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116.儀式へおもむくマサツグ王

116.儀式へ赴くマサツグ王



翌朝、馬車が宿に横付けにされた。


見るからに豪華そうな馬車に、俺はやれやれと嘆息する。


「普通にしてくれ、と何度もお願いしたのだがなぁ」


俺は目立つのが嫌いなので、それこそたっての依頼だったのだが……。


しかし、担当である兵士は深々と頭を下げながら、


「申しわけございません、神聖マサツグ王。ですが、公爵様のお考えにも、なにとぞご理解を頂きますようお願い致します」


そう願い出たのである。


「分かっている。お前たちの忠義についてはな」


俺は苦笑すると、兵士はホッとした表情を見せた。


なるほど、他の命令ならば、ルッツベーリン公爵は何に代えてでも俺の指示に違反などしなかっただろう。


だが、唯一つ。


『俺を普通扱いせよ』


この命令だけは聞けなかったのだ。


なぜなら、


「神様にも等しい。いいえ、それ以上のご主人様に対して普通に扱いをするように、というご命令がそもそも無茶ですからね……」


「確かに。神様だからこそ、出来ないというパラドックスですね」


「精霊界を統治する大神にだってマサツグさんを普通扱いなんて出来ないしね~」


「ギルドも救世主様を普通扱いなどしたら、大変なペナルティを負うでしょう」


そう、リュシア、エリン、シー、シルビィに当然とばかりにツッコミを入れられてしまった。


「やれやれ、俺以外には自明のことだったか」


俺は苦笑する。


自分が特別であることを時々忘れてしまうのだ。


そんな俺の珍しいミスを少女たちは微笑まし気に眺めながら、


「主殿は特別なのじゃから、そこをもっと自覚すべきなのじゃがなぁ」


「でも、特別なのに自然体なのは、マサツグの良いところ」


「確かに、神にも等しいのに、そういったおごりや振る舞いを行わないからこそ、マサツグ王はどのような者からも求められるのでしょう」


などと、ラーラ、クラリッサ、ミラ言うのだった。


俺は鷹揚に頷くと、


「すまなかったな。俺を普通扱いせよ、というのは難しい命令だったろう。おそらく相当悩んだすえの判断だったろう」


その言葉に兵士は感激したようで、


「ありがとうございます! マサツグ王にそこまで御拝察いただけ、公爵もお喜びでしょう! マサツグ王、万歳! 万歳!」


と言ってから、馬車を出発させるのだった。


当然だが、揺れ一つ感じさせない、最上級の馬車である。


やれやれ。


こういった扱いが当然ではあるとはいえ、やはり普通というものには縁遠いものなのだなぁ、とそう思うのだった。


(続きます)

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