2015年11月
落ち葉踏む秋雨熄まぬ匂いして
今年は何かと雨の多い秋のようです。それにしても急に冷え込み、紅葉が綺麗だとか。樫の多い街道の歩道は落ち葉がいっぱいで、商店も個人宅もないあたりは掃く人もおらず、降り積もっています。雨のために湿って落ち葉のほの甘い匂いが漂います。
薄日切る鳥影寒き峠道
峠道というのは面白いもので、山頂を通ってはいても、山頂そのものに到達するわけではない。だから、まだ横手に頂があったりするものです。平野より高いですから山鳥も多く、鳴き交わす声や飛び立つ姿が見えたりもしますが、さすがに初冬となると、鳥の影さえ寒そうです。
きみが富黄金白銀垣の菊
小学校の頃、副読本で、支那の古い物語としてあったと思いますが、親のない姉弟が、白い菊と黄色い菊を植えた話を読みました。詳細は既にさだかではありませんが、白や黄色の菊が町中に咲いて、それが宵闇のなか、ぽうっと明るく見えているというシーンがとても美しく感じたのでした。以来、菊の花には思い入れがあります。菊は美しいうえ、香りも良い素晴らしい花です。好きなのは小菊ですが、子供の頃祖父が作っていた、大輪の菊も、思い出されます。