4人の個性
僕たちは練習をするため、駅前のスタジオに来ていた。
「じゃあ、まずはボーカル担当の僕から。」
持ってきている音源を機械を通しながす。カラオケのような感じだ。
音源は課題にむけて、いつも持ち歩いてる。
~~~~♪
パチパチパチ。
歌い終わり、3人は拍手をしてくれた。
「改めて聞くと、葵君ってすごく上手なんだね。」
「そうだな、いつも聴くとはなしに聴いていたがやはりいいモノ持ってるな。」
感想をくれる。莉緒と龍。山中さんは二人に同意するように首肯している。
「じゃあ次は私ね。」
莉緒は静かに優しく弾き始める。聴いていると心穏やかになる、そんな演奏。
「莉緒の演奏はいつ聴いても優しくて、いいね。」
僕は彼女の演奏を近くで聴いてることが多い。
その後、龍と山中さんもそれぞれ演奏を披露してくれた。
「龍も山中さんも、やっぱすごいね。龍は熱を感じるし、山中さんは楽しくなってくる。」
「うんうん。それぞれ個性が違うけど上手く合わせられるかな?」
莉緒は少し不安そうではある。
「考えても仕方ないさ、とにかく一度合わせてみよう。」
山中さんは、そう言ってドラムを前にする。
それから、みんなで何回も合わせてみた。
録音して、みんなで聴いて意見を出し合い、調整する。そして、演奏。
調整後の録音を聴き、また意見を出し合い、調整の繰り返し。
3回・・・5回・・・10回・・・。
「よし、いいね。」
何度も調整した後の録音を聴く。僕はようやく納得できるクオリティになったと確信する。それでも、まだまだ改善の余地はある。けど、初日しては上出来だと思った。
「よかったぁ。」
莉緒はへとへと気味だ。一番苦労していたかもしれない。
「思った通り、葵は妥協しないやつだな。」
いつの間にか、龍は僕をそう呼ぶようになっていた。
「あぁ、私もここまでとは思わなかったよ。」
山中さんも、僕のこだわり具合にビックリしているようだ。
「この録音を聴いたうえで、どんな曲が良いかそれぞれ考えて来るでいいかな?」
今日はそれで解散した。
帰り道、莉緒から声をかけられる。
「葵君、優がね、葵君は才能があるみたいな事言ってたんだけど。今日それが分かった気がする。」
「え?そうなんだ・・・。あんま自覚なかったけど。ただ妥協したくないだけで。」
「それが良いんじゃないかな。学校の課題だから手を抜いてもいいやみたいな、いい加減な気持ちじゃないから。」
「だってさ、自分で好きな教科を選んでやってるわけだから、そこで手を抜いたら自分に嘘ついてることになるじゃん。」
僕はそんなことを、当たり前のように言葉にする。
「かっこいいね。」
ニコニコと莉緒は笑いかけてくる。
僕は照れくさくなって、視線をそらしてしまった。




