第98話 あれもこれも。
朝になって、作業部屋に来たのはいいけど、重さを測ることに関して、いい感じに魔導具化するアイディアが浮かばない。……それとも俺がこだわり過ぎてるだけか?
……とりあえず、重さを測ることについて一旦考えるのをやめようかな。それより他の部品を作っていく方がいい。
よし。切り替えよう!
で、何から作ろうか……。
あっ!青銀鋼の存在忘れてた!
夕方に確認するつもりだったのに……。まぁいいか。今から見に行けば。
「……変化はなさそうだな」
半日以上、洗剤入りの水に浸けていても、青銀鋼に変化はない。これなら青銀鋼を洗濯槽に使用しても大丈夫だろう。
とりあえず作業部屋へ戻って、部品作りを始めるか。
まずは……回転軸と、その土台が必要だな。土台は魔導金属でいいとして、回転軸だよなぁ。洗濯槽の大きさを考えると、回転軸もかなり太くしないといけない。そうなると魔導金属より強度がある方がいいだろう……。なら、硬魔鋼か。
棚を見ると――
……硬魔鋼がない。
あっ、フィリップ兄さんの部屋か……。
取りに部屋から出ると、使用人たちが忙しそうにしていた。
「何かあったの?」
「あっ、フィン様。ブルーノ様たちが予定より早く戻られると連絡がありまして」
だから、早めに部屋の準備とかしてたのか。
「そうなんだ」
「避暑先の天候が悪くなったそうで。帰るのにも時間がかかるかもしれないからと、予定を切り上げて早めに出発されたそうです」
「あぁ……あの辺、雨が酷いと増水して、橋が流される恐れがあるからね……。橋を建て替えるって話があったけど、まだなら尚更、早めに帰ってくるのがいいのか」
俺は使用人たちの邪魔にならないよう、その場を離れ、フィリップ兄さんの部屋へ硬魔鋼を取りに向かった。
……どこに置いたっけ? あっ、これも持って行っとこうかな……これも必要か――
……重い。
何だかんだ、必要な物もフィリップ兄さんの部屋に運んでたみたいだ。
どうにか抱えながら作業部屋に戻った。
まずは軸から……。
洗濯槽がかなり大きいから、軸もそれなりの太さが必要だ。細すぎると回転させた時に負荷がかかりそうだし……。
……これくらいかな。
硬魔鋼に魔力を纏わせ、太めの円柱状に形成していく。……よし。
軸ができたら、次は土台か。
旋髭と鼻整でも、回転する部分には土台を使っていたし、今回も魔導金属で作ればいいだろう。
ただ、今回は大きさが全然違う。
魔導金属、結構使いそうだけど、足りるだろうか……。
……ギリギリ足りた。
次の買い物リストに魔導金属って書いておこう。
とりあえず軸と土台ができたけど、これをどう回すかだよな。旋髭と鼻整同様、風属性と無属性を組み込むだけで回るのか……?
旋髭や鼻整なら、それで十分だったけど……今回は洗濯槽そのものを回す。
同じ仕組みで回せるんだろうか?
……とりあえず、このままだと魔核をかなり使いそうなことだけは分かる。
……そもそも、洗濯槽をずっと同じ方向に回す必要もないよな。
右に回して、止めて、左に回す。
その方が洗濯物も動きそうだし、前世の洗濯機もそのイメージがある。
なら、回転方向を切り替える仕組みを作ればいいのか。……そうなると、風属性で回転させて、無属性で切り替えるのが簡単か。ただ、それで回るか問題が解決しない。……こればかりは試してみるしかないか。
あと必要なのは扉だな。それと扉を留めるための部品……大きな洗濯槽だから、しっかり固定できるようにしないと。
扉本体は硬質樹脂でいいとして、固定する部分は……魔導金属……これは足りないだろうな。……買いに行くか、別のもので作るか……。とりあえず別の物にしよう。
先に扉を形成していく。……あっ。中が見えるようにした方がいいのかな?前世で使ってた洗濯機は、扉の真ん中が透明で、中が見えるやつを使ってたんだよなぁ。見えてる安心感というか……。
ガラスは……割れたら危ないよな。じゃあ透明な樹脂?……そうだ、透晶樹脂ならどうだろう。
割れにくいし、洗濯槽の中が見えるくらいの透明度はあるはずだ。
だとしたら、扉の真ん中に穴を開けて……よし。ここに透晶樹脂を付けて……。うん。いい感じだな。
で、扉を固定する部品だけど……蒼鋼ならどうだろう。強度も十分あるし、水にも強い。ただ、ちょっと高い。まぁ、いいか。その辺は魔導金属でも代用可と、仕様書に書いてアレク叔父さんに伝えれば。
第98話を読んでいただき、ありがとうございます!
洗濯機の魔導具化、少しずつ進んでます。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




