万博の怪人(8)
結局三輪さんは、最後まで戦いたいというにゅうめんマンの意思を尊重することにした。
「どうしても戦い続けるというなら止めはしません。それでは、せめて今のうちににゅうめんを食べて戦う気力を取り戻しましょう」
三輪さんは言った。
「気持ちはありがたいんですが、ゆっくりにゅうめんを食べている余裕はありませんよ。そんなことしている間に敵が立ち直って、あっと言う間にやられてしまいます」
「抜かりはありません。こういうこともあろうかと、すぐに摂取できるよう、にゅうめんをミキサーにかけてにゅうめんシェイクを作ってきました」
「にゅうめんシェイク?」
この会話はミョクミョクとその手下にも断片的に聞こえていた。
「なんか、にゅうめんシェイクとか言ってますよ」
手下はミョクミョクに言った。
「ああ。すごくまずそうだな」
だが、にゅうめんマンはにゅうめんが大好きなので、シェイクだろうが気にはしない。三輪さんに支えられて上半身を起こし、三輪さんがボトルに入れて持って来たにゅうめんシェイクを飲んだ。
「いただきます」
そうして自分の力の源であるにゅうめんを摂取すると、すぐに、にゅうめんマンの体にフレッシュな力が湧き上がった。
「来た来た来たぁーー!!……新たなる力が!ニューメニティが!森の泉のように俺に体に湧き出て来た!」
あふれ出るニューメニティによって、にゅうめんマンの体からは黄金色の光がにじみ出た。にゅうめんマンはぬっと立ち上がった。
その様子を見ていたミョクミョクの手下はミョクミョクに言った。
「あの人ちょっと光ってませんか」
「ああ。というか、あいつはにゅうめんを食べる度にああやって騒いでいるのだろうか」
「普段はもっと大人しく食べてるんじゃないですかね」
ともかく、にゅうめんマンがそうしてはしゃいでいる間に、ミョクミョクも調子を取り戻して立ち上がった。それから、何を思ったかミョクミョクはにゅうめんマンから大きく遠ざかり、そこで精神を集中してパワーを高め始めた。
にゅうめんマンはミョクミョクの動きに気づき、一体何をするつもりだろうかと考え始めて、すぐに、状況がかなりまずいことに思い至った。——ミョクミョクがこんなに大きな距離をとるのは、さっき使ったタックル技「百々目鬼ストライク」をもう1回打つために、助走距離を確保しているのかもしれない。にゅうめんシェイクである程度気力を取り戻したとはいっても、にゅうめんマンの体はもうぼろぼろで、次にあの技を受けたら再び立ち上がれるかどうか怪しい。ミョクミョクも最初より弱っているはずだが、さっきよりも助走距離が大きいことや、入念にパワーを高めているところを見ると、一層強い攻撃が予想される。




