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ボクのレイヤー活動記  作者: 神崎馨
2/13

さよならの青春

ミーンミンミンミン


溶けるような暑さ。鳴き続けるセミの声。

高校1年の夏。

湿度も高く、不快指数がぐんぐんな日に、僕はありえない噂を耳にし、全身から嫌な汗を吹き出していた。

いわく、馨は先輩彼女と無理やり関係を持とうとしち。

いわく、動画を撮影し、脅した。


そんな噂が、登校したら学生中に広がっていた。


「は?え?どゆこと?」

回りを見たら、ヒソヒソと話し、時折こちらチラ見する。

なんだこれは。意味が分からない。

確かに僕は昨日先輩に振られた。もっと遊びたい。君は真面目すぎる。っと。

泣きそうになりながらも、先輩の幸せを思い、受け入れたのに、なんで!


そう思ってると、元カノの親友がすごい形相をしてこっちに歩いてきた。


「君、あの子に何したの?あの子泣いてたよ?酷い事されたって。」


「いえ。僕は何もしてません!何でこんな話になってるか本当に分かりません!」

訳が分からない。彼女が泣いていた?


「君、2年生敵に回したね。絶対許さないから!」

吐き捨てるようにそれだけ言うと、彼女の親友は、廊下を歩いていった。


ひそひそ

あいつ可愛い顔して中身グズだな。

うっわ2年生敵にまわすとか高校生活終了じゃん。

ちょ、離れようぜ。巻き込まれる。


「ホントになんだよ。僕が何をしたのさ」

回りの目が怖い。先週まで普通に話してた人たちが、敵を見るかのように冷たい目をしてる。


教室に入ってもそれは一緒だった。

必死に弁解しても信じてもらえず、クラスから孤立した。


そのまま状況は好転せず、僕は部活に顔を出さずに家に直帰し、特にやる事もなく。毎日泣いた。


怖い。人が怖い。


----------------------------------


ある日の休日、特にバイトもやらずに、かと言って部活にも精神的に顔を出せず、だらだらと過ごしていた土曜日。


「馨!お母さん今日夕方にお友達と食事だから、晩御飯一人で食べるのよ!」

「わかったよ。」


母親に返事をし、PCでネットサーフィンをしていると、あるライトノベルの特集ページにたどり着いた。

100万部突破!アニメ化決定!



「へぇ。アニメ化するほど人気なんだ」


今まで、こういった系統の小説は正直読んだ事がなかった。

紹介ページを見ると、クラスで孤立した主人公が、不思議な力をもつ少女と出会い、困難に立ち向かう。そんな物語だ。

「クラスで孤立。。」

僕と一緒か。どんな物語なんだろう。

気になるけどこの可愛い女の子の表紙をレジに持っていく事が果たして、僕にできるだろうか?

でも、泣けるらしいし、中身が気になる。。

幸い時間もあるし、買いにいくか。


思えば、これが僕のオタク化への第一歩だったんだよね。


----------------------------------

いらっしゃいませー

近所の本屋へ早速足を運び、目的の物を買いに来た。知り合いに会ってもバレない様に、帽子にだて眼鏡。


うわぁ。凄い可愛いキャラクターの小説がいっぱいなコーナーが。

うぅ。なんで女性店員しかいないの!は、恥ずかしくてレジまで持ってけないよ!


どうしよう、恥ずかしいけど読みたい!


ふとガラスに写る自分の姿が目に入った。

身長は160cmほど、小柄で首まである髪、顔立ちも中性敵で、今日はメガネに帽子。


もしかしてら、僕が男とバレずに買えるのでは?

買うのは馨じゃない。

どっかの女の子っぽく見える誰かだ。

変に見られても僕とは関係ない!

うん。いける。いく!


「すみません。これ下さい」


「ありがとうございます!」

店員さんは、特に小説のタイトルも気にせずに袋に入れてくれる。

あれ?自意識過剰だった?でも冷静に考えるとそうだよね。

本屋さんだし、働いてる人はアニメや漫画みたいな絵柄でも慣れてるよね、


さくっと会計もすませ、僕は早く読みたくてうずうずしながら帰路についた。




そして、これをきっかけにライトノベルにどはまりし、アニメ化した物を片っ端から視聴し、今ではレジも余裕でクリア出来るようになった。


物語の登場人物は、みんなかっこいい。

外見とかそうゆうのではなく、人としてかっこいいのだ。

僕はそんな作中の人物に夢中になり憧れ、同時に同級生達の回りに流され、録に自分達の意見も言えない姿に心底嫌悪を抱き、高校生活がどうでもよくなった。


「あぁ、リアルって本当にどうでもいい」



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