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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
19/80

第二章 検索と実験と再会 9



    9



―password please、と言わずに、か。

『悪いことをネット内でしていいのか、という質問だ』

【それはトートロジーです。〈悪〉の定義をディスカッションすることに必要を感じないのです。あなたがの問いに答えている〈コレ〉、あなたの言う〈シンクエ・クレゼンサ〉は話者ではなく、ただのマニュアルに過ぎません。このように人格と個性を持つような対話形態を採っているのは現在世界・社会やあなたの生い立ちや生活を鑑みてのレスポンスに過ぎません】

―多弁にいきなりなったな。でもいい、相棒とかガラじゃあないし。

『自国や他国の兵器をじぶんの端末から操るようなマネはできるのか?』

【何か特別なエンジンを積んでいるのではありません。処理速度がこの世界のどのスペックを上回るくらい速い・潜入して閲覧は可能というだけで、プロテクトを外したり、ウィルスの生成をしたりの機能はありません】

どう考えても宇宙人と未来人はあり得ないとして、いや、パラレルワールドはもっとあり得ないのだが、テクノロジーは現在の延長線上にしかないようで、何か超法規的な、グローバリゼーションによる計画の結果なのかもしれない。

「ふー、ま、仕方ないよね」

洋二は、ようやく、いつもの自分のノリを取り戻していた。

今まで、ソツなくこなしてきた。

それは受験だったり、人間関係だったりするものだ。

両親は少しでも洋二が興味を惹いたものを惜しげもなく与えてきた。

幼児の頃、絵を描くことに熱中すると絵画教室に通わせてくれた。

父親の聴くモダンジャズに面白味を見出すと、ギターを買い与えてくれた。

集団でするスポーツにはそんな興味はなかったが、身体を動かすことは好きだったので、ボルダリングジムには通わせてくれた。

だがどれもその流派というか、システムに入ると、その中での及第点を取ることが目的となり、ソツのない事しかできず、ソツのない物しか作らなかった。

これが幸いしてか、学業の方はその機転が利いて優秀だった。

だが、どれもある程度、モノにするだけで満足してしまう。

読書をいう趣味はあったが、だからといって文章を書いて世に問うことはしなかった。

だって、こんなに多くの先人たちが面白く・素晴らしいものを遺したのだから、もう自分で書くものはないと思っていた。

映画が好きだったのはやはりそれを職業にしていた両親からの影響で、自分でも撮りたいと思わないでもなかったが、YouTubeやInstagramに自分らが撮影したものをアップしているクラスメイトの姿を見ても、その輪の中に入る気は一切起きなかった。

つまらない人生だな、と思う反面、洋二はそういう自分の生きる態度に満足していたのも又確かだった。

目の前に現れた受験や習い事、読んだ本や他人をいかに理解して、いかに整理し、付き合っていくか、これはこれで洋二にとってスリリングなことなのだ。

そして、そういったことに歓びを見出すのは彼が子どもの頃からの資質であった。

―又、いつものことさ。いつものことだ。次はどこを探す、か。次は何から片づける、か。

『この等身大ロボットは飛べないの?』

【飛ぶの定義にもよります】

『羽根やブースターが身体から出て来て、自ら飛ぶんだよ』

【そういった物は身体には入りません】

『じゃあ、レーザービームを撃てたり、ミサイル発射したり』

【羽根やブースターもそうですが、どちらもエネルギー保存の法則と質量保存の法則に反することです。それらはいかに技術が進歩・進化しても不可能です】

―つまんねーな。

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