第92話 兄弟の時間。
リバーシとカードを作るために、作業部屋へ戻ってきた。
魔導具じゃないから、さっさと作っていく。
……。
やっぱりコピー機とか欲しくなるな。
……いや、ハンコを作れば……。今はめんどくさいな。
……。
……よし。カードは出来た。
あとはリバーシだな。
……。
これ、光らせたりするのはどうだろう。男性陣の社交……それより子供に受けそうだな。
ひっくり返す度に光る……起動停止を使えば出来そうだな。……でもそうなると全体の魔導回路が光りそうだな。
五つくらいひっくり返せたら、その部分の魔導回路だけ線になって光る……。
……そんなことしてたら、魔核がいくつも必要になるな。
無駄に贅沢すぎるリバーシが出来そうだ。
……。
出来た。普通の光らないリバーシ。
そろそろ夕食の時間か。
作るのに地味に時間が掛かったな。
食堂へ行くと、すでにエミール兄さんとフィリップ兄さんが座っていた。
「フィリップ兄さん、ちゃんと寝たんだね。顔色が戻ってる」
「あぁ。さすがに限界だったみたいだ。ベッドに横になったらすぐに寝ていたよ」
「魔導師団でどんな生活をしているんだか……」
エミール兄さんが呆れたように言う。
「普通だよ。私より兄上の方が――」
俺からすればエミール兄さんもフィリップ兄さんも同じ気がする。
食事を終え、応接室に移動した。
「これが言っていたゲームか」
「どっちのゲームからする?覚えやすいのは、こっちのリバーシかなって思うけど」
「じゃあ、それからやろう」
「分かった。じゃあ、二人がやるのを俺が教える」
――
「あ、そこに置けるよ。そう、斜めにもひっくり返せる」
「なるほど。あ!そこは!」
「兄上、次の手も読んで置かないと……よし。大量にひっくり返せた」
「……!じゃあ、次はここだな!」
「……角を取られた。狙っていたのに!」
「フィリップ、最後まで油断は禁物だ」
最後の一マスにエミール兄さんが置いて、ひっくり返した。
「よし。俺の勝ちだな」
「……まさか兄上に僅差で負けるとは」
うん、分かる。エミール兄さんって脳筋だから、こういったゲーム、負けそうなイメージだった。
「もう一度やろう、兄上」
「あぁ。次も私が勝つけどな」
……。
盤を元に戻して、二人が向かい合い、フィリップ兄さんが先手を取った。
「そこに置くのか……」
「うん。そうすると……こっちも取れる」
「なるほど」
エミール兄さんは少し考えてから、別の場所に駒を置いた。
「あ、そこは――」
「どうした?」
「いや……なんでもない」
……言わない方がいいな。
俺が教えすぎると、楽しくなくなるだろう。
二人は黙々と盤面を見ながら駒を置いていく。
「……ここだな」
「そこか」
「あぁ」
「……なるほど」
さっきまでとは違って、二人ともかなり真剣だ。
……思ったより気に入ってくれたみたいだな。
しばらくして、フィリップ兄さんが最後の駒を置いた。
「よし。私の勝ちだ」
「……くっ」
エミール兄さんが盤面を見つめる。
「次は勝つ」
「兄上、さっきも同じことを言っていたよ」
「今度は本当だ」
「……」
二人とも、もう一戦やる気満々だ。
……これはしばらく終わらなさそうだな。
「俺、もう作業部屋に戻っていい?」
「フィン、まだ始めたばかりだろう」
「それに、もう一つのゲームもまだやっていないよ」
「そうだぞ」
……二人とも明日から仕事のはずだけど。
「じゃあ、次はこっち。これは神経衰弱っていうゲーム」
カードを裏向きに並べていく。
「同じ数字のカードを二枚見つけたら、自分のものになる。違ったら元に戻して、次の人の番」
「なるほど。記憶力が必要なんだな」
「そうそう」
「では、私から」
フィリップ兄さんが二枚のカードをめくる。
「……違うな」
「場所は覚えておいてね」
「分かっている」
カードを戻して、エミール兄さんの番になる。
「こっちと……こっちだな」
「あ、それ――」
二枚とも同じ数字だった。
「よし!」
「兄上、覚えていたのか」
「もちろんだ」
……脳筋だと思ってたけど、意外と記憶力はあるんだな。
「次は私の番だな」
フィリップ兄さんも、さっきエミール兄さんがめくった場所を思い出しながらカードを選ぶ。
「……ここだ」
「おぉ、正解」
「よし」
二人とも、結構楽しんでるな。
これなら男性陣の社交でも、普通に遊ばれそうだ。
……そろそろ部屋に戻りたい。
第92話を読んでいただき、ありがとうございます!
今回はフィンと兄たちのゲーム回でした。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




