↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/101

上掛け水車

俺とテツは、炉の温度を上げる方法をそれぞれに検討し、持ち寄って議論することを4日間繰り返した。


一回の打ち合わせで決められる内容ではない。

考えるべきことがたくさんあった。


検討の結果、まずは水車の増設を決めた。

動力の大きな水車を作り、鞴の能力を強化して送風能力を高めようというのだ。


水車自体が役立つので、たとえ鉄の溶融に失敗したとしても有効活用できる、という点が決め手になった。


失敗を見越した逃げ腰な計画、と思われても仕方ないが、そのくらい鉄の溶融は難しい課題だと認識している。


労働力の乏しいカツ村で事業を行うなら、この位の慎重さが必要なのだ。


村民の協力を得て、「作ったけど無駄でした。」、なんて事態は絶対に避けなければならない。

作るからには、必ず役立てなければならないのだ。



次に作る水車は、既存の水車をそのままコピーするわけではない。


今よりも大きな動力を得られるよう、方式を変更する。


既存の水車は下掛け水車と呼ばれる方式で、川に動輪を浸けただけのものだ。

川の流れに押されて水車が回る。

平地でも簡単に設置できるが力はそれほど強くない。


次に作ろうとしているのは、水車の上から水を掛ける上掛け水車という方式だ。

水の重みを利用するので、大きな力が得られる。


この方式は滝などの大きな段差があるところなら簡単に作れるが、平地で作るには水を持ち上げるための揚水水車が必要になる。


俺たちは上掛け水車を新規で作り、その上、既存の水車を揚水水車に改造することにした。


うまく行ったら専用の揚水水車を隣に建てる、2段階の計画だ。



俺達はまず、水車の模型作りに取り掛かった。


前回は俺一人で模型を作ったが、今回はテツとチク村の3人にも手を貸してもらった。


あれやこれや検討に参加することで技術は身に着く。

完成品を見るだけより身になるからチク村の3人にとっても良い経験になるだろう


鉄の技術だけでなく水車の技術も教えることになるが、チク村との関係は良好に保ちたいので、問題ない。


上掛け水車の特徴は、動輪の外周部に、水をためるバケットがついていることだ。

ここにできるだけ多くの水を溜め、長く保持する程水車から得られる動力は大きくなる。


当然ながらバケットは水の重みに耐えなければならないので、下掛け水車よりも強度が必要になる。

水の重み分と増える動力の分だけ軸に掛かる負担も増えるから、軸は当然太くなる。


水車の直径は前回と同じ2mを予定しているが、強度が増す分だけ難易度はかなり上がるだろう。



水車の模型は5日で完成した。


上から水を掛けると、スムーズに回転した。

バケットの中の水は半周近く保持されている。いい感じだ。


水車の形が決まったので、動輪部分の部品を実際の大きさで作った。

組み立てて固定するためのホゾや穴も付いている。

とりあえずは、動輪を構成する部品を各1個ずつだ。


後はこの部品をコピーすれば良いが、俺達だけだと時間がかかりすぎるので、村の何人かに協力してもらって、分担して作ってもらうことになった。

必要な材料と道具は支給する。


ただし、軸の部分だけは俺達で作る。

水車の要となる部分だし、今回は難易度が高い。


冬の間に部品を全て完成させて、春が来たら組み立てる計画だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。