表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】様々な王様になれる、スキル《キング》は異世界での処刑スキル。  作者: 山田 ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/72

第54話 砂の王国

 砂が焼けていた。風が肌を削るように吹きつける。


 悠。いや、今の彼は《砂蝎王スコーピオンロード》として、漆黒の外殻に太陽を反射させながら、砂丘の頂に立っていた。


《スキル:キング》

《効果:この地で“支配を宣言”した者は、王の資格を得る》


(……砂だらけの世界か。水も、森も、愛も……全部、遠いな)


 だが、砂の下では蠢くものがいた。

 巨大なサソリ、砂蛇、虫の群れ。


 彼の気配に引き寄せられるように姿を現す。


 悠はその中心で、ゆっくりと尾を掲げた。


(俺が王だ)


 その瞬間、砂漠が震えた。


 全ての砂生物が跪き、音もなく命令を待つ。


《支配成功:砂の民 統率率97%》


(……いい子たちだ)


 悠は低く笑う。


 声は風に溶け、黒い影だけが残った。だが、静寂はすぐに破られた。


 遠く、地平の向こうに砂煙を上げて進む影があった。


(……人間か?)


 盗賊団だった。


 黒布で顔を覆い、砂馬に乗った荒くれども。


 旗には骸骨の印。槍と銃を構え、血の匂いを纏っていた。


「見ろ! 化け物だ!」


「サソリの王か? 売れば金になる!」


 砂を蹴り上げ、銃弾が飛ぶ。

 悠の外殻を貫けず、弾丸は砕けた。


 次の瞬間。


《スキル:毒針王撃どくしんおうげき


 紫の閃光が砂漠を裂いた。


 空気が毒に変わり、数十の盗賊が倒れ伏す。


(……俺に向かって、武器を向けたか)


 悠はゆっくりと歩み寄る。


 生き残った数名の盗賊が震え、片膝をついて叫んだ。


「た、助けてくれ! 命だけは!」


 悠は冷たい瞳で見下ろし、やがて尾を静かに下ろした。念話を飛ばす。


『なら、働け。砂を耕し、水を探し、国を作るんだ』


 盗賊たちは互いに顔を見合わせ、そして頷いた。


 その日から、彼らは“砂の王”に仕えることになった。


 数年後。


 砂丘の谷間に、巨大な砦が築かれていた。


 水脈を掘り、緑を植え、砂漠の王国サハラトが誕生する。


「王よ……この地、やっと人が住めるように」


 元盗賊の女首領が跪いた。


 悠は遠くを見つめながら、低く念話を呟く。


『……俺は、もう奪うだけの王じゃない。

 ここで、生かす王になる』


 彼の背に、黒いサソリの影が浮かぶ。


 砂の太陽が燃え上がり、王の影を伸ばした。


 だがその影の向こうには、また新たな気配があった。


 異国の旗を掲げた“人間の軍”。


(……また、来るのか)


 悠は尾を立て、毒を滲ませた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ