ニイタカヤマノボレ
武器や戦闘機、艦隊紹介はある程度進んでからまとめます。
ここは地球とよく似た青い惑星、言うなれば並行世界。
4つの大陸と無数の島で構成されるこの惑星は、昔、人口を半減させる凄惨な戦争の反省から、人々基本的に穏やかで戦争も少なく、大国から小国まで協力しあって軍隊も兵器開発も全てがスローの本当の平和を享受していた。
しかし32年前、南半球にあった面積の広い無人島の時空間が歪み、突如現れた軍隊によって歴史が動く。
後に彼らは、アメリカ、ロシア、EU、中国、韓国からなる多国籍軍だと判明する。
最初はこの世界の諸国から友好使節団が派遣されたが、人間は帰ってこないでただ一つの紙が来た。
この惑星諸国に属国化と従わないなら武力行使をも辞さない最後通牒。
もちろん全員が反対して世界中の軍隊が動員された。
敵は連合軍らしいが、推定兵員はこちらの1/12、さらにアメリカ筆頭の陣営とロシア筆頭の陣営の連携のまずさをつけば…
最初は勝てると誰もが思っていた。
しかし現実は…
敵はレーダに映らない爆撃機で前線基地を失い、更に世代で言えば第二次世界大戦水準の軍隊がほとんどであっという間に世界は降伏か殲滅かのどちらかを選ぶ事になった。
二年後、惑星の南半球を制圧する。彼らの目的は元の世界用の労働者と資源の搾取、ブロック経済や片務的最恵国待遇をするなどいわゆる、全体でアフリカ大陸扱いにする政策だった。
しかしこの世界の民は勝機の風が吹くまで抵抗するとしてゲリラ戦を展開。
多国籍軍もこれ以上の兵力分散は危険と判断して、また北半球攻略は南半球に旨味が無くなってからでも遅くないと怯える北半球諸国を笑いながら戦線を停止した。
生殺しになった北半球諸国は兵器開発を急いだ。しかし長年停滞していた事業が簡単に進むはずがない。
更にそれを量産させるとしたら…
絶望で属国化を申請しようとした手前、北半球で三番目に大きい海洋大国、リベルア―ク王国の無人島に時空間が出来て現れたのは研究者と研究所だった。
北半球に現れたそれを見た人々はまた別の世界で蹂躙されると発狂した。
しかしその研究所の一番偉い人間は武装も何もせずに国王に謁見して一言
「私に兵器開発をさせて下さい」
それが後にまた歴史を動かした男、日本人で日本で兵器開発にこだわらなければすぐに抹殺されただろうと言われ、当時わずか30歳で陸海空軍の全ての新世代兵器開発が出来る頭を持ち、兵器開発したがる人間、澤霧検であった。
彼は研究員を引き連れ、多国籍軍が隠していた世界に飛んで、今まで散々命を狙ってきた奴らにきつい一撃と、自由に研究できる環境を、そして撃退した暁には祖国日本と同等の通商協定を結んでもらうために、私怨少々利益少々そして趣味多量の為にやってきた。
最初はもちろん信用されなかったが、3年かけてリベルア―ク、ベルガ連邦、シクリア共和国の北半球トップ3の大国に研究成果と軍需から民需に転用出来る物質も提供して信頼を勝ち取り、同時に企業からの資金提供や広大な土地、実験場を貰い受けて研究は進み、一気に近代化すっ飛ばして次世代まで行った。
量産段階に入ると、敵には兵器開発は遅々として進まないアピールをする為にわざわざ旧式を造り、新型の隠れ蓑にしたり、敵の諜報に様々な手段で買収して虚偽の報告をさせた。
10年前から日本政府も債務の影響と長年の不景気打破の為に、非公式で北半球諸国と協定を結び、日本企業は新しい独占市場を求めて、一気に進出した。
この頃からこの世界には日本語が重要言語の一つとして定着する。
そして今、
とうとう多国籍軍が北半球に侵攻軍を前線に用意しているという確実な情報を得て、長すぎるくらい貰った猶予期間の成果を先制攻撃を持って見せつける事にした。
リベルア―ク海軍の新型と改修が済んだ艦隊が間もなく南半球の多国籍軍前線の島の索敵線を越える。
いや、既にレーダサイトを先行の特殊部隊が破壊したので用を為さない。
空には空軍王と呼ばれる程に強いベルガ連邦空軍の爆撃部隊が先行、後ろの揚陸艦隊に載せているのは北半球のチャリズム大陸の覇者で陸軍超大国、シクリア共和国陸軍
そして、280mで、艦載機合計76機(実際64機)の原子力空母の「ストラスフィア」とそれに並ぶ大きさでイ―ジス艦で戦闘から情報収集まで全てを完結し、レーダが本気を出せば半径350km内の敵の全ての脅威を判定して、データリンクで艦隊の兵器をフルに使いマルチロック可能にして、司令部能力を持ち、この艦隊の旗艦を務める、超ド級イ―ジス艦「アルセイユ」、そして巡洋艦4隻に駆逐艦12隻、高速大型補給艦3隻のリベルア―ク海軍中核機動艦隊である。
そのアルセイユの艦長兼司令が私、澤霧錬、こちらの世界ではレン・ア―ク・サワギリである。
私は26歳で軍に上級士官として入隊して四年で中将まで昇格してこんな大役を任された。
理由は簡単、私は母親が王族で、そして父親はこの世界の英雄、澤霧検なのである。
親父はこっちに来てすぐに当時国王の次女である母さんに一目惚れ、研究バカで、恋愛経験皆無の親父はまず国王の信頼を獲得した後すぐに母さんにアタック、無謀とも言える事だが、研究バカな所が素敵といえ奇特な…素晴らしい理由でOK、国王も反対しなかったので、根回し3年、交際3日後に結婚、そして一年後には私が生まれた。
以後、爆ぜろと言うのもだるいくらいに超ラブラブで、昔は研究にしか頭がいかない人間というのが嘘みたいだ。
話が脱線した。
まあそんな七光りで将兵から支持され、七光りが通用しない海軍の長老たちからも実力が認められて、こんな大役に
断ろうとしたら親父方面からの圧力もあり、断れなかった…。
「レン司令、間もなくです」
側近の少佐が言う、私も緊張してきた。
私には重大な仕事がある。
作戦行動参加全部隊に開始の号令をするのだ。
初っ端から初動の数万人の兵士が私の声で動くとか!もっと上の人でお願いします!
しかも奇襲の合言葉は日本語だ。
もちろん仕掛け人は親父だ、いつか締め倒す。
そして作戦開始時刻の太陽が昇り始める0600時2分前
全軍で無線封止が解除される。
私も自然と引き締まる。
敵は、諜報や偵察によると、この30年間、兵器開発をしているが、元の世界にばかり配置するだけで、こっちは完全に舐めきり、前線には昔なら脅威、今ならすぐに潰せる旧式ばかりである。
早くて一年、いや半年以内に南半球を奪還して、敵の巣窟、植民地軍司令部を叩き潰して逆侵攻の勢いで行く。
私は無線を取る、そしてたった一言。
「多国籍軍と名乗りし武装勢力に立ち向かう勇敢なる全軍将兵に告ぐ、ニイタカヤマノボレ…繰り返す、ニイタカヤマノボレ!!」
言い切ると一気に気が抜ける。
普通の何も知らない人が見ればワケの分からない言葉だが、この号令で全てが始まった。
書いてみたかった。
後悔はしてない…はず!