狩り
あー、完全に原始時代だ、これ。
縄文時代かな?それとも弥生時代?
異世界転生に憧れすぎて、夢にまで見るようになったのだろうか?
周囲には生い茂る木々、人はいない。
「どこなんだよ、ここは。」
俺には自然の中で生きる願望はないはずだ。
もともとド田舎出身だから自然での生活の現実を知っている。
田舎生活の現実を知らずに無邪気に憧れて、定年後に移住して失敗するような都会出身者とはわけが違うのだ。
こういう森は見覚えがある。実家のすぐ近くがこんな感じだった。
ほとんど手入れもされずに長年放置された森、もしくは原生林がこんな感じだ。
子供の頃はときどき遊んでいた。
「こういところは虫とか多いんだよな。」
俺はあまり虫は好きではない。
とっとと森から出たいが、どっちに行けば出られるのかもわからない。
自分の置かれた状況に思索を巡らせていると、人の声が近づいてきた。
「おい、何やってるんだ。お前の持ち場はこっちだぞ。」
声の主は俺と同じ様な布をまとった大男だった。
明らかに俺より体格が良く、野性味のあふれた顔つきをしている。
日焼けした浅黒い顔に、無造作に後ろに束ねただけのボサボサの髪の毛。
手には石を使った斧をを持っている。
「みんなもう進んでいるぞ。今日も獲物が獲れなかったら村の食料が不足してしまう。」
どうやら俺もコイツも狩りの途中らしい。
他にも何人かいるようだ。
原始時代らしく、マンモスでも狩ろうというのだろうか?
「あ、ああ、すまない、すぐに行く。」
俺はとりあえず話を合わせることにした。
向こうは俺の事を知っているし、仲間と認識してくれている。
生きるためには話を合わせるのが最善と思われる。
それに、どうせ夢の中だ。深く考えるだけ無駄というものだろう。
「おう、頼むぞ!こっちだ!」
俺は大男と共に駆け出した。
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あー、もう無理。
どんだけ歩き回るんだよ。
もう、脚がガクガクいってる。
「今日も獲物はなしか。日が暮れてきた。仕方ない引き上げるぞ!みんな集まれ!!」
俺に声をかけた大男が集団に指揮する。
どうやらこいつがリーダーらしい。
獲物を探すために広がっていた集団が一か所に集まってきた。
俺を含めて計8人。
みんな服装は同じ様なものだ。
体格はそれぞれだが、リーダーの大男が一番体格が良く、俺が一番ひ弱な感じだ。
「今日も収穫はないが、もうじき日が沈む。暗くなると危険だ。引き上げるぞ!」
リーダーの掛け声に従い、俺たちは帰路についた。
やっと帰宅できる。晩飯は何かな。
今日は成果はなかったが、多少の備蓄はあるだろう。
なんでも良いから腹に入れたい。
俺は食事にありつける期待で少しだけウキウキしながら集団の後につづいた。




