表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】様々な王様になれる、スキル《キング》は異世界での処刑スキル。  作者: 山田 ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/72

第15話 鷹王、風の王国を築く

 風が唸り、雲が裂けた。

 悠。

 鷹王は黄金の翼を広げ、天空を駆け抜けていた。


 下方には果てしない森と山脈。

 そこには、かつての焼け跡と争いの残滓がまだ黒く刻まれている。


(……あれが“下”の世界、か)


 土にまみれ、血に塗れた王国。

 地を這っていたころには見えなかった広さと孤独が、いまの視界には広がっていた。

 だが、悠の目に映るのはもはや傷跡ではない。

 流れる風と、差し込む太陽の道――ただそれだけだ。


《種族:鷹王》

《領域:風域スカイドメイン

《スキル:空の支配/風読/狩猟指令》


 悠は翼をたたみ、岩山の頂に舞い降りた。

 そこは、幾千もの鷹や鷲が巣を構える巨大な断崖。

 風が壁のように吹き抜け、絶えず空気の流れを変える。


(……ここを、俺の国にするか)


 意識を広げると、風が共鳴するように鳴いた。


《スキル《空の支配》発動》

《周囲の鳥類を従属対象に指定》


 一瞬の静寂。

 そして、空が震えた。


 数百の翼が同時に広がり、空を覆い尽くす。

 轟音のような鳴き声がこだまし、風がひとつの意志を持ったかのように流れ始めた。


(これだ……地を這うのはもう御免だ。空なら、誰にも縛られない)


 悠の前に、黄金の羽を光らせながら一羽の老鷹が降り立つ。

 片翼に古傷を負ったその鷹。

 名はゼルド。かつて空を守った歴戦の参謀だ。


【王よ、群れはすべて制空域に入りました】


(ふむ、では次だ。空の拠点を作る)


【拠点……? 地上に?】


(いや、地上には戻らん。風と雲の流れの中に、俺たちだけの“天空都市”を造る)


 ゼルドの瞳が見開かれた。


【……そんなことが、可能なのですか】


《スキル《風読》+《支配》を合成しますか?》

《はい/いいえ》


(はい)


 その瞬間、悠の身体が光に包まれた。

 風が渦を巻き、雷鳴のような音を伴って空が形を変えていく。

 雲が束ねられ、渦巻く気流が円を描き。

 やがて、白い輪のような構造が空に浮かび上がった。


《新スキル《風環都市リング・ネスト》を獲得》

《効果:風圧と浮遊で成り立つ天空拠点を形成》


 空に、王国が生まれた。

 風と雲が土台となり、翼ある者だけが入れる、見えざる都。


 ゼルドが感嘆の声を漏らす。


【……これが、風の都……!】


(風が城壁で、空が地面だ。誰もここには届かない。これこそ“風の王国”だ)


 下では、焦げた森がまだ煙を上げていた。

 だが、その上を覆うように、白い雲が新しい秩序を築き始める。


(……やっと、“楽して支配できる”国ができたな)


 悠は薄く笑い、翼を休めた。

 だが、風は静かにざわめく。

 冷たく、どこか不吉に。


《上空限界高度に異常気流発生》

《観測対象:未知の飛翔生命体》


(……また来たのか)


 悠は目を細め、雲の彼方を見据える。

 そこに、巨大な影が現れた。

 翼を持ち、風をねじ曲げるほどの存在。


《種別:ドラゴン》


(……今度は空の覇者同士、か)


 悠は翼を広げ、風を切った。

 空が鳴り、風環都市の中心で黄金の光が奔る。


 鷹王は、再び戦場へと翔ける。

 地を棄て、毒を棄て。

 それでも“王”として、生きるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ