110.クラスメイトたちからの懇請
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「『枝分かれ』する未来が少し見えるので、時どき合流する面白パーティーのふりをして、主人公たちをちょっと助けようと思う」
を同時更新しています。こっちも孤児院レベルに仕上げてますよっ。
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110.クラスメイトたちからの懇請
「ど、どうしてなんですか! マサツグ王!」
「そうだよ、マサツグ王! あたしたちを連れて行ってください! なんでもしますから!」
「そ、そうよ! あたしだって、その、ええ、なんだってするんだから!」
エヅカ、カツラギ、ヨシハラが泣きわめくように言う。
どうやら、俺とともにどうしても戦いたいらしい。
いや、単に俺のそばにいたいだけなのかもしれない。
だが、
「ふっ」
俺は軽く笑う。
「わ、笑うなんて酷いですよ、マサツグ王! 俺たちは本気ついていきたいと・・・・・・」
「おいおい、勘違いするんじゃない」
俺は首を横に振りながら、
「お前たちのことを笑ったわけじゃあないんだ」
そう言って遠い目をする。
「じゃ、じゃあどうしてお笑いになられたんですか?」
カツラギが聞く。
「ふ、簡単なことだ。お前たちが大きな勘違いをしているものだから、つい、な」
「か、勘違いってなにがよ!」
ヨシハラが言う。
やれやれ、そんなことは決まっている。
「お前たちが頼りにならない、という点にきまっているだろう」
「「「え?」」」
3人そして、後ろのクラスメイトたちも驚いた表情を浮かべた。
おいおい、本当に自分たちのことが見えていないな。
逆にそのことに呆れてしまった。
「当然だろう? お前たちは俺の部下だ。ならば俺の守る対象でもある」
「で、でもそれじゃあ、やっぱり俺たちは守られるだけの頼りない存在ってことじゃあ」
「そんなわけがない」
俺は軽く肩をすくめ、
「俺に守られる存在ということは、逆に俺の守ろうとする者たちを守る資格があるということだぞ」
「マサツグ王が守ろうとする者たちを守る資格っ・・・・・・!」
エヅカは目からウロコといった様子で俺をまじまじと見た。
俺は大きく頷く。
「そうだ。それは誰にでも与えられるわけじゃない。俺が味方だとみなし、俺の守るスキルが発動したやつだけが得る特権と言っていい」
リュシアとエリン、シーが頷き、
「ご主人様のスキルによって、ご主人様の力の一端をお借りすることができれば、怖いものはなにもありませんもんね!」
「マサツグ様に信頼されているっていうだけで、力がわいてきますけどね」
「神様の力を借りると思えばその凄さがよくわかるわね~」
と言った。
そういうことだな。俺は頷く。
クラスメイトたちもその言葉を聞いて、自然と俺のいわんとするところを理解したらしい。
「そうか。俺たちは役立たずなんかじゃない。ちゃんとマサツグ王に認められ、特権をもらえていたんだ」
「神の恩寵みたいなものなんだ。つまり、神様みたいなもの・・・ううん、むしろ神様以上のマサツグ王が、わたしたちに後方を任せるっていうことは・・・・・・」
「それが神託ってこと、なのね・・・・・・」
「理解したようだな」
俺はほっとする。
俺の力は大きすぎるし、それゆえに俺の力を目の当たりにすることで暴走する人間も多い。
ミヤモトはその最たる例だ。
俺の強大すぎる力のせいで、物事を直視できない、ひねくれた最低の人間に成り下がってしまった。罪の意識がないかといえば、嘘になる。俺の才能を見てしまっては、ああいった凶行に及ぶ人間がいることくらい予想してしかるべきだったのだから。自分の大きな力、才能が他人を嫉妬に狂わせてしまった。世界を救い、世の中を平和にし、みんなを笑顔にするべき神にも等しい才能のせいで、愚かな人間をさらに救いようのないところまで貶めてしまったのだから。
だが、こいつらは大丈夫らしい。
みな、俺のことを尊敬し、俺の役に立つためならなんでもさせてほしい、といった正義の瞳をしている。
やれやれ、俺は別になにもたいしたことはしていないのだがな。
単に孤児院を救うついでに、この国や世界を救い、そして今もこうして運命の中心にいるという、ただそれだけなのだが。
「マサツグ王、わかりました。でも、せめてこれだけは持っていってください」
「これは?」
俺はエヅカから突然渡されたそれを見て、片眉をあげる。
俺が少しでも驚かされたことは珍しい。だが、無理もないだろう。なぜならそれは・・・・・・、
「はい。ミヤモトが盗んだと思われた聖剣ナイチンゲールです」
「よく見つけたな」
「マサツグ王がミヤモトを打倒した後、街の復興で走り回っているときに、偶然発見したんです。どうやら倒されたときに落としたみたいですね」
「やはり聖剣は俺のもとに戻ってきてしまう、か」
少しせつなさそうに言った。
自らがやはり運命の中心にいるという悲哀を感じたからだ。
もちろん、怖くはないし、自分にそれだけの才能とそれにともなう責務があることは理解していた。だが、理解していたとしてもそれに何も感じないわけがない。
なにせ、俺がこの世界の中心にいるということは、すなわち、
「大丈夫じゃぞ、マサツグ殿」
「ラーラ?」
俺の心を読んだように、魔王ラーラはそう言った。
「そう。マサツグはなんでも気にしすぎる」
「クラリッサ?」
ドワーフの少女が言う。
「主殿のいる場所にこそ我が剣の華を咲かせる場所であります」
「ミラ」
魔皇の少女が言う。
「みなナオミ様といたいから、いるだけです。普段は救世主様とおよびしていますが、たとえ救世主様でなくとも、わたしたちはナオミ様とともにおります。永久に」
「シルビィ」
ギルドの少女が言った。
「ふっ、そうだな」
やれやれ、俺は何を不安に思っていたのやら。
世界と俺を巡る運命の渦中に少女たちを巻き込むことに色々と考えていたが、むしろ少女たちのほうがしっかりとした考え方をしていた。つまり、俺と一緒にいる。そのしっかりとした思いを、だ。
それに。
俺はやはりくすりと笑う。
「ご主人様?」
リュシアが不思議そうな顔をした。
そもそも、思い違いをしていた。
そのことは少女たちも同じ考えだったようで、一緒のセリフが口をついて出た。
「ご主人様/マサツグ様/マサツグさん/ナオミ様/マサツグ殿/マサツグ/主殿の近くにいるのだが一番安全」
言うまでもないことだったな。
俺は自分の間抜けさ加減に頭をふってから、エヅカたちクラスメイトに顔を向ける。
「聖剣はありがたく返してもらった。世界を運命を決める親征だ。ここに聖剣があり、主人である俺のもとに返ってきたことは大きな意味をもつだろう」
そう言うとクラスメイトたちは感激したように目をうるませた。
よし、これで最後のピースがそろったな。
俺はそう感じ、マントをひるがえす。
「出陣する。世界の明暗を決する戦いだ」
マサツグ王、世界を、世界をよろしくおねがいします!
そんな祈りの声が、願いが、ワルムズ城に長く長くこだました。
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