これが違うと気持ちが変わる
僕たちは莉緒の家に帰ってきた。
「ねぇねぇ、買ったやつ履いてみてよ。」
ルンルンと楽しげな莉緒。履いてみてとは下着専門店買ってきたコレの事だ。
「わ、分かったから・・・。着替えるまで待ってて。」
僕は莉緒に一度部屋から出てもらい、着替えをする。そして、女性用のソレを着けた自分を鏡で映してみた。
(・・・。な、なんか自分じゃないみたい・・・。ホントに女の子になったみたいだ・・・。)
鏡に映る自分に見惚れてしまう。ナルシストだと言われても否定は出来ない。けど、自分自身、まるで別の誰かを見てると錯覚してしまう。
トントン。
ビクゥ!
扉を叩く音だ。莉緒が催促しているのかもしれない。
仕方なく、僕は着替えを終わらせ扉を開ける。
「着てみた感想は?」
「身も心も、女の子になった気分かな・・・。なんかドキドキというか・・・ワクワクするというか・・・。」
「うんうん、分かるよ。これで葵ちゃんは立派な男の娘だね!」
「ふぇ~・・・。」
ちょっと涙目になる僕。流石に恥ずかしすぎて耐えられない。
「葵ちゃん可愛い~♪」
ぎゅ~!と抱き着いてくる莉緒。色んな意味で理性が保てそうにない・・・。
「しばらくは、また私の家の中だけで良いけど、慣れてきたら外にも出るよ。」
うそん・・・。下着も女性もので外に出るんですか・・・。
「ええぇ・・・。」
「だって、男の娘同士でデートって楽しそうなんだもん♪」
莉緒はノリノリだ。こんな笑顔な莉緒を見たら拒否できる余地は僕にはなかった。
そのあと、少し時間に余裕があったので、莉緒のピアノ練習に付き合った。もちろん、男の娘の姿のままで。
「あとは皆と合わせながら調整したほうがいいかも。」
僕はそう言って、練習を終わらせる。
「そっか、分かった。練習付き合ってくれてありがと。」
「ううん、僕も練習になるしお互い様だよ。」
「ねぇ、折角男の娘なんだから、一人称私にしてみたら?」
「えぇ・・・。」
「まぁ、僕っ娘って言うのもアリなんだけどね。試しに私って言ってみてよ。」
「わ、私は・・・。」
「ん~。ごめん、言っておいてなんだけど、やっぱり無しで。」
「え~。」
「僕のままの方が可愛いと思った、葵ちゃん。」
「わ、分かったよ・・・。」
「それとさ、ずっと言おうと思ってたんだけど呼び方葵でいい?」
「うん、いいよ。莉緒。」
「ありがと、葵。」
ニコニコと彼女は笑ってくれた。




