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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 少年との出会い

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森人の里

その後、一行は森へ向けて旅を続けた。

幾度の魔物との闘いを経て、冒険者パーティとしての闘い方を着々と身に付けていった。


前衛にカイルとリタ

中衛にアイン

後衛にミリー

後備えとしてナージャ


と、パーティ構成も様になってきた。


俺はというと、あの夜に婆さんにきつく言われたことを守っている。

「いいか、白いの。お前は今まで通りにするんじゃ。誰とも接触することは許さん」


もう何年も人と話していなかった俺は、婆さんになら話してもいいのか聞くと。

「それもダメじゃ。誰かに聞かれたらどうする。そちらから話しかけて来ても無視するからな」

夜中、婆さんにうざがらみしたら、ガン無視されたので、それからはおとなしくしている。


草原の先へと続く轍の道が、このままずっと続くような気になっていたある日、地平線から濃い緑色の木々が見えてきた。


風が運ぶ空気の匂いが濃くなってくる。

今は命が芽吹く水の季節。

近づくにつれて、森が持つ命の息吹が感じられる。


森と草原との境界線まで来た時に、誰何すいかの声が上がる。


いしら(おまえら)、だれだっぺよ!どっがら来たんだ!?」


リタが聞きなれないことばに困惑する。

「え?なに、なんて?」


答えを躊躇していると、一本の矢が飛んできた。

正確に、馬車の目前の地面に刺さった。


「けぇれ! こごは俺だぢエルフの土地だっぺよ。ほがのもんに用はねぇだ!」

閉鎖的な環境のせいなのか、一般の言葉とは少々変わっているが、言ってる意味は通じそう。


里長さとおさに取次ぎを頼む。俺たちは罪人を受け取りに来たんだ。草人の長からの紹介状もある」

カイルがそう言うと、木々の間で動きがあった。


「いしら、もうちっとそのまま待っててくんろ。」

確認をしているようだ。


しばらくそのまま待っていると、先に進んでよいと言われた。



森に入ると、様々な音が聞こえる。

木々の擦れ合う音、風のせせらぎ、動物の声。

草原とは違った命の声で溢れている。


道など無い様に見えたが、木立の間に広めの空間が空いている。

そこだけ踏みしめられた固い土になっており、これが道のようだ。


人影らしいものは見当たらない。

しかし、そこかしこに人の気配があり、見張られているのを感じる。


念のためにフードをかぶったままのアインが、故郷の木との違いに興味を持ったようだ。

「大きいねえ。こんな大きな木初めて見た」


アインの故郷では木材加工の伐採を目的にしていたため、大きな木に育つことはなかった。

森人は木を切るということを禁忌としていて、自然に任せて育つ大森林が生活の場になる。


しばらく木立の道を進むと、大きな広場が見えてきた。

中央に在る巨大な木が存在感を示している。

その幹の太さは大人が十数人手を伸ばしても足らないほどの太さがあり、高さは30メートルほどもある。


その大きな木の傘の下が広場になっていて、木漏れ日が光の線となり緑色の世界に降り注ぐ。陽光が葉に反射して、まるで木そのものが輝いて見えた。


広場には十数人の人の姿があった。


人々の後ろには神聖な雰囲気に合わない無粋な人工物が置かれている。

木を組み合わせた檻の中で、見知った顔の男が泣き喚いている。

「おぉぉ、皆さぁん、来てくださったんですね。助けてくださぁい。」


近くにいた男が檻を蹴り、黙れと命令する。


頭を抱えたくなる状況だが、まずは挨拶のため一同は馬車から降りる。


森人の頭目と思われる、ゆったりとしたローブを着た男が前に出る。

「良くおいでくださった、旅の方。私がこの里の長を務めているウェレランと申します。」

白に近い銀髪を長く垂らした美しい男性が挨拶をする。

長命な森人は外見ではその年齢を測ることが出来ないが、その落ち着きぶりから相当の年月を歩んできたことが想像できる。


ナージャが代表していにしえの口上で仲間の紹介をする。

「ご丁寧なご挨拶痛み入ります。森の方々には静寂を乱す無礼をお許しください。召喚に応じ参りました。我が名はナージャと申します。こちらが、弟子のミリー、連れのカイル、リタ、そして。。。運命の子アイン様にございます」


フードを取り払いその黄金色の髪を衆目に晒す。


様?


急な尊称に俺もアインも戸惑ってドギマギする。


その姿を見た森人達はどよめいて、跪き、こうべを垂れた。

次々に、奥から森人が集まってくる。

総勢で500人ほどの人間が一斉に跪く。


ウェレランが感動に声を震わせながら、言葉を紡ぐ。

「我らが王よ!よくぞ、ご帰還くださいました!このウェレラン。千年の倦怠に耐え、この日を何度夢見たことか。」


涙を浮かべて、口上を述べる里長に同調するように、感極まって泣き出す者まで現れた。


アインはおろおろして、老婆を見つめる。

人差し指を口につけて、黙っているように指示された。


老婆がもっともらしく理由を作って場を収める。

「ウェレラン殿、本日は長旅のせいか、アイン様もお疲れのご様子。詳しい話は後日とし今は」

里長がそれを聞き、近くに控えた従者に指示を出す。

「そうですな、皆様を本殿へお連れせよ、くれぐれも丁重にな」


里長が後から付け加えるように聞く。

「ところで、そちらの方はお仲間でよろしいのですか?」

檻に入った宝石商を見て、これまでの失礼な扱いをしてしまったのではないかと気にしているようだ。

「いや、ただの道案内じゃ。捨て置いて構わんです。罪に関してはご容赦していただけるとありがたい」

ナージャの言葉にがっくりするビドゥ。


「ちなみに、あ奴は何をしたのですか?」

興味で聞いてみる。

「以前、無断で禁域に侵入したのです。本人はそれを忘れて、のこのこ里に来たところを捕縛した次第で」


「良い薬じゃ。しばらく面倒見てもらうがええ」

ナージャは早速見捨てた。



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