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静寂の夜空に蠢くナニカ

窓の外の西日に叫んだ。なにも変わらない。そんなことは分かってる、分かってるんだよ・・・。

ベットに無気力に寝そべりふと花見の屋敷に眼を向けた。


「ここから・・・離れたくないな」


そう・・・呟いた。花見の部屋からキラリと何かが光っていた。俺はシャワーも浴びず、汗だくのまま意識を手離した。


夢の中で何かが蠢いていた。自分の家の真ん前で何かが何かを一生懸命振り上げて、おろしての繰り返し。

空は特大低気圧が有るのか灰色の雨雲から凍てつく程の水滴が降っていた。雷が空に轟き道行く人々は苦虫を噛み潰した顔をしていた。

そして自分は何かを見つけ・・・。


そこで夢は途切れた。パチリと目が覚める。

額には大粒の汗と、手汗が滲み、息はヒュウヒュウと奇怪な音をたてていた。

俺はひとまず汗を服の袖口で拭い周りの変化を確かめた。特に何も変わっていなかった。


「あれは・・・何だったのだろう」


目覚まし時計を見ると短針は深夜二時を指していた。

俺が帰ってきたのが5時位だったから大体九時間寝ていたのか。

枕とシーツは汗で濡れていた。

窓の外を見ると今日は丁度新月の様らしく月明かりが無かった。唯一の光源は机のスタンドライトだけだった。

俺は寝間着とバスタオルを脇に抱え脱衣所に行った。

階段はとても暗く、スマホの灯りを頼りにした。


脱衣所に辿り着いた。かごに制服やパンツを突っ込み真っ裸になった。何だか肌寒い。

浴室に入りカチリとスイッチを入れて風呂の湯を沸かす。

シャーとお湯が滝のように浴槽へ流れ出す。


だんだんと浴槽にはお湯が溜まって湯気が立ち始めた。

浴室の灯りが湯気をより一層霞めさせる。

俺は取り敢えず頭と体を洗い、風呂に浸かった。


「あー。気持ちいいな・・・」


浴室には小さな小窓が付いておりそこから夜の寝静まった町並みを眺めた。辺りを見渡すと、植え込みの影から何かが蠢いていた。


「・・・!」


植え込みの中で蠢いていた筈のモノは、蒼白くて、五本の何かが付いていて、断面から紅い何かが飛び出していて・・・。

意識がそれを視認するのを拒否していた。

脳のシナプスが感覚的に訴えてくる。これは夜の寝静まった町並みの中の植え込みに在ってはならない物だと。


俺は脳の命令に逆らってしまった。過去の出来事の結晶の命令から、自分の好奇心に身を委ねてしまった。


窓を全開にして顔を出す。臭いは鉄臭くて、赤黒くて、何かが飛び出していて。

俺は視認した。

アレハニンゲンノテクビダト・・・。


「ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」


夜の住宅街に木霊する叫び声。家の壁に反射して山彦の様に聞こえる。

アレハ幻覚ジャナイノカ・・・。

確かに五感が脳に訴えている。これは現実だって・・・。


「花見が、花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が花見が」


自分の口が勝手に言ってしまう。

壊れたカセットテープの様に、無機質に紡ぐことばは自分ではどうしようもない。


「ぁぁぁあ・・・」


俺は声帯を掠れさせてこう呟いた。


「ハナミハ・・・赦サン」


何だかツイッターはじめたよ。

普通に鎌使雪野です。

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