を主張している。

ミリーにしても、顔立ちは上品で、長い黒髪と黒い瞳にスッと通った鼻筋で、これからの成長が楽しみな美少女。成長途中の少女特有のかわいらしさと美しさを備えている。


こんな美人のお姉ちゃんズと、お風呂一緒するのは恥ずかしいよな。


だが、しかし!

俺は一緒に入りたい!

こんな機会前世で一度もなかったんだよお。


必死に逃げ回る坊主をどうにか出来ないか、真剣に思案していたら。


「どうれ、ならわしと一緒に入るか」

とババアが言い出した。


オイ!余計な事すんな。

チェンジ!チェンジを要求する!


俺の断固とした主張もむなしく、ばあさんに手を引かれて風呂に向かう坊主。

一緒に引きずられる俺。


泣ける


ちなみに、この世界でも風呂は一般的で旅先でもなければ普通に入れる。

魔法技術のお陰でお湯には困らないらしい。


「ふう、いい湯だった」

「久しぶりのお風呂は最高ねえ」


風呂上がりですっきりした顔の一同。

どんよりした空気をまき散らす俺。


カイルだけはその空気に反応したみたいで、

「お、なんだ、なんかここだけ変」


夜


それまでの疲れが一気に噴き出したようで、就寝は早かった。

毎夜、疲労回復してきたが、やはり4歳の子供にはこの行程は厳しいものだ。


それにしても、村の避難民には一度も出会わなかったな。

全員が生き残れなかったんだろうか。

そこまで徹底して破壊するってことがあるんだろうか?


この世界にとって力がすべてであることは間違いない。

しかし、力のあるものも飯を食わなければ生きていけない。

すべてを奪いつくしては自分たちの利益にならない。

虐殺というのは野盗にとってもリスクしかないはずだ。

なのに。

あの村の惨状は言葉に言い表せないほど悲惨だった。


全員を生き残らせるつもりがないと思えるほどに。


どういうことだ?

ただの野盗ではなかった?


あの夜を思い出す。

軍隊のように統一されてはいなかった。

どう見ても野盗の集団だった。


なら野盗を裏で操っていたやつがいた?

一人も逃さないことを前提に?


そういえば、坊主の髪を見て何か言ってたのがいたな。


『いや、まだガキのほうは近くにいるはずだ、あのガキ金髪だった。ありゃ高く売れるぜ』


なんで髪の色を気にした?

金髪の意味を知るのは魔術師だけでは?


まさか。。。


偶然旅を共にした魔術師の2人を見る。


ナージャは金色の髪の子供を巡って対立があると言っていた。


疑いたくはない、だが魔術師が敵である可能性は何も変わらない。

魔法使いの総意が坊主の排除に傾いたとき、二人はどう動く?

味方になってくれるとは限らない。


これまでは良かった。だが、これからもよい関係でいられる保証はない。


一抹の不安を感じつつ、決意を固める。


坊主を守る。


これまで以上に注意して、慎重に考えよう。

坊主の心がこれ以上傷つかないように俺が目を光らせよう。


新たな決意を胸に、静かに夜は更けていった。




次の日の朝


一行は、物資の補給のため市場へと向かった。

この町は交易の経路に位置するだけあって、物資の流れは潤沢でありとあらゆる物が売りに出されていた。


坊主はミリーと二人でお使いに出ている。


香辛料やハーブ、薬草などの必需品の購入を任された。

初めての大きな市場に坊主も興奮気味だ。

村の市場とは比べ物にならないほど活気に満ちている。

品ぞろえも、見たこともない物ばかりで、きょろきょろしている。


「さ、あっちよ」

ミリーに手を引かれて薬草売りの区画へ向かう。

その途中でアクセサリーなどの小物を売る区画を通り過ぎた。


「お嬢ちゃん買ってかない?」


店の女性に声を掛けられる。


「お嬢ちゃんかわいいから、まけてあげるよ」

「ちょうどその黒髪に合う、黒水晶のピアスがあるんだ見ていきなって」


ミリーもまんざらではなくアクセサリーに目を奪われていた。


「へー」


そのピアスは、複雑な意匠を施された銀の台座の中心に、黒水晶がはめられていた。

黒水晶は薄く黒みがかった色をしてミリーの黒髪を引き立てる。


「ほら、すごく似合う、僕もそう思うよね?」


アインは素直にこくこくとうなずく。


「。。。買います」

「毎度!」


「みんなには内緒だよ」

ミリーはアインに口止めを約束させる。


それから、アインの服も調達した。

子供用の鎧などは無いので、厚手の皮袋を貫頭衣代わりに加工した。

その上からベルトを巻いて補強し即席の皮鎧をこしらえた。

今まで身に着けていた獣の皮も、肩当や首周りのファーやフードに加工してもらい見た目には小さな戦士風といった感じだ。


物資の補給も終わり、街道へと向かう。

つば広三角帽子に隠れて黒水晶のピアスが揺れる。


「ミリーそれ」

リタがいち早く気付く。

ミリーがそれにびくっと反応する。

「似合うじゃん(笑)」

恥ずかしそうにうつむくミリー。

そんなやりとりを優しく見つめていた老婆が出発の号令をする。


「それ、それじゃあそろそろ行こうかね」


一行は再び旅路に戻る。

行く先は港湾都市。


そんな一行を物陰からじっと見続ける男たちがいた。


休息の後に不穏な空気が残る回でした。

次回は最強クラスのキャラクターが登場します。


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