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ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第四章 レイラ、ユニコーンの乙女会を捜査する

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7、乙女会の実体

 真ん中のクリスティナ様の円卓には後ろに付き従ってきたモードドレスの女性たちが座った。

 クリスティナ様の真向かいにはサンドラが座っている。


 他のご婦人方が大きなカツラをつけた年輩の女性ばかりの中で、サンドラだけが子供のようだ。よほど身分が高いか、お気に入りらしい。


 そしてクリスティナ様の左隣だけがなぜか空席になっていた。


 やがてお茶がすべてのテーブルに行き渡り、お茶菓子のプレートが運ばれてくると、執事の男性が紙を手に持って名前を読み上げ始めた。


「モロー男爵夫人フランソワ様。どうぞこちらへ」


 名前を呼ばれた婦人が上気した顔で立ち上がった。


 そしてそそくさと中央のテーブルに進み、クリスティナ様の前でゆっくりと膝を折った。


「フランソワでございます。お側にお呼び下さり恐悦至極でございます」


 フランソワの挨拶に、クリスティナ夫人は大きな頭で優雅にうなずいた。


「あなたのお心尽くしはわたくしの胸に響きましてよ」


 透き通った声がサロンに響く。


「は、はいっ! ありがとうございます!」


 フランソワはクリスティナ様に直接お声を頂いて感激したようだ。


「フランソワ夫人は異国の黒真珠の首飾りを手みやげにご持参くださいました」


 執事が読み上げ、真珠貝の形の入れ物に入った黒真珠を全員に捧げ見せた。


 ほうっというどよめきがサロンに響き渡る。


「まあ! 黒い真珠ですって」

「なんて妖艶な輝きかしら」


 羨ましそうな婦人たちの声が聞こえてくる。


 これがソフィーの言ってた貢ぎ物大会?

 なんて分かりやすい物欲主義の会なのかしら。


「今日一番クリスティナさまのお心を惹きつけた贈り物でございます。本日のクリスティナ様のお隣の席を射止めたのはフランソワ様でございます」


 執事が宣言すると、「わー」という歓声と共に拍手が巻き起こった。


「こちらにお座りなさい」

「は、はいっ! ありがとうございます!」


 なにこの怪しい宗教みたいな会合は。

 怖すぎるんだけど。


「フランソワ様は、なんとお側付きのみなさまにも黒真珠を一粒ずつご用意くださいました」


 執事が言うと、中央の円卓のモード婦人たちが「わっ!」と歓声を上げた。


「まあ、私達にまで?」

「いいのかしら?」

「なんてお心遣いの優れた方なのかしら」

「主人にモロー男爵のことはしっかり伝えておきますよ」


「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」


 な、なんと。

 公然賄賂(わいろ)


 黒すぎる。

 もう帰っちゃダメ?


 匍匐ほふく前進ぜんしんで床を這っていけばバレずに出れる?


 逃走方法をめまぐるしく考えているあいだにも、執事が別の婦人の名前を読み上げる。


「ベルナール子爵夫人、マリー様。どうぞ前へ。クリスティナ様よりお言葉がございます」


 また上気した顔の婦人が立ち上がりクリスティナ様の前に進み出た。


「マリー様は東洋の珍しい壺を贈られました」


 執事が言って黒染めの唐草文様の壺を掲げた。

 またしてもほうっという歓声があがる。


 ち、ちょっと待って。

 これ、ずっと続くの?


 お茶とお菓子を頂きながら、贈り物の品評会?

 なんっっってつまんない会なのよ。


 ソフィーの言う通りだったわ。


 そして私の手みやげは何だっけ。

 いや、覚えてるわよ。


 クッキーよね。


 私はそんな泥棒柄の壺なんかより全然嬉しいけど。


 もう嫌な予感しかしないじゃない。


 冷や汗を垂らしながら逃走ルートを探していたが、十人ほども呼ばれたところで贈り物の紹介は終わった。


 な、なんだ、よかった。


 当たり前よね。全員の贈り物を紹介してたら何時間かかるのよ。


「あー、残念。わたくし今回の贈り物は奮発しましたのに」

「異国の芸術品を出されるとかないませんわよね」

「クリスティナ様は一点ものの芸術品がお好きですから」


 みんなお側に呼ばれるために必死なんだ。

 私は全然呼ばれたくないけどね。


 でもまあ良かった。


 あとは静かにお茶菓子を食べて目立たないように帰るわ。

 目の前のプレートには手のこんだ二層のケーキと、ゼリー寄せとフルーツがのっている。


 フルーツにはりんごも混じっていた。

 丸ごとりんごなんて、やっぱり過去の伝説なんだろう。

 今はそんな嫌がらせはしてないようだ。


「うん。おいしい。さすがユニコーンの乙女会だわ。ケーキも絶品」


 この異世界で食べた中でも格別においしい。

 リキュールが濃厚に香る洋酒ケーキだ。

 せっかくだから完食して帰ろう。


 のん気にケーキを頬張っていたが、しばらくテーブルごとに談笑したあとで再び執事が紙を持って立ち上がった。


「それでは本日一番クリスティナ様のご不興をかった手みやげをご紹介致します」


 ギックーン!


 いや、なにその制度。

 そんなもんご紹介しなくていいわよ。


 まさかね。

 私じゃないよね。


 そりゃあ黒真珠とか東洋の壺にはかなわないけど。

 ステラおばさまのクッキーは最高においしいわ。

 形はちょっといびつで不ぞろいだけど。


 私よりももっととんでもないものを贈ってる令嬢もいるわよね。

 そうよ。大丈夫よ。



「スチュアート公爵令嬢、レイラ様、前へ」



 ぎゃああああ!!


 やっぱり私じゃない!



次話タイトルは「敵前逃亡?」です

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