第73話 細かい作業。
「あ、二人も起きてきたんだ?」
昼食のため食堂へ行くと、ガレスとマティアス、ウィルが席に着いていた。
「あぁ。 俺はさっき起きたところだ」
「私も、ゆっくり寝させてもらった。 せっかくの朝食を少ししか食べられなかったのが悔しいが」
……やっぱり食事目当てだった。
食事が運ばれ、使用人は下がった。
「お、美味そう!」
昼食のメニューは天ざるうどんだ。 ローゼン家では、二日酔いの定番メニューと化している。
……まぁ、父さんが二日酔いでも、昼食は食べたい人だからこのメニューが定着したんだけど。 普通の人だったら重めのメニューかもな。
……いや、この三人は食事目当てで来ているから、余裕で食べそうだな。
「ローゼン家の天ぷらって、なんでこんなに軽いんだろうね。 王城で作って貰ったことあるんだけど、天ぷらと言うより海老フライみたいになったことがあったんだ。まぁ、海老フライも好きだけど」
子供の頃に海老フライをローゼン家で出した時、ウィルが目をキラキラさせて喜んでいた。
……あの時は、すごく王子様っぽく見えたな。
まぁ、本物の王子様なんだけど。
「分かる。我が家でも再現してもらった事があるが、料理長曰く天ぷらは簡単そうに見えて難しいらしい」
クローデン侯爵家でも、天ぷらを作っていたのか。
まぁ、天ぷら美味いもんなぁ。
……椎茸ってこの世界にないのかな。
椎茸の天ぷらが食べたい。
この世界が中世ヨーロッパみたいな感じだから、きのこ類は難しいとかあるんだろうか。
でも、前世の記憶持ちに食事関係に特化した人がいたから、もしかしたら……――
「これからレイグレン家でも、二日酔いには冷たいうどんを出してもらおうかな」
「うどんはアレンジも色々できるから、ローゼン家では昼食によく出てくるよ」
「さっと食べたい時にもいいよね。 夜食にお願いする事がたまにあるんだ」
……王城の料理人は、夜中にも働かされているのか?
……大変だな。
さすがに、交代制だと思うが。
そんな話をしながら食事を終えた。
「食べすぎたぁ」
……ガレスは二日酔いとは思えない食欲だったな。
食後のお茶を一口。
……うん。落ち着く。
「午後、どうする?」
「そうだなぁ、俺はもう少し部屋で休もうかな」
「なら、私も部屋でゆっくり過ごそう。久しぶりに時間を気にせず、のんびり過ごせそうだ」
「俺は、魔導具造りの続きだな」
「そうか。それなら、私は少し仕事をしようかな」
「え、ウィル。仕事を持ってきていたのか?!」
「あぁ。持ち出し可能なやつがあってね。 そこまで急ぎではないのだけど、避暑が終わると、また忙しくなるから少しでも進めようと思って」
……休みなのに仕事をするのか。 大変だな。
それぞれ、部屋へ戻った。
……さて。
どこまでやったっけ?
……部品が揃ったところだったか。
じゃあ、次は組み立て…… いや。刃をセットする土台に、風魔法を組み込むのが先か。
……土台を作るの忘れてた。
それぞれの刃を回転させるから、強度がある方がいいか。 そうなると……魔導金属だな。加工もしやすいし、魔法陣の組み込みもしやすい。
ただ、残りが少なかった気が……
棚を見ると――
あ、良かった。これだけあれば十分だ。
そもそも土台自体、小さいしな。
刃が2cmくらいだから、土台は一回り大きいくらいでいいよな。
魔導金属をカットして、魔力を纏わせ形成していく。
刃を取り付けられるように、溝もいるよな……これをあと五つか……。細すぎる。
無心で土台を作り、一息ついた。
とりあえず、細かい作業は終わった。髭剃り型魔導具を作り終えたら、しばらくは細かい作業のいらない魔導具を考えようかな。
……よし。
次は土台に風魔法の組み込みだが……これも細かいの忘れてた。
……次は大きいものも作りたいな。
第73話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、みんなで昼食を食べた後、それぞれ自由に過ごす回でした。
フィンは細かい作業が終わったと思ったら、まだ残っていたようです。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです!




