第21話:【復興】
ジンが神話の剣、白の剣の所持者だということが判明した翌日。
ジンはこの国の英雄、そして次期オージン帝国皇帝として特別な扱いを受けていた。
城内では第一王子以上の扱いを受けた。
第一王子は次期オージン帝国皇帝より良い生活はできないと言って王室を譲った。
白の剣の所持者だということは生き残った国民にも知れ渡っていた。
城下町では最強神が甦ったと言った声や新時代がやってくるなどと言った歓喜の声が溢れかえっている。
―それから6日後―
国の復興が進み、焼け跡だらけだった第五区、第六区も今は整理されている。
国民みんなで協力し、何とか人が歩けることができる状態まで進んだ。
あれから敵の襲撃は一度もない。
アグルス国はたくさんの兵士を失ったが、オリフスフタンやウオジュオーも多くの兵士を失った。
アグルスを襲撃した3国は一度で国を制圧する予定だったのだろう。
しかし、ジンが多くの敵を倒したことでそれは叶わなかった。
敵はこれほどまで戦力を失うと考えていなかったのだろうと思う。
その後の3国の関係はわからない。知りたくもない。
今日もジンは城で特別なもてなしをされていた。
そんな時、ジンの元に1通の手紙が届いた。
〝次期オージン帝国皇帝陛下様
私たち、オージン帝国民は貴方様が現れることを心よりお待ちしておりました。
迅速に貴方様の元へ参ります。
今しばらくお待ちいただくようお願い申し上げます。
オージン帝国皇帝ネヴァエー・ツラウドット・レシア・ノヴ・オージン〟
手紙を読んだジンは溜め息をこぼしていた。
何日経っても自分が皇帝になるなんて考えられなかった。
不安に押しつぶされそうになり手紙を机の上に置いた時だった。コンコンコンと王室の戸を優しくノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
「ヒカリ」
王室にやって来たのはヒカリだった。ヒカリはジンのそばまで歩み寄り声をかけてきた。
「町もようやく落ち着いてきましたね」
「そうだね」
ヒカリは窓を見ながらそう言った。ヒカリの声を聞いただけで少し不安が薄れた。
「心配しなくても大丈夫です。私がそばについていますから」
「うん。ありがとう。ヒカリの声を聞いて少し落ち着いたよ」
ジンがそう言うとヒカリは微笑んだ。ジンはいつもヒカリに救われている。ジンにとってヒカリの存在はとてつもなく大きい。
「私はジンとなら何処へだって行きます。そう決めていますから」
「ヒカリ・・・好きだ」
「え?」
ジンの口から心の声が漏れ出てしまった。唐突すぎてヒカリは頭が回らないようだった。
必死に誤魔化そうとするジンだったが、大声を出すことしかできなかった。
「え?・・・あ!いや!何でもない!忘れて!」
「は、はい!」
ヒカリは顔を赤くして心ここにあらずといった様子だった。
手紙が届いてから2日が経過した。
「第一王子!ご報告です。オージン帝国皇帝ネヴァエー・ツラウドット・レシア・ノヴ・オージン陛下の使者が我が国に到着致しました!現在、アグルス城へ向かっております。すぐにアグルス城に到着されると思いますのでご準備をお願いいたします」
「わかった。報告ありがとう」
「は!」
オージン帝国から皇帝の使者が到着したとのことだ。
ジンは第一王子と共に城の外で待っていると、豪華な馬車が到着した。
馬車から降りてきたのは1人の少女だった。
「お会いできて光栄です。私はジェンナ・レバハス・デドロスバと申します。陛下の命により、貴殿の護衛役を仰せつかりました。大変申し訳ございませんが、陛下がご到着されるまで今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。ジン・シネエベル・レシア・ノヴ・オージン新皇帝陛下」
彼女はそう言い終えると敬礼をした。
青紫のロングヘアに黄緑色の瞳を持つ少女。
紫色の髪に黄色の瞳を持つヒナタとハナに少し雰囲気が似ているような気がした。
彼女はワンピースのような黒い軍服を着ていた。
背筋はしっかり伸びていて身長はジンと同じくらいだ。
「はじめまして。内藤陣と申します」
ジンも自分の名を名乗ると右手を出して、握手しようとした。
すると彼女はジンのそばまでゆっくり歩いて近づくと左膝を地につけ、右膝を曲げて右手を伸ばした。
「幸甚に存じます」
握手をすると彼女はとても嬉しそうだった。
それから数時間後、アグルス国にオージン帝国の皇帝が到着するのだった。
この度は、「死恐怖症〈タナトフォビア〉の皇帝と神話の剣」をお読みいただき誠にありがとうございます。
これにて第二章終了です。
皆様のお力添えをいただき、ここまでたどり着くことができました。
ここまでお読みくださった方、拙い文章力にも拘わらずお話にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
次回から第三章へ入るのですがこれまで通り大安・縁起のいい日に投稿することができないかもしれません。
予めご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
それでも歩みを止めずに一歩でも先へ進めるように努力しますので、今後ともよろしくお願い致します。




