夜の騎士団
「夜の騎士団の情報、欲しいんでしょ?そこそこなら、持ってるけど」
咲は何故か、学校の制服を着ている。
「神城さん……。どうしたのかしら、いきなり」
「お久しぶりね、長谷川篠音さん。急用が出来たのよ、だから私を桜部に入れて。入れてくれたら、そっちがほしがってる情報あげるからさ」
咲の言う『急用』に由姫は心当たりがある。
「さ、咲ちゃん、それって……」
「由姫の事じゃない。これは、私の事なの」
「…………わかったわ。良いよ、入部して。その代わり、夜の騎士団の情報を全てちょうだい」
「もちろんよ。私にとってもあいつらは邪魔なの。戦うんでしょ?」
「まぁ、ね。そのために由姫ちゃん達には制御を覚えてもらってるから」
「っ………とにかく、目的は同じになるでしょ?だから」
「良いけど、その代わり。夜の騎士団についての話が終わった後……こっちの質問に答えてくれるかしら」
「……どういう質問?」
篠音はただ、笑うだけだった。
「答えにくいものじゃないわよ。簡単なことだから」
咲はしばらく考えたが、入部する方が大切だと思い、質問に答えることを承諾した。
「じゃ、入部ね。………さ、聞かせてよ、咲ちゃん。夜の騎士団の情報を、さ」
「…………質問は一切受け付けない。話してるときに、話を途切れさせるようなことをしない。この2つを守って」
その場にいる全員が頷いた。
咲は、話し始めた。
夜の騎士団について。
夜の騎士団。まず、こいつらの構成から教えるね。
夜の騎士団って、夜にしか本来の目的を果たそうとしないの。
日中は………相談所とか開いてるんだったかな。
目的って言うのは、夜桜のエネルギー。そして、夜桜を開花させられる力を持つ者達。
つまり、月のペンダントを持つ由姫と星のペンダントを持つ私。
………え?星のペンダントを持ってたのが私だったのか?
……由姫が過去に戻した時に、少し必要だから拝借しただけ。このペンダント持ってると、なんか力が使いやすいのよ。
これを持つ前はけっこう私の力は暴走してたんだけどね………今は全く。
…そんな話はどうでも良いのよ。早くしないと、騎士団が……。
騎士団は私たちを狙っているの。
学園祭のこと、学校襲撃のこと………全部私と由姫を狙ってのこと。
じゃあ、なんで騎士団は夜桜のエネルギーを欲しがってるかなんだけど…………ごめん。これは、わからない。
ただ、夜桜のエネルギーについて話しておくね。
これは、上手く利用すればこの世界を一から創り直せる位の力があるの。なんでそんな力があるのかはわからないけど。
とにかく、騎士団の目的は夜桜のエネルギー。
それを頭に置いといて。
次に、メンバー。これに関してはけっこう分かってる。
夜の騎士団って、戦える人数は少ないの。
その代わりに、1人1人の戦闘能力は…………そう、軍隊1つ分はある。
この前の襲撃事件覚えてる?
あの時、私たちが会ったのはブリンキンっていうやつだけだったけど………あいつは、一番弱いの。
あいつよりも強いやつが、騎士団には16人。
戦闘部隊は10人。
リッカイ、ナルスがテレパシー。
コロミカ、シルハク、ブリンキン、ジェインが炎。
ササナ、ジェカは水。
ミンテスとクルンは念力。
戦闘部隊って言うのは、簡単に言えば襲撃事件のようなものの為の部隊。
倒せるなら倒す。
倒せなさそうなら、情報を持って帰る。あともう1つあるんだけど…………先にこっち説明しようかな。
精鋭部隊は7人。
一人一人の能力はわからないけれど………カイン、ユカ、リーシェ、ラルト、ヤクト、ナダム。
副団長的存在がユイシィ。
団長的存在がラム。
この7人は………正直、勝てない気がする。
けど、あまり戦線に出てくることはない。
なぜかって言うと、さっきの戦闘部隊が命を懸けて精鋭部隊を守るから。
戦闘部隊がいなくなったって、騎士団にとっては痛くもない。けれど、精鋭部隊が1人でもいなくなったらそれはかなりの損失になる。
だから精鋭部隊を倒しにいきたいところだけど………戦闘部隊を無視して良いわけじゃない。ほっとくと、あいつら面倒なの。
けど、滅多な事が無い限りは精鋭部隊って戦線に出てこない。だから、先に戦闘部隊をやってから、精鋭部隊にした方が良いかな。
こんなところかな。
あ、言い忘れてた。
精鋭部隊の能力だけど……みんな『操る』系のみたい。
それだけ。
「…………なんて言うか。規模、大きいのかな?これは」
話を聞き終わった時の沈黙を破ったのは、篠音だった。
「さぁね。この事に国がどこまで介入してるかなんて知らないわ」
「待って、神城さん。その発言………まさか、あなたはこの事に国が介入してるとでも?冗談じゃ…………」
「ないんだよね、これが。私もこっちの方については全然わからないんだけど……今回の騎士団の件とか…さすがに、少しは話題になってて良いと思う。なのに、なってない。これがどういうことか。わかるでしょ?」
由姫は息を呑む。
他の部員も。
「まさか…………国が、もみ消してる…?」
篠音は恐る恐る訪ねる。
咲は少し顔色を変え、
「……えぇ。そうとしか、考えられない。何かがあるから……………そうよ。なんでこれを忘れてたの……!!!」
咲の顔が顔面蒼白になる。
「さ、咲ちゃん?どうしたの?」
「………何度目の世界だったかは覚えてない。聞いたの。国が、巨大なプロジェクトを進めているって…」
「…………どんなプロジェクトなの?」
咲は一呼吸置いて、答えた。
「………桜プロジェクト」
その日、夜桜はいつもと様子が違った。
赤い葉が、地面に落ちていた。
END




