鉋(かんな)
材料は手に入ったが、すぐには加工しない。
前回の反省を活かす。
前回は入手した木材をすぐに加工したところ、冬が明ける頃には乾燥が進んで変形していた。
その結果、組み立ての際に調整が必要になり、作業効率が落ちてしまったのだ。
今回は反省を活かして、乾燥させてから加工する。
木材を乾燥させている間、テツとチク村の3人には木材加工道具を作ってもらった。
まずは、ヤメ村の船大工も希望していた手斧だ。
これは鍬に似ているので、割と簡単にできた。
木材の荒加工に用いる道具だ。
続いて、槍鉋を作ってもらった。
これは、長い木の棒の先に柳の葉の様な小さな刃がついたものだ。
見た目は槍みたいだが、刃の部分は微妙に曲面になっている。
槍鉋は木材の表面を平らに削るのに用いる。
手斧よりも面を綺麗に仕上げることができるが、鉋よりはデコボコが残るので、中仕上げ加工にあたる。
ただ、槍鉋の仕上げでも、うまい職人が加工すれば、十分に使用に耐える。
最後に、平鉋を作ってもらった。
これは四角い台に斜めに刃が取り付けられた、元時代でも使われていた鉋だ。
木材の仕上げ加工に使うものだ。
この平鉋、作るのにかなり苦労した。
形状は単純なのですぐに形にはなったのだが、うまく切れない。
刃の角度や刃先の処理、研ぎなどを試行錯誤してなんとか使えるようにはなったが、まだ改善の余地がありそうだ。
テツなどは、「これ無くても良いんじゃないですか?」と言い出していたが、木材の合わせ目の隙間を無くすために必要だ。
それに、この先鰹節削り機にも応用できる有用な技術だ。
何としても完成させるべきものだ。
こうして、必要な材料と必要な道具を準備して、村のメンバーに配り、水車の部品作りを依頼した。
もちろん、道具の使い方も教えた。
村のみんなも既存の水車作りや家作りに参加しているから、手先はそこそこ器用だ。
十分な戦力になる。
水車の部品作りについて、担当への振り分けができたので、俺は自分の担当箇所の制作に取り掛かった。
水車の軸の部分だ。
水車の要となる部分で、強度も必要だし形状も複雑だ。
作るのに時間もかかる。
材料は森の中から切り出した1mの木材。
俺は水車の模型とにらめっこしながら、炭でケガキを入れ、ノミでホゾを作り、鉋で表面を仕上げていった
気を遣うのはやはり軸受部分。
ここは入念に磨いてつるつるにした。
今回はこの部分にかかる負荷も増えるので、油での潤滑も必要だろう。
そのための油溜めも作った。
合計12日程の日数を掛けて、なんとか満足できる物が仕上がった。




