天然物?
既に開場から1時間以上経過していたため為、特に並ぶ事なく受付へ行くことができた。
「こんにちはー!2名様ですね?コスプレイヤーさんは1名1500円になります。」
あれ?
「すみません。僕は一般参加です。滝くんは?」
「俺も」
だよね!軽装だしこれでコスプレ参加だと僕1人になるところだった。
「え?一般参加ですか?お二人とも《君にとどけ》の翔駒君と杏ちゃんですよね?」
「「え?」」
まさかの軽装がコスプレ状態であった。
確かに滝君も制服ズボンにカーディガンであるが、別に特殊かと言われればそうではない。
「あー、まさかの天然物でしたか。今日は初参加ですか?」
「はい。僕ら初めてこういったイベントに参加になりまして」
んーっと、受け付けの女性は少し考える素振りを見せると
「では、本日はサービス致します。そのかわり、次回開催時は是非ご参加下さい。」
そう言ってウインクする
「あ、ありがとうございます!でも、良いんですか?」
参加費が減る。それは凄く嬉しい事だが、本当によいのだろうか。
少し心配になり確認した。
「いいのいいの。せっかくコスプレイベントに興味持ってくれたし、私も仲間が増えるのは大歓迎だしね。でも、あまりおおっぴらには言わないでね?」
「なんかすみません。」
いいのよー!っとお姉さんから参加証と会場案内を受け取り、その場を後にした。
僕は奇跡的に参加費が安くなった事に喜びつつ、隣を歩く滝くんに、簡単な自己紹介をした。
驚いた事に滝くんは隣の学校で、家もそんな離れていなかった。
年は1個上で2年生。
僕より前にアニメや漫画にどハマりし、今に至っている。
「馨、俺の事は呼び捨てでもいいぞ?年上って言っても1個だけだし、何より会話が合う奴とか学校にいないし。俺は気にしないぞ?」
「え?いいの?こいつ生意気だなー!ってならないの?」
「いや、別に良いよ。なんか新鮮だし」
「あ、ありがとう」
久々に同年代と会話をした。その事が嬉しいような照れるような。
なんのありがとうだよ。っと笑ってるけど、僕からしたら本当にありがとうだよ。
「さ、とりあえず一周するか馨。」
「そうだね!」
そう言って2人は会場ホールに足を踏み入れた。
中に入るとカラフルな髪の毛の人、中世騎士のような服装、学生、奇抜、色々なキャラクターにコスプレした人たちが、おのおのポーズで撮影しつつ、休憩スペースではお菓子に談笑、お互いにコスプレ名刺を交換していた。
「すごいね、あ!あれ先月発売したゲームの主人公だ!あ、あっちは漫画のキャラだ」
僕は画面から飛び出たような人達に興奮していた。
すごい!楽しそう!
「確かに凄いな。あの武器とかどこで手に入るんだ」
「だよね!」
お互いテンションが上がりつつ、会場を一周した。あくまで今日は見に行く がメインの為、そう時間はかからなかった。
ただ、受付のお姉さんが言ってたように2人は君とどのキャラそのものだ。
身長差もあり、余計に作品の世界観に近くなっていた。
「ちょっと疲れたね。あそこの休憩スペースで休まない?さっきコンビニでお菓子買っといたんだ」
「そうだな。じゃ行くか。俺も今日は見に来ただけだしな」
そう言って2人は休憩スペースで一休みした。
じゃーんこのお菓子でーす!っと普段のテンションとかけ離れた馨は、会場の爆音BGMもあり、大声で話していた。
はい1個どーぞ。っとそんなやり取りをしていると、コスプレをした男女が馨達に近づいてきた。
「あの、すみません。休憩が終わりましたら1枚よろしいでしょうか?」
ん?1枚?
顔を上げると、某漫画に出てくるヒロインと主人公の2人が お願いします! っと頭を下げていた。
「あの、1枚って?撮れば良いですか?」
馨的にはコスプレイベントで撮られるのはコスプレイヤーで、一般参加気分の自分の事とはつゆとも思わない。
「あ、違います!お2人を撮りたくて。それって君とどの翔駒君と杏ちゃんですよね!さっきすれ違って思わず2度見してしまいました!あわ!なんて至福って。」
大興奮の彼女はどうやら君とど愛好者のようだ。隣にいる彼は、そんな興奮している彼女を生暖かい目で見ていた。
「すみません。俺とこいつコスプレじゃなくて一般参加なんです。なので撮られるのは勘弁してほしいです」
滝が事情を説明したまでは良かったが、物凄く驚かれた。
え?天然物?
「そう言う訳なので、せっかく声をかけて頂いたのに本当に、ごめんなさい」
そんなこんなで、5組ほど声をかけられた所で僕たちは会場を、後にした。
「あれ?もぉお帰りですか?」
出入り口で、お姉さんに声をかけられた。
「はい、お昼持って来なかったので今日は帰ります。凄く楽しかったです!」
また来て下さいねー。っと挨拶し外に出た。
「楽しかったね!」
「そうだな。なんか、こんな世界あるんだなーって全部が新鮮だった」
ぐぅ
う、お腹すいた。
「馨さえ良ければこれから飯行くか?」
お腹の音が聞こえたのだろうか。なんか気を使わせて申し訳ない。
ご飯、500円浮いたし、行こうかな。
「いいね!あ、でもごめん、手持ち少ないからファミレスでいい?」
「OK、行こう」
なんか友達みたいで、嬉しかった。




