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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
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第八章 エピローグ 7



    7



脳内のディスプレイに右脇に表示されていた〈29〉という数字が、目減りしていき、あっという間に〈17〉になったのは、消沈して帰宅した夕方のことであった。

これは洋二の推理だと自分以外の自分と同等の能力を有する<同類>を示すものだと思われた。

だが質問の仕方を変えてもシンクエ・クレゼンサは「password please」と云うばかりで認めようとしない。

―これは〈同類〉同士が戦った結果ではなかろうか!?

直ぐに洋二は脳内でネットを検索し、そうと思われるニュースを検索したが、そのように思われることは何も出てこない。

だからといって、手を打たないのもマズいので、いくつかの対策を講じた。

まず、シェルターと名付け、23区内に13もの拠点を作った。

実際はそんな大げさなものではなく、賃貸マンションを契約し、最新鋭、最強スペックのPCとドローンを配備したくらいだった。

学校の近くに二つ、官庁街に三つ、後は新宿や池袋等繫華街である。

即追尾できるホッパーとは別にポインターと名付けたアプリ(?)を省庁やマスコミの社内インフラやメインコンピューターに潜伏させ、洋二とその〈同類〉に関する情報を得られたら、直ぐに報せるように配置していある。

それらの経費は個人財産や公共資金からではなく、ネット内に落ちている利子の一銭二銭やら、買い物時に発生するポイントやら、本来なら懸賞でいただける賞金やらをことごとく拾ってくるミダスによって賄われている。

ミダスを用いるのは洋二の中の倫理観がそうさせているのであって、兼崎の実家の会社の株式操作を瞬時に行えたのを見ての通り、速攻で資金調達は可能なのだ。

では国庫に潜入して、数兆年の調達が可能かと云えば、出来る、のであるが、それを行うと当局から確実に逆探知され捕まる。

つまり洋二の能力は現在この国の誰よりも強いが、この国の総体(までいかなくとも、だが)で掛かられたら確実に捕捉されるのである。

だから、芸能プロダクションの株価操作だけでは、誰も注目しないが、小林先生を関係者の約百世帯で晒すのは危険なのだ。

実はポインターやホッパーで集めた情報から、未解決事件や酷い癒着等の隠された真実をこの時点でいくつか洋二は知るものなのだが、それを映画のように繫華街のハイビジョンや民衆のスマートフォンで晒すようなハッキングを出来ないワケではない。

だが耳目を集めるマネをしたら、国本体から狙われるのだ。

いや、それ以外に例の〈同類〉が絡んでくるかもしれないし、むしろその方の可能性の方が高いと洋二は睨んでいる。

〈同類〉が現れたらいちばん危惧することは、家族や友達の身の安全であろう。

両親や藍たちが酷い目に遭うことだけは避けなければならない。

そのためのシェルターだった。

そして、じしんの潜伏場所としての役目である。

おそらく〈同類〉とステゴロの殴り合いとかやるとは思えなかった。

洋二じしんもそう考えていたが、まさにもし敵対してくる〈同類〉がいるのであれば、その正体を、繫華街のハイビジョンや民衆のスマートフォンで晒すようなハッキング、をすれば、官憲が勝手に処理してくれるであろう。

それは自分もやられるという危険性も多分に含まれているのだ。

それをやられた時のためのシェルターでもあるのだ。

日に大量に流れ込む情報を洋二は脳内で処理している。

ネットの情報だけでは頼りにならない場合は興信所を使う時もある。

そんなプロを使うまではない作業の場合は、アルバイトを雇うことにしている(小林先生の部屋のチャイムを押させたのもそれだ)。

神、という程ではないが、洋二はこの都市の王であった。

―王、か。

自嘲の表情を独りの部屋で洋二は浮かべた。

勿論、今説明した作業を脳内で処理しながら。

―あんだけの美人、2人もフったんだ。この世界に君臨するくらい許されるだろう。

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