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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
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第五章 抱擁と計画と依頼 6



    6



火曜、洋二は登校した。

土曜の夜に、おのれの能力に気づき、その能力の履修と確認を追われていたのもあったが、その能力を知れば知る程、自分に学校はもう不必要だという結論が脳裏をよぎった。

それでも洋二が登校したのは、昨日の安奈の話を聴いたからだと自分では思っていた。

ヤリ逃げされた女の逆恨みくらいに考えていたが、かなり根の深いものだと知った。

この能力を持ってしても、解決には至らないことがこの世にはあると気づいたのだと云っていい。

判り易く云えば、洋二はショックを受けたのである。

普通の時間に洋二は登校した。

藍に合わせて、早く登校しなかった。

彼女とのきっかけはもうできた。

藍が既に登校しているのは、藍の机にかけてある革製の鞄で判る。

だが姿は見えない。

と、このように藍のことを考えたいたことが脳内で干渉したのだろう。

洋二の脳内に「麻井藍に恥をかかせる」と云う台詞が聴こえた。

クレゼンザが洋二の無意識の一角を占めていて、洋二に関心があること・必要あること等をクレゼンザが感知したら、洋二の意識に振り分けるようになっているのだ。

これがポインター、地雷のようなもの。

この機能を用いれば、30人以上抑えられる。

これは自殺や逃亡の恐れがある安奈にも張っているもであるが、近くのコンビニや派遣先へ行く等の関係ないものは弾くようになっている。

ポインターがヒットしたら、次に追跡機能を使う。

洋二は昔のヒーロー作品になぞらえて、ホッパーと呼んでいるが。

ポインターが情報の地雷なら、ホッパーはそれのミサイルだ。

実際にポインターを取り付けているのでも、ホッパーという機器を飛ばしているのでもなく、盗聴器を仕込んで入るのではない。

狙った人物の本人が持つスマートフォンや携帯電話で洋二に必要な単語や台詞を云うとモニターを始めるのだ。

この二段重ねを編み出してから30人以上を把握できるようになった。

ホッパーが追っている人物は、兼崎という同じクラスの男子だ。

一緒に話しているのは、やはり同じクラスの桜木というやはり男子だ。

もう一人いるようで桜木が「寺田」と云ったことから、これも同じクラスの寺田と知れた。

ホッパーに寺田を追わせる。

校内にはカメラが設置してあり、録画もされている。

この三人がどこにいるかを押さえておきたい洋二だった。

クラブ棟の二階、ネット動画部の部室にいたことが判明した。

これだけの複雑な情報摂取は、自然体では難しいがため、洋二は両手を合わせて、ぽきぽきと鳴らし、意識を脳内のコクピットに移した。

そこでモニターを続けるのだ。

「いや、麻井藍に手だしはまずいだろう」

兼崎が云う。

「オヤビ~ん、まさかあのスケに惚れちまいやしたかい!?」

勿論寺田である。

「兼崎さんには兼崎さんのお考えがあるんだよ! 三下が勘繰っているんじゃねー!」

桜木の声である。

ここは昔、次作PCを組み立てたり、プログラム構築を学ぶサークルだったが、いつの間にか兼崎が乗っ取り、名称まで変えて、兼崎一派のたまり場になっていた。

「今回の撮影は、女はいれたら興醒めよ。ノリとしてはキューブリックの戦争ものや『野生の証明』だからな」

と兼崎。

「今回はオレら三人入れて、十人の豪華企画だ。アレ、江野入れたら11人、か」

と桜木。

三人の話はこうだ。

江野を一人標的にして、ゴム弾が撃てる摸造銃を持っている男たちと複数のドローンで狩りをする様を撮影するのだ。

舞台は深夜の校内。

明日も通学しないといけないから、終電までには帰る。

20時からスタートし、撤収作業もあるから、22時には終わらせる。

長い動画は再生回数が伸びないので、編集して、20分弱にまとめる。

「江野はいいリアクションをする。視聴者の嗜虐心を満たす映像こそがうける映像なんだよ。イジメが学校でも職場でも無くならないのは、それが面白くて面白くてしょうがないからだ。誰もそのことを言わないが、こんなに素敵な娯楽はない。だから、自殺や不登校に追い込むヤツはバカなんだよ。イジられキャラという便利な言葉がある。野暮にならずポップに続けるのは才能が必要なんだよ」

とは兼崎の発言である。

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