8.ゼミと森田塾、そして月1回のイベント
今日は森田先生のゼミ。実験班を決めるとのことで、事前に希望を取っていた。
その日のゼミでは実験班を決めることになった。ある程度希望は取るものの、先生が基本的に決めているということもあるので、何となく進んで行くことに。
僕は近藤君という人とセットになって1年間やっていくことになった。
「よろしくね」
「よろしく」
と軽く挨拶をして、その後も実験班が決まって行くのを眺めていくことに。決まった実験班は希望したものに一応なったのだけれど、なんというか実のところ具体的にどうなのかということは分かっていない。
だからそれもこの後いろいろ引継ぎとかもあるのだろうけど。
それから、毎週、森田先生のゼミと並行して森田塾が開催されていくことになるのだけれど、基本的に塾は同じことをやるだけ。
だんだんと僕以外にも疑問に思ったのだろう、最初は参加していたものの、時間が経つにつれて人は減っていった。
「・・・これに何の意味があるのだろうか」
良かったのかどうなのかわからないのだけれど、森田研究室に入った同期は全員、仲の良いグループではなかった。つまり、研究室の何かしらで集まる。ということだけで、他に誰かのアパートに行ったりとか、食堂にご飯を食べに行く、一緒に遊ぶということが殆どない。
だからゼミはともかくとして、森田塾で行われていることについて話す。なんていうことは起きなかった。
とはいうものの、講義では顔を合わせるわけで。
僕はあえて早坂君の隣に座った。
「どう思う?」
「どうって・・・どういうこと?」
僕は彼に話を持ち掛ける。
「森田塾の事。あれなんなの?」
「さぁ・・・俺にもさっぱりわかんないけど」
感想は同じらしい。
「真本君、でも今日の森田塾も行くでしょ?」
「・・・うんまぁ」
こんな感じの会話になってしまった。どう考えても他の研究室はこんなことをやっていない。ということは明白なのだけれど、どうしてこんなことをしなければいけないのか。という気持ちもある。
それでも何となく、行かなければいけないような気がしているというのもある。
何のなのだろうか。
とかそんなことを考えているといつの間にか講義が終わる。僕と早坂君はとりあえずいつもの部屋に向かうことにした。
いつも人たちが集まり、いつもと同じ内容をやる・・・と思いきや、今日は少し別なものが入ってきた。
「じゃあ今から課題を渡します」
「課題?」
そういうと戸崎さんは後ろの方に置いてあった本の束を運んできて、前の机に置いた。
「いまから、本を1冊渡すから・・・えっと、11月頭の森田塾までにこれをまとめて発表してね」
とのことだった。
するとそれまで角に居たイガさんがやってきて、一人一人の顔を見ながら本を選んでいく。本は同じものではなく、それぞれ内容が別のモノ。しばらくそれを眺めていると僕の手元に本がやってきた。
「成功と失敗について」
・・・なんだこれ。本屋でよく見るような自己啓発系の本なのだろうか?とそう思って隣の人のを見ると「栄養について」とか更に隣は「畑について」、向かい側に座っている早坂君には「大豆について」の本が渡されていく。
本をじっと見つめた後、少し開いて内容を読んでみることにした。
するとまた声がかかる。
「発表のやり方はパソコンでプレゼン資料を作ってもらって、それをプロジェクター使って、ここでやってもらうよ」
そうか、なるほど。なるほど?いやいや、プレゼン資料なんか作ったことあったっけ?どうやるんだろうか。
「それと、今回の課題は4年生と2人でやってもらうよ」
そう言うと戸崎さんはパソコンを見ながらそれを言って行く。どうやら決まっているらしい。
僕が一緒にやる4年生は小山さん。と言う人だった。何回かゼミや森田塾で見たことはあったものの、話したことがない人だった。
「それと、今日はバーベキューがあるから」
「バーベキュー?」
「そう、月1でやってるやつなんだけど、今日から3年生にも参加してもらうよ」
とのことだった。
森田塾が終わると、僕たちは揃って研究棟へ。すると研究室の外に3台くらいのバーベキューセットの台が置かれていて、煙が上がっているのが見える。
近くに置いてある段ボールには食材が、クーラーボックスには飲み物が入っているのだろうか。
何となく準備が終わっていない雰囲気があったので少し手伝うことに。ある程度準備が終わると
「そろそろ森田先生呼んできてくれない?」
と4年生の人が言うと「わかりました」と伊佐木君と中村君が返事をして4年の総務の人と教授室へ向かって行った。
椅子を適当に並べていると声をかけられた。
「真本君?あれ、本まとめる奴、俺と一緒だから」
作業着を見ると小山と書いてある。この人と作るということになるらしい。
「そうなんですか、よろしくお願いします」
そう挨拶をして世間話を少ししていると森田先生がやって来て、さっそく乾杯をしてバーベキューが始まった。
何となく食べ物を運んだり、飲み物を見たり。4年生と話したり。すると先生がやってきた。
「真本君!うちはね、こういう感じだからね!」
と言われ
「なるほど、そうですね」
とかいうよくわからない返事をしてしまうことに。なんか何というかいまいちわかっていないのか、それとも、みんなが凄いのか分からないけれど。
で、小山さんが僕に話しかけてくる。
「これさ、月1でやるっていうのは聞いてるでしょ?」
「はい」
「で、誰でもいいんだけど、総務と企画が一応中心になってこれ、やってくんだよね。だから来月は真本君たちが開かないといけない」
「な、なるほど」
もしかして企画というのは思ったよりもやることが多いのでは?こんなのであれば他のにしておけば良かったかもしれない。
小山さんはスマホを僕に見せて来た。
「それで、本をまとめるってやつ。やる時は研究室でやるんだけど、いつ日は空いてる?」
「・・・夜遅くとかならいつでも空いてますよ」
「そうか、よしじゃあこの日から始めようか。そうしないと発表に間に合わなかもしれないから」
とりあえず、予定を決めることになった。
それからまた研究室、出身地の話とか、そういうことをしていると、どうやら終わりの雰囲気が近づいて来たらしい。すると先生は
「3年生もいることだしね!フレーフレーやっておくか!」
何のことだかわらなかったが、次の瞬間、すぐにわかることになる。先生は右手を下から突き上げて「フレー!フレー!」と大きな声でいい、まるでそれは応援団。そのあとに「新4年生!」と言った。
「はい、じゃあ次行こうか」
と先生は4年生に目配せし、その人もやる。そうなると次に来るのは3年生の番。総務の伊佐木君が指名されてやることになった。
彼もまた見様見真似でやる。そしてそれが終わるとバーベキューが終了。みんなで片付けることになった。
それが終わると解散、本をまとめるのを今日からやる人たちは研究室の中へ入っていった。
こういうのがあるのは何か大学生っぽくて楽しいと思うのかもしれないけれど、それでも定期的にこういうのをやるって言うのは中々無いのかもしれない。
あっても年1回とかの区切りの時とか、新年会とかそういうタイミングならわかるけれど。
ともかく僕は家に帰ることにした。




