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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
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第二章 検索と実験と再会 6



   6



その思い当たりに呼応するように、その病室内が少し明るくなった。

その時に洋二は初めて、自分が置かれている全世界を見たのだ。

360度をスクリーンで囲まれているので、その流体リクライニングチェアが宙に浮いているようだった。

そのチェアもほとんど身体に干渉を感じない。

今のところ頬・腹・足からの管を見つけたが、それらはその流体リクライニングチェアから生えている。

いや、それだけではない。

チェアからは、無数に、糸?髪の毛?いや、繊維のようなものが無数に身体へ繋がっている。

ナイロンより細く、透明度は更に低い。

大量に生えていると判ったのは右手を動かした時だが、その〈未来ナイロン〉は数本切れたところで、大してその目的には関係ないように、抜ける。

全裸ではないが、色が一切ついてない和服のようなものを着させられている。

それがこの室内にある淡い光で、色を度々変化させている。

これも流体物質、いや、流体繊維というものなのだろう。

フシギでもなんでもなかったのだ。

洋二は、あの飯田安奈から襲撃を受けた後、ここで治療中だったのだ。

それは何物によって、為されたのだろうか?

あの書籍のようなものが開かれ、見開きになった巨大な瞳によって行われたのだろうが、アレのせいにするのは、自分が知りたい答にはならない。

アレは超常的な存在で、宇宙人とか異次元人とか、物凄く未来から来た・進化した人類なのだろう。

そして、自分は、読書や古本屋が好きだから、自分のイドからその無意識を探られ、書籍の姿で顕在化した。

その決起として、頁が開かれ、瞳が光ったのは、邪眼やフリーメーソンを知識で持っていたせいだ、とここまで洋二は考えると、アレの正体を探ることはナンセンスだと気づいた。

〈本の瞳〉と〈同類〉はおそらく別物だろうと、という考えに至った時、前方のスクリーンの文字が色を変えたのか・点滅したのか判らぬが、反応したのは理解した。

―29!

空間に浮かぶようにそれは確かにアラビア数字で、〈29〉と光っていた。

―この数字をぼんやり脳内で思いついて、この病室にいつの間にか来たんだ!

「同類」

この薄暗い病室で、洋二は初めて発声した。

すると〈29〉は淡く反応する。

―間違いないな、これはオレ以外に〈29〉人(自分を入れて〈29〉か?すると他に〈28〉なのか?)もの〈同類〉がこの世界にいることを指している。

実際の人数が判るとひと心地ついた洋二だった。

この〈29〉の周囲全体がディスプレイのようなものなのだろう。

先に洋二の〈同類〉という言葉に反応したように、脳内で生まれた想念から〈29〉という文字が浮かび上がるというレスポンスがされたとすると、脳内から直接の操作が可能のようだ。

だが、しかし、今この場に空中に浮かぶようなカタチで〈29〉という文字は現れた。

それは脳内伝達でなく、視覚情報の方がパイロット(?)である洋二の方には理解し易いと、この場の管理者が判断したようだった。

脳内伝達が思うように巧くいかないのは、判断基準がまちまちだからであろう。

だから、跳躍力でもバラつきが見られるのだ。

思いっきり高いジャンプを念じても、心の奥底では「そんなことできるワケない」と思えば、しない・やらないと判断される。

では、この空間で、洋二がやることが一つだ。

彼はようやく、そのことに気がついた。

「この空間を管理する端末にアクセスするためのツールを用意して下さい。言語は日本語で、見易い表示をして下さい」

タタミ一畳分のディスプレイのようなものが洋二の面前に突如現れた。

「キーボードやマウスのようなアクセサリは用意できますか」

右手の空間にマウスの形状をしたものとその直ぐ下部には随分とコンパクトなキーボードが浮かんだ。

子どもの頃に父親の仕事部屋で見た親指シフトのキーボードの配列に似たもののようだ。

マウスをクリックするとトラックバーが現れる。

音声によるアクセスも可能だっただろうが、それは洋二にはどうも照れ臭いもののように思えて、このような普段のPC仕様にしたのだった。

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