表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/173

デパート二階 【調達】

サク、サク、サク。

雪を踏みしめる様な……足音かしら?

何かが近付いて来る!


咄嗟に、陳列棚の後ろに身を潜め、様子を伺う。

雪だるまだわ。


どうやら、私に気付いているふうでは無さそう。

サク、サク、サク。


マネキン達の残骸の上を、意に介する事無く飛び跳ねる様に越えていく。

雪だるまには知性や感情までは無い様。

まあ、当然ね。

体当たり攻撃で、侵入者を氷漬けにするのが彼らの役目。

感情や知性とかは、自爆攻撃には無用ですもの。


サク、サク、サク……。


「ふぅ~、どうやら、行ったみたいですわね」


そう言えば先ほどの闘い、妙だったわ……あのマネキン達が、では無く私の方が、よ。

氷の(つぶて)を放った積りが、氷柱(つらら)に……。

確か、一階の方でも雪だるまを飛び越える時に使った突風も、いつもより強かった。

危うく、頭を天井にぶつける所でしたもの。


まるで、セクメトの慧眼(けいがん)をハメている時の様……と迄は行かないけれど、私の魔力が上がっている。

何故かしら?

数日に渡りセクメトの慧眼(けいがん)を使ったから。

それとも、ティル・ナ・ノーグのリンゴを戴いたからかしら。

若しくは、その相乗効果と言うことも……。

まあ、良いわ。

制御できない程の力と言う分けでも無いし、(むし)ろ今は好都合ですもの。


でも、それを踏まえたとしても、戦力不足は(いな)め無い。

ともかく、今の内に何か戦力の増強を考えましょ。

一番手っ取り早いのは、ノワールとブランの召喚だけれど。

今は未だ、単独で行動した方が雪だるま達に見つかり(にく)そうだわ。


お札を何枚か描こうかしら。

そうね、そう言う事なら、この間の猫手の御札が良いかも♪


持ってきた巾着袋を開けて、白紙の御札と羽ペン、インクを取り出す。

最近は、念の為持ち歩く様にしていますの。


「あら?このインク……凍り付いていますわ……」

諏訪さんはマイナス四十度と仰っていたわ。

私自身はマナちゃんのお陰で寒くは無いのだけれど……困ったわ。


「何か使えそうな物は無いかしら」

巾着袋の中を漁ると……猫手の御札が二枚。

そう言えばこの前、ウェンディゴと戦う前に猫手の御札を十枚用意して、使ったのは八枚。

これは、その余りの御札ね。


でも、二枚では心もとない。

どうも、このデパートに巣食う何者かは、数で押してくるタイプみたいだもの。

手数が欲しいわ……。


ん?

「そう言えば此処(ここ)、文房具売り場の様ですわね」

もしかすると、何か使えそうな物は無いかしら?


でも、この売り場の棚……ただ霜が降りてるだけでは無い。

「凍り付いてる」


雪だるま達に氷漬けにされたのだわ。

でも、何で?


「あら?これは、拳銃……」

売り場の床に氷漬けに成って、床に張り付いている。

勿論、取れそうに無いし、勿論、取れたとして、撃つ気はさらさら有りませんわ。


でも……ここに銃が有ると云う事は、此処(ここ)で戦闘に成ったのだわ。

そして、雪だるまに氷漬けに……だとすれば、持ち主の方は?


辺りを見回しても、誰も居ない。

お逃げに成られたのかしら。

「ともかく、御無事で有って欲しいですわ」


残念ながら、その戦闘で棚の文房具も氷漬けに成ってしまったのね。

取り出せそうなものは(ほとん)ど……あら?


恐らくその戦闘の余波かしら。

棚の商品が、幾つか床に散らばっている。


消しゴム、定規、ハサミ。

「ハサミ、これは使えそうですわ♪」

少し、床に張り付いていたけれど、どうにか剥がす事が出来た。


「他に、何か無いかしら……ん?これは……クレヨン、しかも白ですわ……」

ですけれど、このクレヨンで、御札を描けないかしら?


「今の状況ですもの、試してみて損は無いわ。やってみましょ」


白紙の御札に、クレヨンで魔法陣をカキカキ……あら、上手く描けませんわね。

クレヨンも、凍り付いてるのかしら、紙の上を滑って上手く描け無い。


ハァー、ハァー。

クレヨンを両手で包む様にして息を吹きかけ、温める。


「もう一度よ」

再び白紙の御札に魔法陣をカキカキ。

今度は、何とか(えが)けてる様だけれど、白紙に白のクレヨンだと、上手く(えが)けているか良く判りませんわ……。


それでも、どうにか御札が一枚完成よ。

一応、ウィルオウィスプの魔法陣を(えが)いた積りなのだけれど……。

「白紙にしか見えませんわね」


ウィルオウィスプの魔法陣を(えが)いたのは、一番お手軽な魔法陣と言う事も有るのだけれど、上手く使えば雪だるま達に対する武器に成るかも、と考えたから。

屋内で、火を使って攻撃するなんて、普段は絶対にしませんけれど、これだけ氷に囲まれた状況なら、まず火事の心配は無用よ。


刀印を結んで、御札に魔力を注ぐ。

御札が白く輝き、そして……。


ボッ!


火が付きましたわ……一瞬だけ……。

御札は灰に成って崩れ去る。


「はぁ~、失敗ですわ」

やはり白紙に白のクレヨンだと、上手く魔法陣が発動し無いわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=563347762&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ