15話 村
ブックマーク、評価ありがとうございます。
少し進むとまたゴブリンと遭遇する。
こんなにゴブリンっているものなのか?
「また前方から来るぞ!数は3!リルとポチは後方から敵が来ないか注意!ヤキトリは空から後続する敵がいないか確認!ネロは俺と向かってくるゴブリンを蹴散らすぞ!」
「ハイなのです!」
「カァー」
「わかったよ!」
各々から返事が聞こえるのと同時に、俺はゴブリンとの距離を詰める。
ゴブリンは、横3列で中央にいる奴が先陣をきる形で向かってくる。
俺は、まず真ん中のやつに近づき顎に一発食らわせる。
「おらっ!」
「ギッ!」
地面から空中に浮き上がったところを蹴りにより左側のゴブリンにぶつける。
ゴブリンが飛んできたことで、二匹同時に転ぶ事になり、二匹の頭を潰す余裕が生まれる。
ネロは右のゴブリンが俺に近づこうとするのを防ぎ、ワンパンで片付ける。
ネロが片付け終わって、俺の方もゴブリンを2匹片付け終わる。
「キリがないな・・・」
「うん、油断できないね」
敵を倒したからと言って油断はできない。
少し、進むとまた襲ってくるのだ。
こんな事を続けながら、俺達はリルの家に向かっていく。
これだけ、ゴブリンに遭遇するということは、リルの家も只じゃ済まないかもしれないな。
覚悟しておいたほうが良いかもしれない。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
どれだけ進んだだろうか。
どれだけ倒しただろうか。
数えるのも億劫になるほど倒し続けたから、時間の進みもわからなくなっていた。
かなり時間が経っているのか、それ程時間が経っていないのか怪しくなっていた。
歩いて移動するなんて余裕もなかったから、殆ど走り続けている状態だった。
「見えてきたですー」
そんなリルの声が聞こえると、森のなかに開けた場所があるのが見えてくる。
そこにあったのは、集落が在ったであろうとわかるものだった。
そう在っただ。
家々は壊され、所々からは火が燃え盛り、酷い有様だった。
「え?・・・・・・・・・」
その光景を見たリルは立ち止まる。
家を出た時はいつもの日常の景色がそこには在ったのだろう。
しかし、今目の前にあるのは変わり果てた非日常なのだ。
「おとうさーん!おかあさーん!」
リルはそう叫びながら、村の中へと走っていく。
その後をポチが、俺達もその後を続けて追っていく。
村の中へ入るとその光景が尚良くわかってしまう。
所々に見える争った後、血が付いた痕跡、この村がゴブリンに襲われたということだ。
かなりの数がこの村に襲いかかった。
だから、ここまで来るまであんなにゴブリンと遭遇したのだ。
俺の予想が当たってしまったということか・・・。
「おとうさーん!おかあさーん!」
泣きながらリルは一軒の家に向かっていく。
その家も原型を保っておらず、所々穴が空いていたり、焦げていたり、酷い有様だ。
そして、リルに続いて、俺達も家の中へと向かう。
家の中は荒らされていた。
「・・・・・・・・・・・」
あまりのことで、リルは言葉を失い、立ち尽くすだけだった。
かなり、荒らされているな。
しかし、遺体が見当たらない・・・。
ここに来るまでそれらは見当たらなかった。
もしかしたら、最悪男は食われ、女は連れ去られたのかもしれない。
「リル大丈夫か?」
村の中で、生存者がまだいるかもしれないが、こんな状態のリルをおいて探しに行くことはできなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
俺が、声を掛けてもリルは俯き、立ち尽くすだけ。
これ以上どんな言葉をかけていいのかわからない。
俺達はその場から動くことも話しかけることもできず、その場に立ち尽くすのであった。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
しばらく経って、リルは眠ってしまった。
泣き疲れたのか、心のショックをこれ以上与えないためなのかはわからないが、今は眠っている方がいい。
俺達は生存者が居るか確認するためにポチを残して、家から出る。
手分けして村中を確認することにした。
「くそっ!俺達がもっと早くついていれば」
そんなふうに、自分を責め立てる。
例え、間に合っていたとしても、村を守れていたとは限らない。
しかし、どうしても責められずにはいられなかった。
そんなことばかりを思っていると、近くで物音が聞こえた。
生存者か!?
俺は急いで音がした方へ向かった。
しかし、そこに居たのは生存者ではなく、ゴブリンだった。
「ギィギ―!」
俺の接近に気が付いたゴブリンは飛びかかってくる。
俺は生存者ではなかったことと、この村を襲ったゴブリンへの苛立ちをぶつける。
「うおおおおおおおおお!!!」
ゴブリンは顔面に腹に腕や足にと、俺の攻撃を受け息絶える。
それでも、俺は攻撃の手を止めることはなかった。
・・・・・・・・・・・・
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・」
しばらくゴブリンを殴って少しは気が済んだのであろう。
攻撃の手を止めると、息苦しい。
どうやら、呼吸も忘れて殴っていたようだ。
「ちくしょう・・・」
涙が頬を流れるのを感じ、自分が泣いていることに気がつく。
それからは、涙が止まらなくなり、俺はその場で泣き崩れてしまった。
・・・・・・・・・・・・
落ち着いた頃には、日が傾き、空を赤く染めていた。
生存者は見つからず、一旦リルの家まで戻ることにした。
戻ると、ネロやヤキトリも戻ってきており、家を守るように見張りに付いていた。
「生存者はいたか?」
「いなかったよ・・・」
「カァー・・・」
どうやら、ネロ達も生存者は見つけることができなかったみたいだ。
俺達は交代で見張りをして、その日はリルの家で寝ることにした。
読んでいただいてありがとうございます。




