組織の集い②
「………で?私の身には何も起こらず、しかしお前たちは易々と入場させたわけだ」
「…………返す言葉もありません。……しかし、社長の身に何も起こらなかったというわけでも……」
「まぁ、そうだけど……。けど、お前らが気をつけていれば本当にに何も起こるはず無かったんだけどね」
「……失礼いたしました」
「はぁ……。襲撃は別に良かったんだけどね。あれで、ようやく月の力は目覚めた。星の力は現れて………今度こそ成功させる。絶対に。…けど、祭りの方で覚醒してたら……外国勢力に攻められる。その事の重大さ、重々承知しなさい」
「はい。………社長、そういえばその外国勢力ですが…」
「何か動きでも?」
「はい。ただ………少し、妙と言いますか……」
「妙?何が?」
「先日、また偵察を送り込むために船が出たのはご存知ですね?三隻出ていたのですが……昨晩、その三隻共にレーダーから姿を消しました。原因不明、海底に潜ったというわけではありません。近くで待機していた者が5分としない内に泳いでレーダーから消えた場に行ったのですが………見つからず、です。その三隻を監視カメラより監視していた者によると、大きな波が三隻を包んだ後、姿を消したそうで。外国勢力がこれに何かしらの手を打つかと思い、すぐさま外国勢力で待機している者に連絡を取りました。しかし、何も手を打たないようです」
「………見限った、と考えるのが普通じゃないの?」
「ええ、そう思いました。……しかし、違うようです。極秘に見限るのではなく………放送を使い、堂々と公表したそうです。内容は、この通りです。…我々は、偵察に向かった三隻の消失について何も行いません。今後、三隻に乗っていた彼らに会うことは無いでしょう。その分のお金などは我々が払いますので、申し立ててください。…………以上が、国民に向けて外国勢力が公表した文です」
「………どういうこと?これじゃ、国民の反感を買いまくりじゃない」
「ええ。その通りで、今デモが起きているそうです。国民の九割が参加している様ですね」
「外国勢力は、そのデモに対して何か手を打ったの?捜索する、とか」
「………武力で押さえつけようとしてます。なので…」
「国民はそれに対して、更に反感を買う。はぁ………エンドレスの悪循環じゃない。………外国勢力は一体何を考えてそんな事を……?」
「わかりません。待機している者全てに聞きましたが、どうやら演技では無いようです。国民の声、心の声共に裏が無さそうだ、と言うことで」
「…………カイ、今何してる?」
「自宅におられるかと………」
「すぐに呼んで。あいつには役目が出来た」
「かしこまりました。必要な資料、揃えましょうか?2人分」
「お願い。出来るだけ早めにね。…………あ、リクとソラも呼んで。資料はいいから」
「すぐに。………失礼いたします」
「よろしく。……………どういうつもりだ?何を起こそうとしてる?自分たちを悪にして…国民に矛先を向けて…国民は新しい『正しさ』を求め……ん?新しい………正しさ?……いや、まさか。あり得るはずがない。そんな事の為だけに…ここまで大掛かりな仕掛けは必要か?……一体、奴らは何をたくらんでる……?何のために、行った?三隻の行方がわからなくなるのは………シナリオ通りだって言うのか?何だ………何だって言うんだ……?」
「ここまでして、奴らになんの利益が生まれる?…………厄介だな……」