↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第二章 レイラ、ちょっと金持ちになる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/384

18、試作品完成

 愛してるなんて……。


 子供を捨てる母親に言う資格なんてない。


 暴力を振るう父親の元に置き去りにして、なにが愛してるだ。


 どうにも出来なかった?

 他に道がなかった?

 道なんて作ればいくらでも出来るのよ。

 自分で作ろうとしなかっただけじゃない。

 弱いから逃げても許されると思ってるの?


 そうね。

 逃げてもいいわ。

 今まで逃げなかった方がどうかしてる。




 でも、どうして……。




 子供を連れていかないの?


 無力な自分といれば不幸にしてしまうから?

 子供のため?


 それなら子供が幸せになれる場所を用意してから去りなさいよ。

 自分がえられないような場所に子供を置いていくなら、それは見殺しにしたと同じなのよ。我が子を地獄に残して自分だけ逃げたのよ。


 どれほど不幸な境遇だったからといって許されると思わないで。

 自分も被害者だったなんて、その罪が免除されるなんて思わないで。



 私はいいわ。こんなクズ親たちに最初から愛着なんてない。


 でもネロは……。


 ネロはあんた達みたいなろくでなしを、本気で愛してたのよ。

 何度傷付けられても、何度裏切られても、まっすぐ愛してたのよ。


「お姉ちゃん、どうかしたの?」

 母親にもらったショールを抱き締めて、粗末な藁の中で眠りにつくネロを、私は力一杯抱き締めた。


「なんでもないわ。あなたは何も心配しなくていい。何があっても私が守るから」

「なあに? 急にどうしたの?」


「明日はネロにも色を塗るのを手伝ってもらうわよ」

「え? ホントに? 僕も塗ってもいいの?」


「ええ。だから早く寝て早起きするのよ」

「分かった。ホントはもうとっても眠いんだ」


「いい子ね。安心して眠りなさい」


 すやすやと寝息を立て始めたネロを抱き締めながら、私は結局朝まで眠れなかった。



 アンナが出て行って三日が過ぎた。


 ヨハンは鬼のように怒って荒れるのかと思ったら、飲んだくれてメソメソ泣くようになった。

 殺すとまで言ってたくせに、いなくなったら淋しくなったらしい。

 そんなに大事なんだったら、なぜあんな酷いことをしたのよ。


 愛してたから浮気を許せなかった?

 そんなこと言わせないわ。

 あんた達が愛を語るな。


 ネロはアンナが帰らないことに気付いているはずだが、何も聞かなかった。

 知るのが怖いのか、母親の話題を避けている。


 そしてブリキに黙々と色を塗っている。

 はけのような筆を使って下地を塗ってもらった。


 すでに三つ目の試作品だった。

 ネロは意外にも手際が良くて仕事が早い。

 思わぬ才能だった。


 私はまだ最初の試作品に絵を描いていた。

 どういう絵がこの時代にうけるのかは分からない。

 分からないなら自分が一番得意で描きたいものを描くしかない。


 結果、やっぱりおとぎ話の世界を描いていた。


 最初の試作品はシンデレラ城。


 とんがり屋根の塔と長い階段。

 アーチ型の窓と広いバルコニー。


 くじけそうな気持ちを振り払うように夢中で描いた。

 描いている間だけは悲しみも不安も忘れてられるから。


 そしてようやく一個目の試作品が出来上がった。


 

「スラン! 試作品が出来たの。どうかしら?」


 私はネロと一緒にさっそくスランに見せにいった。


「……」


 スランはしばらく眺めまわしてから「すげえ……」と一言つぶやいた。


 ネロの塗ったスカイブルーの下地に真っ白な城が映える。

 葉っぱと小花の飾り枠で華やかに演出して。


 前世では教授に手垢まみれと言われながらも、ただただ好きでひたすら描いていた絵だ。


「あの地味なブリキの缶が、高級な芸術作品みたいだ。すげえ。すげえよ、レイラ!」


「ホント? これならアルフォード様も認めて下さるかしら?」


「おおよ! 絶対目に留めて下さるはずだ。間違いない!」


 嬉しい。

 前世では誰も見向きもしてくれなかったのに。


「良かったね。お姉ちゃん」


 いつもは目をキラキラさせて一番に大絶賛するはずのネロは、静かに微笑んでいた。

 たった三日で、何かを達観したように静かな子供になっていた。

 ネロが急に大人になったようで……。


 私は少し淋しかった。



次話タイトルは「ケンの反応は……」です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 公爵令嬢・・・才能を買われて養子になるんだなぁ。 さて、転生時に持ち込んだ絵の具を消費して稼いでいるが、化粧品と絵の具が尽きたら・・・それまでに如何にして成り上がるのだろうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。