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私はパーティーを行って以来、お茶会に参加したり、貴族夫人や令嬢達との交流を深めている。
それと同時に魔法の練習をしたいとグラナート様に申し出た。教師をつけてくださって、念願だった魔法について学べるようになった。
その教師の人も、私のことを決して蔑ろにはしなかった。私のことを大公夫人として、グラナート様の妻として尊重してくださっていた。
……ああ、本当に私は実家に居た頃、蔑ろにされ続けていたのだと改めて実感する。
気づいてからというもの、嫁ぐ前の私の暮らしと今の暮らしを比べると……どうしても色んなことを考えてしまう。
私自身の考え方が、がらりっと変化していくことが分かる。
これまでの私が、殻を破って……別の私へと変化していくようなそんな不思議な感覚と高揚感。
教師の魔法使い曰く、私の筋は悪くないみたい。私は人を癒す魔法の適性があるのだって。それならばグラナート様が怪我をした時に治したりすることが出来るだろうか。そう考えると、何だか嬉しく思えた。
「これから学んでいけば、グラナート様の役に立てますか?」
それでも私はやっぱり自分に対する自信なんてなくて、心配をしてしまっていた。私の問いかけに教師は、にっこりと笑った。
「もちろんですよ。奥様が練習を怠らなければ絶対にその望みは叶いますよ」
そう言って微笑まれると、私は大丈夫なんだとほっとした。
それならばお姉様はどうして、私が魔法を習ってもなんのためにもならないといった態度だったんだろうか。
ずっと……お姉様の言うことに間違いなどないのだと、そう思っていた。お姉様は正しいのだから、私はその決定に異を唱えるなんてありえないって。
だけれども何もかも違ったとしたら……今まで私は何をやってきたんだろうと自分に対して呆れてしまった。
お姉様の言葉を絶対視しなくていいんだと気づいて、凄く不思議で、変な感覚になったけれども魔法を学ぶことが出来るのがただ嬉しかった。
私はこの大公領で、自分の意思で動こうとしているのが多くなった気がする。
実家に居た頃は、私の意思で、私が何かをすることって思えばなかった。余計なことをして家族に迷惑をかけたりしたくないって、私はそればかり考えていた。私が自分で決めてやったことは、いつも家族が嫌がってしまうんだって……。
でもこうして今、自由に動かさせてもらっていて思うことは……前の私は全てを諦めてしまっていたけれど、やる前から何もかも出来ない、やったら迷惑をかけるってやらない選択肢を取るのってもったいないのだと。
これはグラナート様が、私に失敗してもいいと、その時は次頑張ればいいといってくださったから。
私は私のままで良くて、きっとどんな私でもグラナート様は愛してくださるとその気持ちを知ったから。
自分から愛を返すことが出来るかどうかも分からないのに。それなのに私はグラナート様の言葉を受けて、こんなにも前向きになっている。
なんだかこう考えると……私ってグラナート様に与えられているばかりだ。何か、グラナート様に出来ればいいのだけど。
グラナート様が私のことを愛していると言ってくださっているのならば、前に侍女の一人が言っていたように“魅惑的な衣装で夜のお誘い”したら喜ばれる? なんて頭をよぎって、顔が赤くなってしまった。だってそんなことをするなんて想像しただけで恥ずかしいもの!
ただグラナート様の子供は欲しいなとは思っている。私は愛が分からないけれど、きっと一緒に過ごしていたら家族愛は芽生えるだろう。というか今も、そう言った意味での親愛の感情はグラナート様に持っている。
ただそれが、グラナート様と同じ愛しているに見合う感情かは別として。
子供が出来たら、どんな子だろうか。グラナート様に似ていると、きっと可愛いだろうなんて妊娠もしていないのに想像してしまっている。
例えば子供が出来なかった場合を考えてみよう。大公家には跡取りは当然必要だ。そうなったら……私はグラナート様と離縁しなければならなくなるのかな。……それを考えると、胸が傷んだ。嫌だ。なんてそう思う。私は……愛も分からないのに、グラナート様の傍を離れることなんて想像できなくなっている。
それほどまでに、グラナート様の隣が心地よくてたまらないから。
私はもう、この場所を手放せないぐらいにグラナート様やこの大公家を好きになってしまっているのだから。
そう考えるともし仮に子供が出来なくても、傍に居られるように私が役立つって示せた方がいいのかもしれない。
グラナート様は……私のことを手放そうとはしない気がする。少なくとも今は私のことを愛しているとおっしゃってくれているから。
ただこの先のことは分からないので、色んな可能性を考えておいた方がきっといい。
私はそんなことを考えた。
魔法の練習をしながらも、大公夫人としてやるべきことを少しずつ進めていく。だけれども少し夢中になりすぎるといつもグラナート様がすぐ傍に来る。私が無理をして働いていることで、倒れたりしないかを心配しているみたいだった。
グラナート様は本当に……優しい方だ。
「グラナート様のために、もっと頑張りたい」
私が侍女達にそう言ったら、彼女たちは笑って私のことを応援してくれた。皆が居るから、私はこんなにも頑張れるんだなと改めてそう思った。




