第86話 連想ゲーム。
……こんなもんかな。
小さめのスイッチを作り、持ち手部分に取り付けた。
次は土台に魔導回路を描き、風属性を組み込んでいく。魔力を流しながら微調整。……もしかして、もう少し弱めた方が良かったりするんだろうか。
今はとりあえず、髭剃り型魔導具と同じくらいの回転の速さが出るくらいに調整したけど……。
髭より鼻毛の方が柔らかいし、鼻の中は粘膜だと考えれば……。やっぱり回転率を少し下げた方が安全か。
……やり直した方が良さそうだな。
術式修正ペンで修正し、出力を少し抑えて、風属性を組み込み直す。
魔力を流し、確認する。
うん。さっきよりいい感じだ。
次は保護板だな。
髭剃り型魔導具同様に、安全性を高めるために水属性を組み込んで、クッションのような役割にする。……小さい上に細かな隙間があるから、これもギリギリだな。
……よし。
後はスイッチ部分に、起動停止するための無属性を組み込めば……出来た。
あとは組み立てれば……。
おぉ!なんか懐かしい形になったな。
起動……うん。問題なさそうだ。
とりあえず試してみるか。
……え。
これでもちょっと大きかったか……。入るけど……。
……鼻毛はちゃんと整えられるな。保護板のおかげで、痛いとかもない。
まぁ、とりあえず完成だな。
あ。
洗浄機能忘れてた……。
とりあえず外して、土台に組み込むか……。
髭剃り型魔導具と同様に、水属性と風属性を接触しないように丁寧に組み込んでいく。
……そういえば、もう一つスイッチを作って、使用後に洗浄機能を作動させるようにしてたな。鼻毛カッター型魔導具も同じ感じでいいか。
……。
……よし。出来た。
組み立て直して、起動と停止の確認。それから、洗浄機能の確認をして……終わったー!
疲れた!
細かいの作りたくないって思ってたのに、作ってしまったー!
もう、本当に、当分、作らない!
……とりあえず甘いものが食べたいな。
「ノア、いる?」
作業部屋の扉を開けて、声をかけた。
「はい。ここに」
「なにか甘いもの持ってきて欲しいんだけど」
「かしこまりました」
しばらくすると、お茶と共に俺が好きな焼菓子を持ってきてくれた。
「ありがとう」
……うまい。
「あ、俺が好きな茶葉って、まだあったっけ? 作業部屋に置いてるやつは、あと二、三杯分しかないんだよね」
「残り少なくなっていました。十杯分くらいなので、そろそろ購入予定に入っていますね」
「じゃあ、ついでに作業部屋のもお願い」
「承知しました」
……あ。
「新しい魔導具作ったんだけど、ノアも試してみてくれない? 俺が使った感じ、いい感じではあったんだけど、サイズ感が気になって……はい。これ」
「これはどのような魔導具ですか?」
「鼻毛を整える魔導具。 鼻に突っ込んで、スイッチを押してみて。保護板があるから痛みもなく綺麗になるよ」
「……鼻毛……ですか? なるほど……? では……」
……そんな恐る恐る鼻に入れなくてもいいのに。
「あ、鼻の粘膜に軽く触れさせる感じで……そう!ゆっくり動かす」
「……確かに痛みは全くありませんね。最初は不安でしたが、こんなに手軽に整えられるとは……とても素敵な魔導具だと思います」
「終わったら、もう一つのスイッチを押してみて。洗浄機能もつけたから、手入れも楽でしょ?」
「……おぉ。これはいいですね。朝は何かと忙しいので、さっと整えられて、お手入れも簡単なのは嬉しいです」
「保護板を外して……自分で洗ったりも出来る」
「……中はこのようになっていたのですね。 今回はどのような連想ゲームで鼻毛を整える魔導具を、思いつかれたのですか?」
「なんだっけ? 確か最初は……アレク叔父さんの髭だったような」
「髭……ですか?鼻毛ではなく?」
「あ、そっか。ノアにまだ見せてなかったな。……これ、髭剃り型魔導具。アレク叔父さんが髭を整える時に、少し傷になってたんだよ。あとは、夜会で見かけた男性陣の顎にも切り傷があってね。だったら、安全に髭剃り出来たらいいよなぁって思って作ったんだ」
「……なるほど? そこから鼻毛に連想を?」
「うん。同じような構造で作れた。ただ、どっちも細かすぎて……もう当分作りたくない」
「中を見ましたが、確かに全てが細かい部品でしたね」
「あ、ついでに髭剃り型魔導具も試してみる?俺たちは使い心地いいなって思ったんだけど」
「……俺『たち』……ですか?」
「あぁ。俺とガレス、ウィルとマティアスも試した」
「……なんということを! フィン様、ウィルフリード殿下はこの国の第二王子です! そのような、試す行為を王子である殿下にされてはいけません!」
……。
第86話を読んでいただき、ありがとうございます!
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




