魔法使いの血
梨咲ちゃんの視線の先に居るのは、何故かリンゴを褒められて小躍りしているマナちゃん。
やっぱり、梨咲ちゃんには見えるみたいね。
梨咲ちゃんのお母様の御出身は日本では有りませんの。
ドイツの方で、その遺伝かしら。
梨咲ちゃんは、色白で、綺麗な栗色のウェーブの掛かった髪をしてるわ。
そして、遺伝したのはその容姿だけでは無いわ。
お母様の家系は代々魔法使いの家系でいらっしゃるという話。
お母様ご本人は、魔法使いでは無いのだけれど、その才はお有りとの事。
梨咲ちゃんもその才能を受け継いでいるみたいね。
実際、事件で倒れる以前の梨咲ちゃんからは、強い魔力を感じ取れることが出来たもの。
それに、時折不思議な物を見てしまうと、よく相談も受けていたわ。
黒川さんが、儀式の贄として梨咲ちゃんを選んだもの、恐らくはその生まれ持っての魔力を利用しようと考えたのね。
もし、あの祭壇に乗せられていたのが梨咲ちゃんでは無く、普通の人だったとしたら、多分その方はもうこの世にはいませんわ。
でもティル・ナ・ノーグのリンゴを食べて、魔力も生命力も以前の通り回復した梨咲ちゃんには、マナちゃんの小躍りしている姿が見えているよう。
「ふふ♪この子が見える程に回復したのなら、もう安心ですわ♪」
「やっぱり、その子、こまっちゃんのお友達なのね?」
「梨咲さま、小町さま、何のお話しですの?」
忍ちゃんにはマナちゃんのが見え無い見たい。
「ふふふ♪御紹介しますわ。ですけれど、その前に……」
マナちゃんを抱き上げ、膝の上に座らせる。
「マナちゃん。忍ちゃんにも姿を見せて上げて♪」
そう、古いアイルランド語で囁く。
「まあ!」
と、忍ちゃんが驚く。
「御紹介しますわ。この子はマナちゃんと申しますの。太陽の精霊ですのよ♪」
「太陽の精霊?小町さま、神様で無くて精霊ですの?」
「ふふ♪私も詳しい事は分からないのですけれど、そういう風に伺っていますわ」
「でも何で、その太陽の精霊がこまっちゃんと御一緒に?もしかして、こまっちゃんが召喚したの?」
マナちゃんが家に来るまでの経緯を話すと成ると、長い話に成るわ。
それに、小野小町が平和の世界でトゥーアサ・ジェー・ザナンを買って、大正の世界に持ってきたなんて、とてもじゃないけれど、その様なお話しは出来ないもの。
お二人には申し訳ないけれど、お茶を濁しておきましょ。
「うーん、そうですわね……ここの所、色々御座いましたのよ。詳しくはお話し出来無いけれど、この子と出会えたのは梨咲ちゃん、忍ちゃんのお二人のお陰でもあるわね」
梨咲ちゃんの事件を解決して、その後の経緯が有ってトゥーアサ・ジェー・ザナンと私の因果が繋がったと考えれば、そう言うことに成るわ。
「ともかく、この子は、今日から蘆屋家の守り神……と言うより、座敷童の様なものかしら、に成りましたの」
「羨ましい~。その子メチャクチャ可愛い♪」
「ほんと、癒されるお顔ですわね♪」
「先ほどのリンゴはマナちゃんに分けて頂いた者なの。どうかしら梨咲ちゃん、お体の調子は?」
「お体の調子……?あっ!さっき迄、あんなに気怠くて、声を出すのも苦しい程だったのに、嘘みたい」
「お顔の色もとっても宜しいわ。梨咲さま」
「でも、どうして……さっき戴いたリンゴ……そう言う事ね、こまっちゃん」
「あのリンゴは、ちょっと特殊なリンゴですの。お味がとっても美味しいだけでは有りませんわ。生命力と魔力を回復させる。そう言う効能が御座いますの。でも、効果が有って、本当に良かった」
年末年始に掛けて、大正でも現代でもいろいろ大変な思いもしましたけれど、梨咲ちゃんが回復した事で、その苦労も報われましたわ♪
修正履歴
2020/7/27 誤字脱字修正。本文の内容は追加変更無し。




