2週間の成果と紫音さんの実力
僕たちは紫音に演奏を披露するため、課題の日から毎日練習を重ねた。
演奏→録音→意見交換→調整→演奏→録音→意見交換→調整・・・
ひたすらに同じルーチンを繰り返す。みんなの表情を見ながら息抜きも定期的に挟む。
根を詰めても空気が悪くなったり、集中力が途切れて良い演奏も生まれない。良い意見も出てこない。
練習以上に大切なのは、休憩をしっかりとって、コミュニケーションを取り合うことだ。
僕はどんな事においてもそれは共通すると思っている。
充分に納得のできるクオリティに仕上がったら反復練習もする。
そして、僕たちは紫音さんに披露する時がきた。
「紫音さん、約束の日だね。」
紫音さんに学校のスタジオへ来て貰った。
「待ってたよ、さぁ、見せて。」
「おk。じゃあ、スタートだ!」
~~~~♪
紫音さんは静かに瞑目していた。
「どうかな?」
僕は問いかける。
「正直、驚いてるいるよ。龍がすぐにメンバー入りしたのも納得。課題の後の2週間でここまで出来たのはホントにすごいと思う。」
紫音さんは柔らかい笑顔を浮かべて、感想を述べてくれた。
「それじゃあ、僕たちと一緒にやってくれるかな?」
「おっけー。いいよ。私が入ればもっと演奏に厚みが出ると思うし、楽しそうだ。」
「これからよろしくね。」
「あぁ、こちらこそ。」
僕と紫音さんは握手をかわす。
「じゃあ、さっきの曲に合わせてベース弾いてみるよ。」
紫音さんはそう言うと、ベースを準備し始めた。
「え?いきなり合わせられる?」
「問題ないよ。家で龍が練習してたの聴いてたし、今の実際の演奏聴いてイメージはつかめてる。」
「す、すごいね。よし、じゃあやってみよう。」
・・・。
演奏後、録音を聴いてみた。
「おお~。1回合わせただけなのに、完璧に合ってる・・・。」
僕は、とても驚いた。龍以外のみんなも驚いている。
「まぁ、紫音はそういう才能もずば抜けてるからな。正直、実力では俺が劣る。」
龍は、なんのひねくれも無くそう言った。
「ホント、すごいすごい。」
莉緒は興奮気味だ。
「ありがとう。」
紫音さんは少しだけ恥ずかしげにしていた。
その後、僕たちは今まで通り、ルーチンを何度か繰り返し、その日の練習を終わらせた。
帰り道、莉緒が声をかけてきた。
「ねぇ、葵君。今日私の家に来てくれないかな?」
「え、いいの?」
莉緒の家に行くなんてドキドキしてしまう。
「えっとね、私だけみんなに遅れてるような気がするから、葵君に練習付き合ってもらいたくて。」
「分かった。いいよ、一緒に練習しよっか。」
こうして僕は莉緒の家に行くことになった。
次回は彼女・・・じゃなかった彼の家でドキドキ練習タイム?




