↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
一章 出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/203

旅の途中

森人の里への旅は当初から順調とは呼べずトラブル続きだった。


黒梟の最初の襲撃から数日を待たずに、今度は草原狼(グラスウルフ)に遭遇する。


当初は様子を見ているだけだったので、このまま通り抜けられると考えていた。

しかし、彼らのテリトリーに入ってからは、昼夜問わず追いかけてきては攻撃を仕掛けるため、夜通し寝ずの番を強いられた。


獣よけの結界も効果がなく、攻撃には全員で当たらなければならない。

三日の攻防が続き、彼らの縄張りから抜け出せたときは、全員が疲労困憊になっていた。


やっと、落ち着けると思った矢先に、今度はゴブリンが現れちょっかいを出してくる。

一行の怒りはゴブリンに向けられ、周辺の巣をしらみつぶしに襲撃した。


街道の安全を個人的な恨みで確保した一行は、数日間だけの野営地(キャンプ)を作った。


。。。


焚火を囲み、老魔術師は弟子に魔法の指南を行っている。

少年はそれを興味深く見ている。


その視線に気づくナージャ。

「アインも魔法に興味はあるんじゃな。どうじゃ、一緒に練習するか?」

そう申し出るも、少年は自分は使えないからと辞退する。


ナージャは、それを聞き少し考えてから、誰に話すでもなく言葉をかける。

「どうせ聞いておるのじゃろ。少し力を貸せ」


はいはい。


俺は、「纏い」を使うまでもなく、少しだけ坊主に力を贈(おく)る。

最近になって、シンクロ率が上がったせいか細かな制御ができるようになった。

以前、纏い状態で簡単な魔法を使ったら、力の制御が効かずに大騒ぎになったことがある。


ほんのりと金髪に光がともる。


「うむ、これで簡単な生活魔法を使ってみよ」

「うん」


少年は慎重に火を手のひらに灯すイメージを行う。


ぽっ


ろうそくのような頼りない火が手のひらに揺らめいた。


「上手くいったようじゃの」

上出来と少年を誉める老婆。


アインは嬉しそうな顔で何度も練習を繰り返す。

手のひらから親指、人差し指と灯す場所を変える。

火の大きさを変えたり、すべての指に灯したりと練習をしていった。


夢中になって練習する少年を見て老婆が問いかける。

「魔法は楽しいか?」


「うん!」


老婆が目を細めて少年を見つめる目は優しかった。


「どれ、面白いものを見せてやろう。ミリーも見てなさい」


呪文の詠唱を始める。


「土傀錬成(ゴーレムクリエート)」


土が盛り上がり、ネズミや熊、狼などの動物を模した小さな土人形(ゴーレム)が現れる。

最初にゴウライと戦った時と同じ魔法だが、大きさがかわいらしいサイズに収まっている。


「わぁ、かわいい」

アインとミリーはそれを見てはしゃぐ。


「わしの家族は旅芸人の一座でな。小さなころからこの手の魔法は得意じゃった」

両親にほめられたことがうれしくて、何度も練習したと話す。


師匠の昔話はめったに聞けないのか、ミリーが話に入る。

「どんな芸を見せていたんですか?」


遠い目で懐かしそうに、老婆が語る。

「土人形を使った曲芸などじゃな。小さいときは人形劇も披露したぞ」


見たいとねだる、アインとミリー。

老婆は、しょうがないのぉと言いながら呪文を唱える。


錬成土塊の楽団《クリエートオーケスター》


いくつも土が盛り上がり、手のひらサイズのネズミやクマ、リスに似た動物が現れる。

小さな動物達は、それぞれ楽器を持ち配置につく。


老婆が指揮者のように手を振ると、一斉に音楽を奏でた。

「お、なんだなんだ?」

「わぁ、なにそれ」

カイルと、リタも集まってきた。


陽気なリズムを刻み、小さな土人形たちが音楽を奏でる。

曲が終わり拍手が起こる。

皆が笑顔で笑っていた。

僕も覚えたいと少年がせがむ。私も、と少女が続く。

愉快に笑いあう一行、そこには確実に幸せがあると感じていた。

俺はこういう日がいつまでも続けばいいなぁと思っていた。


夜


昼間に教えてもらったゴーレム生成のおさらいをしていた。


「やはりな」

ナージャが確信を口にする。


「時々、夜中に抜け出して何かしてると思っておったが、お主なんじゃろ。白いの」


婆さんとは長い付き合いになるし、もう気付かれてるだろうとは思っていたので、さほど驚きはない。


魔法の練習を止めて、質問を返すことで肯定する。

「いつから気づいてた?」


「初めに、ミリーの話を聞いてくれてた時に違和感を感じておった。坊主の話を聞いて確信に変わったよ」

会ってすぐに気づいてたのかよ。


「お主が何者なのか、洗いざらい吐いてもらおうか」

老魔術師は杖を向けて威嚇する。


金色の髪を輝かせ、俺はスッと立ち上がる。


そして。。。土下座した。


「俺も、自分が何者なのかわかんないんですぅ。いきなりこの世界に飛ばされてきて記憶も残ってないし。あ、自分の過去以外の記憶はあるんですけどね。とにかく、いきなり放り出されて気が付いたら坊主と一緒になってて。。。」


オタク特有の早口で捲し立てる俺に、ナージャは目を点にして、

「ま、まあ、ちょっと落ち着け、今この世界に飛ばされたといったな。お主は別世界の者なのか?」


これまでの経緯を洗いざらい話す。


自分がこの世界の人間ではない事。

成人した20歳を越えた大人だという事。

これまで何度も坊主を助けてきた事。

なぜか離れることが出来ないという事。

あとは、

「あ、それと、時々変な声が聞こえるんですよね。こっちから話しかけても会話にならないので無視してるんですけど」

ナージャが深く考えた後で、

「つまり、お主は異世界の大人の男で、ある日突然坊主に取りついたと。自分からは離れることも出来ずに途方に暮れていたら、坊主の事情に巻き込まれてここにいると」


その通りです。


俺(坊主の体)はうなずいた。


「もしかすると、その世界の名は「ニッポン」と呼ばれていないか?」

老婆から聞く、懐かしい祖国の名前に驚く。


「なぜそれを知ってるんですか?!」

老婆は俺がその言葉をどこから聞いたか問うと、

「そうか!そういうことか!すべては繋がった。このために、今日この時のためにわしは。。。」


なに、怖い。どうしちゃったの?

「ばあさん!」

正気を失ったようにつぶやき続ける老婆に声を上げる。


こちらを向いた老婆の目に一瞬狂気を感じたが、すぐに我を取り戻したように落ち着いた声で話し始めた。


「その世界の名は、魔王伝説にいくつも出てくるんじゃよ。以前降臨した魔王はお主の同郷かもしれんな」


え?魔王と同郷、俺が?

そんな話、聞いてもうれしくないです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。